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第五話「笑い声の向こう」
村を出ると、街道が伸びていた。
荷車が並んで通れるくらいの幅がある、しっかりとした砂利道だった。
両側に草原が広がって、その先に森が続いている。晴れた午後の光が道の上に降り注いでいた。
のどかな景色だった。
だが、人がいない。
これだけの道幅がある街道に、行き交う人間が一人もいなかった。荷車の轍の跡はある。何度も使われてきた跡がある。
でも今日は、誰も通っていない。賊の噂が広まって、人々が足を止めているのだろう。
静かすぎる街道を、夜久は一人で歩いた。
影桜を腰に帯びたまま、足元の砂利を踏みながら。
風だけが、草原の向こうから吹いてくる。




