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第三話「村と賊と報酬の話」
村が見えてきたのは、草原の道を十分ほど歩いたころだった。
リーフェル村、と旅人は言った。小さいが、この街道沿いでは馴染みの集落だと。
木の柵に囲まれた小さな集落だった。
入り口に門があって、その脇に見張りが二人立っていた。槍を持って、革の鎧を着ていた。旅人の姿を見てわずかに表情をゆるめたが、その後ろの三人を見て、また顔つきが戻った。
「ディルクか。その者たちは」
と見張りの一人が言った。
「森で会った。遠方からの旅人だ」
とディルクが答えた。
「遠方、とは」
「地図に載っていないくらい遠い、と本人が言っていた」
見張りは三人を見回した。夜久の黒い刀を見て、蒼依の制服を見て、ゼータの素足を見た。
不審そうな顔をしたが、ディルクの顔も見た。ディルクは何も言わなかった。それが担保になったらしく、見張りは小さく息をついて道を開けた。
「揉め事は困る」
「起こさない」
と夜久は言った。
こうして異世界について初めての集落へ足を踏み入れる為、無事に門をくぐることとなった。




