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第十一話「聖女ジャンヌ」④

 リーフェル村まであと半刻ほどというところで、声がした。


 唐突だった。

 いつもは問いかけに応じる形で言葉を寄越す声が、このときは何も問わないうちに届いた。

 短く、しかし明瞭に。村へ急げ。村を守れ。入り込んだ異分子を排除せよ、と。


 ジャンヌは迷わなかった。


 理由を聞くより先に、馬の脇腹を蹴っていた。

 声が告げるなら、そういうことだ。それだけで十分だった。

 蹄が夕暮れの街道を打ち、草原の風が正面から当たり、外套の裾が激しくはためいた。


 リナがいる。あの村に、リナがいる。


 声が示した。ならば従うだけだ。


 遠くの空に、細い煙が見えた。


 一本ではなかった。幾筋もの煙が、暗くなりはじめた夕空へ向かって上がっていた。橙の残光が、その煙を縁取るように照らしていた。


 ジャンヌは小さく喉を上下させたあと、正面を見据えもう一度馬の脇腹を蹴った。

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