第1話.由比川のどかの休日
この世界は19世紀で世情が安定してしまった関係で、ミサイル開発が行われず、今まさに成層圏を超えるロケット技術が開発され始めたところです。
これにのどか達がどう絡んでいくかは、乞うご期待ということで。
今日も真夜帰宅になってしまいました・・・
テスラタワーのトラブルを解決した私を待っていたのは、書類に埋もれた机、未読文章で溢れそうなメールボックス、会議に次ぐ会議でした。
細かい事務処理はアシスタントの子がやってくれていたのですが、テスラドール関係は私がチェックするしかなく、書類チェック、特許対応など等、ひたすらデスクワークをやるはめになってしまいました。
何とか片付いたとは言え、ニコラ・テスラのバックアップがなければ病院送りでした。
ニコラ・テスラとは、前回の一件で親しくなり何かと世話を焼いてくれます。
多分、アカとアオちゃん狙いですが・・・
疲れきった身体を何とかアパートまで引きずって来て、玄関でばったり倒れます。
「のどかちゃん。こんなところで寝たら風邪引くから。シャワーを浴びてすっきりする?」
「何か軽いものをお食べになりますか?」
はっ、玄関に入ったとたん意識が飛んでいたようです。
シャワーですか・・・この子達に自動シャワー機能を着けたら楽かもしれません。
なんとなく、システム図と概略仕様を思い浮かべます。
何とかなるかも・・・
職業病なのかこういった技術見積もりは得意です。
ぐだぐた考えている間に、パジャマを持ってきてくれたアオちゃんにお礼を言って着替えます。
食事とシャワーはとりあえずパス。
明日は久々のオフ日だ。
爆睡するぞぉ。
おやすみなさい。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
いつもの時間に起こされました。
「のどかちゃん、起きて!今日は約束があるんでしょう?」
「・・・約束ってなに?」(つ_-*)。οΟ
寝ぼけて回っていない頭で答えながら時計を見る。
7:00だとぉ。
「休みの日にこんな早朝にお越してくれる子には罰が必要です。とりあえず私の抱き枕になりなさい」
慌てて逃げ出すアカを捕まえて、そのまま布団の中に引きずり込みます。
髪の毛が柔らかくてふわふわしていて気持ちいい。
ほっぺスリスリの刑です。
「ちょっくすぐったいよ。起きないと知らないからね」
ジタバタもがくアカが楽しくなってきて、いじる方が目的になってきました。
「うわっ、のどかちゃん!やめて!どこ触ってるの」
「そんなことでは、お空の向こうのパー子ねーさんに顔向けてきませんよ」
...アオちゃん。パー子は別に死んでいないよ?
仕方ない起きる。
うん?
約束?げっ。
「アオちゃん!今何時?」
「7時20分です。急がないと本気で遅刻しますよ」
シャワーを浴びて、急いで身支度をする。
今日は久々のロケット団の活動の日だったのに忘れてた!
のどか一生の不覚!
アオちゃんが用意してくれた朝ごはんを大急ぎで食べながら、アカ・アオコンビにいう。
「もう出かけるからね。40秒で支度して」
「お寝坊な誰かさんとは違ってもう出来てますよっ」σ(≧┰≦ )ベー
あっかんべーをするアカ。
可愛いなもぉ。
もう少しつついておけばよかった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
なんとか集合時間に駆け込んで挨拶をする。
「おはようございます」
「おはよう。せっかくの休みなのに申し訳ないけど今日はよろしくね。アカちゃん、アオちゃんも、頑張ってね」
「お任せっ」「お任せください」
元気に挨拶する二人。この二人はここのアイドル的な存在になっています。
いろいろする前に、ロケット団について説明をしておきます。
ロケット団は、その名のとおりロケットを打ち上げる同好会のようなものです。
今日は、年に数回行っている小学生を集めたモデルロケットの打ち上げ大会なんです。
モデルロケットといってもロケット本体に推進力はなく、ロケットにセットした金属片を打ち上げ用レールガンで加速する構造になっています。
それでも、到達高度は軽く100mは超えるので見ていてスカっとします。
なにより、それを見ている子供達の姿を見ると、なんだか魂が浄化される気がするのです。
いえ別に、汚れてはいませんが・・・
打ち上げ準備のための作業が私たちの仕事。
エンジンに当たるケースに金属綿を詰め込んでおきます。これがレールガン発射の熱でイオン化、そのイオンにローレンツ力が加わって加速、ロケットが打ち出される仕組みです。
金属綿を詰めすぎると上手くイオン化しないし、少なすぎると加速が足らない。
この辺りは熟練を要する仕事なのです。
参加者分のエンジンを手分けして準備している間に参加者かせポツポツ現れます。
ピッチを上げて作業終了後、会場整理に加わります。
私たちの出番は団長の説明の後、各テーブルに散って子供たちのフォローをします。
なんだか、充実した休みがおくれそうです。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
打ち上げも無事終わり、皆意気揚々と第二の打ち上げ(飲み会ですがなにか?)に行こうとした時、見知った顔を見つけた。
げっ部長だ。いや、げっなんて失礼なことを行ってはいけません。
ロケット団の大切なスポンサーの一人なのです。
ついでに、第二の打ち上げ側にも資金援助をお願いすべく近くに這いよってみます。
「よぉ、今日も盛況で何よりだな」
「お陰様で。部長がいらっしゃるなんて珍しいですね」
「今日はご婦人のエスコートでね」
気づくと隣に妙齢の女性が立っている。
「不潔ぅ」
「なっ、なにを行っている。彼女の様があるのは君の方だ」
「私はノンケなんですが・・・」
「そこから離れろ馬鹿者。彼女は新鋭のロケット博士の・・」
「知ってますよ。ねぇ、ウェルナー・フォン・ブラウンさん」
「他人行儀ね。ウェルナーでいいわよ。のどか」
それが、私とウェルナーとの久しぶりの再会だった。
懐かしい邂逅もつかの間、部長から発表される巨大プロジェクト。プロジェクトのサブリーダーを打診されたのどかは、果たして受けるのか?
次回「コロンビヤード砲外伝 ドールとロケット」
次回もサービスサービス(っ・д・)三⊃)゜3゜)'∴:. ガッ




