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第四話「泣かない子」②
村の外れに近い井戸の脇で、老人が一人、日向ぼっこをしていた。
声をかけると、老人は三人の見慣れない格好を一瞥してから、特に気にする様子もなく口を開いた。
旅人慣れしているのか、あるいはもう何事にも驚かない年齢なのか。
「賊の件か」
老人は言った。
「みんなそれを気にしている。当然だな」
「この村からも被害が出ているか」
と夜久は聞いた。
「出ている。二人、消えた」
老人は目を細めた。
「一人は荷運びの男だ。もう一人は……女だ。街へ薬草を売りに行ったまま、戻らない」
「いつのことだ」
「荷運びの男が消えたのは、半月ほど前だ」
老人はそれきり口を閉じた。
それ以上話したくない、というより、それ以上話せることがない、という感じだった。
夜久は礼を言って、その場を離れた。
蒼依が隣で静かに歩いた。いつもより声が少なかった。




