章間 千の異なる顕現
中々面白い趣向だったと、闇の中で思い出し笑いをしてしまう。
思えば最初は気まぐれに応じた召喚でした。
結果的に活きのいいイースの尖兵が二匹も手に入ったのは単なる偶然で、最初はかわいそうだからちょっと助けてやろうと思っただけでした。
ちょっとやりすぎてしまったのは、やっぱり細かな力の調整は苦手なためです。
結果的にコアだけになってしまったので、そのコアを別の次元の2つの個体に与えてみた。
ひとつは、ニコラ・テスラという個体にプレゼント。
その時代としてはオーバーテクノロジーなそれは、制御を誤ると次元断層級のカタストロフィが起こしかねない。そのような注意を与えて去ろうとした私を、下請けのように扱ってやつが作っていたテスラ・タワーのジェネレータを創らされてしまいました。
もうひとつは自我を残したまま由比川のどかという個体に与えてみました。
未だ幼い個体であったので、イースの尖兵に毒されないかと心配と若干の期待をしていたのだが、逆にイースの尖兵を懐柔してしまった。
しかも、せっかく仕掛けておいたタイムパラドックスも回避してしまったみたいです。
これには失望より、興味がわきました。
なにせ、私が接触した文明はしばらくすると破滅してしまうことが殆どで、あまりその後の成長などは期待できないのです。
でも、ここは逆に面白いことがおこる。
まるで、新しい玩具かペットを手に入れた子供のように私の心はうきうきしている。
あの生意気なイースの尖兵に言われるまでもなく、慎重に扱おうと思う。
「しかし、夢枕に立つと必ず拒否られるのは正直凹みますね」
何か話をする手段は無いものか思案しながらまどろむ事にしましょう。
というわけで、最近有名になった『あの方』の登場です。
この小説での扱いは、ラヴクラフトの設定に近いものになっています。
この世界の人類に対する扱いは若干好意的ですが、興がのると、オーバーテクノロジーの産物をばら蒔いて世界を混乱に落とし入れたりします。
次章以降も登場予定なのですが、お手柔らかにお願いしたいものです。




