山峰 エリ:4
ことことが家に来て…何日目だ?3?4?
まあそんなことはどうでも良くて
今日こそはちゃんと見張ってないといけないってことよ
「んねっ!」
「んあ?」
「え?キララの話聞いてた?今めっちゃ盛り上がるとこだったよ?」
それなのに昨日からウチに付きまとってくるこのスーパー鬼ギャルこと花園キララ!
邪魔だっつーの!!お昼休みだけならともかく毎授業毎の10分の休みでさえ教室に来やがって!!
友達おらんのか??ギャルはクラスの真ん中陣取ってワイワイするもんでしょーが!!
「…あー、なんだっけ?マホが前略プロフのリアルで間違えて激病み更新して、それ見た先輩のトモくんがめっちゃ心配してた話?」
「待って、テストの点悪くて激萎えみたいな話だったんだけど
とりま聞いてないの古めのギャルが使いそうな単語並べて誤魔化すの辞めてくんね?」
「ごめんごめん、1個前の話だった」
「いや、その話すらしてないし」
これがまとわりついて来るからほとりんも気使って席外すしよー!
こんなんあれじゃん!今日も家帰ったら大目玉じゃん!
「あのさぁ、ウチに付きまとうのやめてくんね?」
「いいじゃーん!マブじゃん!」
「ウチにもやらなきゃいけないこと山ほどあんの!」
「例えば?」
「そりゃあ……極秘ミッションとか?」
「言った時点で極秘じゃなくね?ウケる」
多分この鬼ギャルは絶対に何言ってもしばらくはまとわりついてくる
いやもうこうなったらいっその事姉ちゃん紹介した方が丸く収まるんじゃね?
「んでなに〜?その極秘ミッションとかいうの〜」
「言うわけないじゃん!バカ??」
「エリリンほどでは〜」
「つけま全部取ったろかい!このストーカーギャルが!」
「え〜怒ってんじゃん〜こわっ」
いやでも待てよ?これ場合によっては使える状況じゃね?
この鬼ギャルに何とかかんとか吹き込んで監視チームを組めばウチの負担も減るし、まとわりつかれることもないし、そうなりゃ一石二鳥じゃん??
「よしじゃあキララ君、マブの君に極秘ミッションを与えよう!」
「え、キショ」
「ノリ合わせてやってんのになんだそれ!」
「んでんで?極秘ミッションって?」
「秋津先生か祭木先生を…見張るのだ!出来れば祭木先生!」
1番捕まえるのが難しい祭木先生を指名してやる、せいぜい苦しめ…あひひひひ
それにクラス委員の担当だし、多分ウチより適任
「え、無理」
「なんでぇー?!」
「あきつんならまだしもまつりりはマジで嫌」
「女より男が良いってか??男の趣味悪いぞ!やめとけ??」
「いや、普通にまつりりちょ〜過激思想の反議じゃん、危険だしなるべく2人とかになりたくないよね〜」
「は?」
いやいやいやいや、あんなおっとりしてるスタイル抜群最強モテ女みたいな人が?
過激思想の反議??なぁにそれ?
寝言は寝て言え??
「え〜知らんの?けっこ〜反議の間では有名だよ?スタンピードまつりり」
「なにその謎の通り名」
「なーんか知らんけどまつりり関わる所に内紛ありみたいな?しらんけど」
「知らんのかい!!」
「でもガチガチ反議なのはマジだよ」
いやはや腰抜かしそうになったな…祭木先生が?
いやでもこれギャルの情報網っしょ?信頼性無いな?
いやでもギャルって基本的にオカマと同じくらい強いから有り得るっちゃ有り得るのか?
「ん???でも…となると…」
ことことの家燃やして動き始めたであろう議会派探そうで監視始まってんだから…
祭木先生は除外?
となるとほとりんと秋津先生だけになるから…
非公式美術部だの言って2人を美術室に幽閉すればウチの目標は達成では??
「うわ!めっちゃナイス!!キララナイス!!キライス!!」
「…え?訳分からん、キショ…」
「うちの極秘ミッションが!コレで!楽になる!!」
「え?なに?暗殺とか目論んでる系??」
「んなわけ!見張るだけだよい!」
「まって、嬉しすぎて内容までゲロってんのさすが過ぎてウケる」
「見張るとか言ってないけど??めはり!めはり寿司食べたーみたいな…やつ!!!」
「いや無理っしょ、誰がそんなニッチな郷土料理急に食べたくなんの」
「いいや、ウチは鮒寿司のガチファンガだからニッチ郷土料理ガチ勢なんだよね!」
「今度からパンとかあげよっか?」
「いや!ちげーから!食うもん無さすぎて腐った寿司のこと鮒寿司って言ってるわけじゃねーから!」
「ふーん…あ、お昼休み終わるじゃん
じゃ!まったね〜、ばいび〜」
またこれ一時間後にあのテンションのやつが来るの??
いやでもありがたい情報も手に入ったし…こりゃ使えるな。
あとはほとりんに放課後用事終わったあとに美術室来るように言って…
秋津先生も確保して…
これでうちの監視ライフ!ベリーイージーってわけよ!!
■■■■
さて、放課後になった訳ですが
ウチはどこにいるでしょーか?
うんうん、そうだね、他クラスの掃除用具入れの中だね
そう!全ては花園キララを撒くために!!
…ってか、今日このクラスのやつ絶対誰かジュースこぼしたでしょ
めっっちゃ甘い匂い済んだけどマジで
「うし、そろそろ出て美術室向かうかな」
そぉっと掃除用具入れを開けて左右を確認
あの女はどこにもいない
ほとりんに聞いたらサクッと終わる用事だって言ってたから、先に美術室向かっとくかな
いつどこからあのギャルが出てくるかわかんないから細心の注意をはらって…そろりそろりと…
放課後の学校ってすごい静かだよね
なんか無駄に不気味というか、静かすぎて苦手って言うか……
けどまあ極秘ミッションには好都合、邪魔も入らないだろうし。
ようやく怒られる日々から解放されるーとか思いながら、廊下から見える他クラスの教室を見ながら歩いた
割とただの移動だったけど、他クラスの内装とかまだ残って勉強してる奴、変なぬいぐるみ抱きしめて寝てる奴
お昼の学校では日常風景のそれが放課後ってだけで新鮮で珍しいものに見えてくる。
「てか…美術室ってどこだっけ」
■■■■
すっかり美術の場所を忘れてたウチは一回生徒手帳を開いて、やたら書き込まれて見にくい地図を見ながら歩いた
ウチの地区あるあるかもだけど学校の美術室ってどうしてこんなに遠いのか。
そんな取り留めもないこと思いながら歩いてた時だった
階段の上から懐かしい匂いがした
最悪に悪い意味で。
古い鉄棒を握ったあとのあの手の匂い
ツンと青臭いような暫くは鼻につくこの匂いは、ウチの記憶が正しいなら血
階段の下まで漂ってくるようなエグい濃さの血の匂いが上からずっとしている
「……っ」
多分行くべきじゃない、関わるべきじゃない
ウチだって分かっているけど、属性武器を持ってケースから取りだして構えながら階段をあがっていく。
血の匂いは濃くなって。ウチの最悪の想い出を鮮明にしようとしてくる
必死でほかのことを考えようとしながら踊り場に差し掛かった時
ウチは努力しなくても目の前のことしか考えれなくなった
踊り場の上、階段を上がった先に見えたのはほとりんだった
けどいつものほとりんじゃない。
血溜まりを作って丸く蹲ったまま動かなくなってるほとりん
「っ…あー……」
親友とも言える人間が目の前で死んでいるんだからもっともっと取り乱すかと思った
けどウチは何故かめっっちゃ冷静だった
いや、いつもより頭がスッキリして目の前のことをきちんと捉えれるようになってた。
「……ほとりん?」
応答はやっぱり無い
この血の量、血溜まりの縁がちょっと乾き始めてる
多分ちょっと時間が経ってるってこと。
それで応答がないならもう無理だ
「うん、電話だ」
とりあえず姉ちゃんにウチは電話をかけた
もしまだ近くにやったヤツが居るならウチが襲われたとしてもウチ死ぬまではその情報を伝えれる
それにほとりんは議会派だったからおそらくやったのは反議会派のやつ。
見境なく襲ってくるならウチも戦わないといけない
と言うよりタイマンで同じレンジならウチは多分負けない。
「分かった。じゃ、また後で」
粗方姉ちゃんには状況を伝え終わった
迎えに来てくれるってことだからウチはほとりんを背にして1階の職員室に向かってとにかく走った
走って、走って、走って、走ったらなんだかすごい汗をかいた
顔はびちゃびちゃなのに身体は冷え冷えな不思議な汗だった。
「3階で人が死んでます!!」
あとは姉ちゃんを待つだけ
それまでに汗ちゃんと拭いとかないとな。




