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城之崎 ほとり:1

 入学式が終わって初めての土日

 私は予定があって学校へと来ていた

 と言ってもクラブ活動とかではない

 それにクラブ活動自体この地区では帰るのが遅れるからという理由であまり盛んではない

 委員会活動も同様

 だから委員会で活動する時は休みの日に予定が割りあてられる。


「ここかしら?」


 指定された教室のドアを開けるとどうやら私が最後みたい

 中には既に4人の姿が見えている

 個性的なシルエットというか雰囲気というか…


「2組の?」


「ええ…」


「2組はそこ」


 席順的におそらく3組の委員長に空席を指さされてそこに着席する

 あとは先生が来るのを待つだけ。


「みんな揃ったねぇ、ね。ぷーちゃん」


「やば!その人形プーちゃんっていうの?激カワじゃん!」


「……あとは先生を待つだけね」


「誰でしたかしら、確か入学式の日にお見受けした気はするんですけれど…」


 クラス委員は推薦か担任からの指名か立候補で割と簡単になれるものだとは聞いていたけれど…

 それにしては人選がニッチすぎる

 誰とは言わないけど何人かは明らかにクラス委員が務まるような感じじゃない

 立候補したようには見えないし…これを推薦したか指名した教師とクラスメイトの意図が全く分からない。


「先生来るまでトランプでもするう?」


「遠慮しておくわ」


「私も庶民のお遊びには興味ありませんでしてよ?」


「…ペパペパポポヌンポやるならぁ…プーちゃんと一緒にやるよぉ」


 あー…早く先生来ないかしら

 なんだかこう、この空間に長くいると色々と私の理解の範疇を超えるというか…

 普段エリと一緒に居るからこういうのには耐性があったはずなんだけど、ここにいるメンバーは各々がベクトルの違う個性派って感じで、まるで未知。


 どうせ今日は顔合わせと軽い自己紹介してこれからクラス委員同士連携をとって議会のような団結した良い学年になりましょうねみたいな話をするだけなんだから…

 パパっと終わらせて帰らせて欲しいわ、私にだってほかにやること沢山あるんだし。


「ごめんなさいねぇ、少し遅れちゃったかなぁ?」


 それなりに数名がガヤガヤしている中でようやく先生が教室に入ってくる

 担任もやって国語も受け持って委員会活動まで面倒を見てるってなると大変なんだろうなぁなんて勝手に思ったりしていた。


「はいはぁい、じゃあ先生からまず挨拶するのでぇ聞いてくださぁい」


 ガヤガヤしていた数名は静かになって教卓に視線を向ける

 そういうとこは聞き分けいいんだ…クラス委員故にってやつ?


「はい、今回は1年のクラス委員会初回ということでぇ、顔合わせと自己紹介をしたいと思いまぁす

 まず先生は…て言っても既に知っている人もいるかもしれないですけどぉ

 2組の担任をしていてぇ…国語教師もしています、祭木静(まつりぎ しずか)と言いまぁす

 クラス委員のみんなぁ、これからよろしくお願いしますねぇ」


「はいはーい!彼氏とかいますか!」


「居ませぇん」


 エリっぽい雰囲気のクラス委員が横槍を入れたけど

 予想してましたよと言わんばかりに即答して祭木先生は話を進めた。


「それじゃあ1組から5組まで順番にぃ…クラス委員さんは自己紹介をお願いしまぁす」


「はぁいっ!!それでは1番最初を努めさせていただきますのは私!

 1年生の中でも1番の頭脳ブレイン!1番の容姿(スタイル)!そして何より1組のトップ!

 トップに愛されたファビュラスでビューティーな女!金城(きんじょう)マユカですわ!」


 派手な羽の扇子を口元に当てて勢いよく立ち上がったのは1組のクラス委員

 確かに美人ではあるけど兎にも角にもうるさい、例えるならジャングルとかに居そうな怪しい色の鳥

 多分喋らなかったら美人って言われるタイプの人。


「属性は絢爛豪華な黄金の力!ゆくゆくはこの地区に銅像を立てて見せますわぁ!」


「はぁい、自己紹介ありがとうございましたぁ、次の人ー?」


 祭木先生はおっとりしてるみたいに見えるけど割と鋭いとこもある

 現に今も一切金城さんに触れることなく私にバトンを渡した


「あ…はい、えーと自己紹介ですよね?私は2組のクラス委員の城之崎(きのさき)ほとりって言います。

 一応推薦でクラス委員になりました

 あー…あとはどうしよう…特に話すこともないので、とりあえず1年間よろしくお願いします」


「はぁい、じゃあ次は3組」


「榊です、榊出雲(さかき いずも)、クラス委員には指名でなりました

 ……1年間よろしくお願いします」


 唯一ガヤガヤしてなかった3組のクラス委員

 とにかく興味無さそうって言うか帰りたそうって言うか、常に窓の外をぼーっと眺めてるだけ

 私が言うのもなんだけどちょっと近寄り難い雰囲気があるわね…


「4組のクラス委員やってまーす、花園(はなぞの)キララでーす

 なんかーノリで立候補してみたらクラス委員になってましたー

 まぢ何すんのかとか分かんないし、しんどい事はキララ的にちょっとNGな部分あるんだけどとりま宜しくって感じでー」


 4組のクラス委員はそもそもこれクラス委員として認めていいの?ってくらいやる気がない

 と言うより制服は着崩してるしバッチリメイクしてるし

 1年間やって行けるのかしら…って感じ…


「はぁい、それじゃあ次が最後かなぁ?」


「5組の間原幽(まばら かすか)…こっちはプーちゃんって言いますぅ…

 クラス委員には立候補でなりましたぁ…

 プーちゃんは…モッペル星の王子さまなのでぇ…地球でのお友達を探していますぅ…

 1年間よろしくお願いしますぅ…」


 大トリを務めたのはつねにぬいぐるみを抱きしめてる不思議な子

 ていうかなにあのぬいぐるみ…豚?ニワトリ?とさか生えてて豚鼻でピンク色の羽…

 こんなキャラクター見た事もないんだけど……

 というよりよーく見たら気持ち悪いわね…、どこで買ったのよそれ。


「はぁい、じゃあ皆の自己紹介も終わったのでぇ、今日やることはほとんど終わってしまったんだけどぉ……

 最後にねぇこれだけやっておきまぁす」


 祭木先生はパンパンと手を叩いてみんなの注目を集めた

 噂には聞いていたけど多分聴取が始まる。


「各クラス、反議会派だと思われる子はいませんかぁ?」


 そう、クラス委員はクラスの監視役

 担任よりもクラスメイトと接している時間が長いからこそ反議会派を見つけやすいだろうということで実施されている制度

 あんまり表立って公表もされてないけど別に隠してる訳でもないらしい

 なんせここは議会派地区の中でも平和な方で尚且つ校内で大きな事件も起きてないんだから恒例としてやっておきましょうって感じね。


「1組は特に居ませんわ」


「2組もおなじです」


「右に同じ」


 まあ、居ないわよね

 各クラスどこもそれといった異分子は居ないって事で報告は終わった

 そうよね、こんな簡単に反議会派が見つかるんだったらそもそも入学前に処分ころされてるわよ


 既に入学前に数名見つかって終わったって話も聞いたし

 仮にこの学年にいたとしても、入学前に弾かれなかった時点である程度は潜伏が上手い連中なんだしそうそう簡単に尻尾出すわけが無い。


 まあ…私は反議会派を1人知っているけど

 別にここで発表して事を大きくする必要も無いし、変にみんなを不安がらせる必要も無い。


「はぁい…じゃあどこのクラスも平和で仲良しってことですねぇ

 このまま1年間平和に素敵に過ごしていきましょうねぇ」


 祭木先生の締めの言葉と共に最初のクラス委員総会はお開きになった

 毎回なにか大きなことをするわけでもなく各クラスの近況報告会って感じでこのまんま1年間過ぎていく気がする。


 スマホに目をやるとまだお昼前、他の予定に行く時間は全然余ってるし、ちょっとお昼ご飯を軽く食べてから向かうことにしよう。


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