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第五話「笑い声の向こう」③

 森の中は薄暗かった。


 木々が密で、午後の光が細く切り刻まれて落ちていた。足元の落ち葉が音を立てないよう、夜久は足の置き場を選びながら進んだ。踏み跡は迷いなく続いていた。

 何度も使われている道だ。


 十五分ほど進んだところで、夜久は足を止めた。


 木々の間から、建物が見えた。

 丸太を組んだ砦だった。小規模ではあるが、ただの小屋ではない。柵が巡らされていて、入り口には門らしきものがある。

 望楼のような高台に、見張りが一人立っていた。敷地の中に建物がいくつか見える。人の気配が、あちこちから漏れてきた。


 そこそこの人数がいる。


 夜久は木の幹に背を寄せて、砦の外周をゆっくりと観察した。正面に見張りが二人。望楼に一人。建物の数から考えて、中にはさらにいるはずだ。


 一人で正面から踏み込む状況ではない。


 今夜ディルクに話して、明日の出発前に動けるか見極める。それが筋だ。

 拠点の場所は分かった。人がいることも確認した。今日はここまでだ。


 夜久は踵を返した。

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