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第四話「泣かない子」
ラズベリを出たのは、昼を少し過ぎたころだった。
ディルクから地図を受け取り、翌朝出発という段取りだけ決めて、夜久、蒼依、ゼータの三人は村の中へ出た。
今夜の宿は確保した。次にすべきことは、情報だ。
村の中を歩くと、ディルクから聞いていた賊の話が肌で感じられるようになった。
大通りを歩く大人が、少ない。
いないわけではない。
商売をしている者もいる。荷を運んでいる者もいる。だが年齢層が偏っていた。老いた者と、まだ若い者。壮年の男女の姿が、明らかに少ない。
「やっぱり大人が少ないね」
と蒼依が小声で言った。
「ああ」
「働き盛りの人たち、ということか」
と夜久は言った。
「消えているのが商人だとすれば、この村から街へ荷を運ぶような仕事をしている者が多く被害に遭っている、ということになる」
「つまり……」
「壮年の男女が標的にされやすい」
蒼依が少し顔を曇らせた。
ゼータは二人の会話を聞きながら、路地の奥をぼんやりと見ていた。




