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桜庭 琴葉:5

 山峰さんのおうちに居候になってからもう何日だったかな

 2日?3日?特に日にちは数えてなかったからあんまり覚えてない


「お姉ちゃん、こっち来てから何日目だっけ?」


「ん?3日?なに急に」


「ううん、何日目だったっけなぁってちょっと気になっちゃっただけ」


 ソファに座ってるお姉ちゃんはまたスマホに顔を向けて、私もまたぼんやりテレビに視線を向けた

 正直お母さんが居なくなって、この家に連れてこられて、戦争が起こるなんて言われたからもっともっと大変な生活になるんだろうなって思ってたけど

 実際は学校に行けなくなっただけでそれ以外はあんまり何も変わって無かった


 朝ごはんを食べて、お姉ちゃんや紗代さんとお話したりお手伝いをしたりして

 夕方になったらエリちゃんが帰ってきて4人でお夕飯を食べる。


 多分今も変わらず大変な状況なのに、こんな修学旅行みたいな毎日を過ごせてるのはお姉ちゃんとかエリちゃんとか紗代さんのおかげがとっても大きいんだと思う。


「んー、でも増えてきてるね」


「…何が?」


「物騒なことが。

 割と小さいすぐに処理される事件ばっかだけど、報告されてる件数は日に日に増えていってる」


 スマホで地区のニュースを見てるお姉ちゃんが溜息をつきながらテーブルの上に画面を下にして置いた


「表層化されてるのがこれなら、恐らく表面に出されてない事件も含めると倍はあるんじゃない?」


 正直あの日以来、この世界が危険なとこだって事は全く体感してない

 けどこの地区のどこかにあの日のわたしみたいな想いをしてる人が居るって考えると他人事じゃないみたいに胸がキューっとなって…。


「そんな浮かない顔してる暇があったら、ちょっとでも引き金引くイメトレでもしときなよ」


 あの日からもし何かあった時、本格的に地区内で戦争が勃発した時にどうするかって話は何度もしてた

 お姉ちゃん達はおそらく大概のことはわたし以外の3人で片付けれるからわたしは自分のことだけ考えてなさいって言われている


 けど、それでもわたしは狙われるだろうし3人じゃ守りきれなかった時、その時はいつでも戦えるように準備をして、少しでも心の負担を減らせるようにだけ考えてって。


「でもわたし逃げるだけしかできない属性(アトリビュート)だから……役に立てないかも…」


「私らが守りきれない状況ができたとして、その中で安全に逃げれるんならそれだけでもお釣りが来るわよ」


「でもそうなったらみんなが心配だし…」


「じゃあ万が一の時は琴葉が助けてくれればいいでしょ」


「……うん」


 もしここから先なにかで大きなピンチが訪れた時、3人を助けないといけないってなった時、わたしはちゃんと的を合わせてその人を選べる自信がない。


「……はぁ」


「なに?急にそんなため息ついて」


「もしね、みんなが戦ってる時に誰かを助けないと行けないってなっても、その人にちゃんと属性当てれるのかなぁ……って」


「無理そうなら諦めて他の方法考えればいいんじゃない?

 何も守るだけしかできない属性ちからかっていわれたらそうじゃないんだからさ」


「何かをちょっとテレポートさせるだけの力なんて戦いになんて使えないよ…」


「そういうのは頭の使い方次第でどうとでも化けるわよ」


 そう言われたから頑張って色々考えては見たけど答えは何ひとつとして出てこない

 この銃から本当にレーザー光線みたいなのが出れば話は変わってくるんだけど……。


 手にしている武器をマジマジと眺めてみるけど、色合いが可愛いだけのちょっとした飾りボタンがついてるだけの玩具にしか見えない

 手当たり次第にボタンを押してみたこともあるけど、その時は可愛い効果音しか響かなかった。


「やっぱり属性強化?とかしたら強くなるのかなぁ…」


「何考えてるか分かんないけどね、属性自体は変わんないわよ

 できることが増えたり、そもそもの性能がちょっと良くなったりするだけ」


「なんかますますわかんなくなってきちゃったよ…」


「まあ、私たち3人を助けないと行けなくなる場面なんてそうそうないんだからさ、そんな深刻な顔になるまで悩みこまなくていいよ」


 3人は相当強いみたいだから、多分ここまで私が悩む必要はお姉ちゃんの言う通り無いんだろうけど…

 けど、やっぱり何かあった時に逃げるだけって言うのは……なんかうまく言葉に出来ないけど……

 あんまり良くないような気がして…


 ■■■■


「そろそろなにか大きなことがあるかもしないと思っていましたけど……」


「割と平和ね、なんかもっと初っ端からドンパチ起こんのかと、スマホ見てる限りじゃ事件自体は増えてるみたいだけど」


 夕方、今でお姉ちゃんと紗代さんがテレビを見ながらのんびり話している

 確かにお姉ちゃんが心配してたみたいに戦争?はまだ起こってない

 ただただなんかお泊まり会をずっとしてるようなそんな気分にわたしもなりつつあった。


「でも、戦争が起きてないっていいことだよね」


「そうですね、それが一番ですが、警戒に越したことは無いかとは思います」


「そうよね、ここまで静かだと各々なんか色々画策してそうで余計に厄介な気配がプンプンするわ」


 話を聞く限りだと、まだ全然油断は出来ない状態みたいだった。


「これさぁ報道規制かかってるとかでもないよね?こっち側に動き悟られないように」


「分かりかねますね…わたくしたちは基本的に今は外部と交流とっていないですので」


「なぁんか…嫌にいつも通りに()()()()ような気がすんのよね」


「やっぱり私のおうちが燃やされたのってそこまで影響なかったんじゃないかな…?」


「そんなことある?だって琴葉って警備団ですら手出そうとしてこなかったレベルのバケモンなのよ?」


「多かれ少なかれなにかはあると思いますが…」


「杞憂…とか?」


「楽観的すぎよ、この世界本当にそういうのが命取りになるんだから」


「お話で聞いている琴葉さんってもっと淡々としている方かと思って居ましたけど…

 案外普通の女の子なんですね」


「あっ!いや…そうだったらいいなぁって言う願望です…」


 そうだ、まだ紗代さんもエリちゃんもわたしが別の世界の人だって知らないんだ……

 ついこの環境になれて気を抜きすぎちゃってた。


「そろそろお夕飯の準備でもしますね、エリさんも帰ってくるでしょうし」


 紗代さんが立ち上がったその時だった


「紗代、電話」


 紗代さんのスマホが優雅なクラシックを流しながら机の上で震え始める


「あ、エリ…さんですね、どうしたんでしょうか…

 遅くなるとかならいつもはメールなのに…」


 少し不安そうな顔でスマホを耳に当てる


「ええ…はい…はい。分かりました、はい。」


 相槌だけを繰り返す、不安そうな顔は何故かとても険しい顔に変わっていて

 なんだかすごく胸が締め付けられるようなそんな感覚がわたしをぐるぐる巻きにしていた。


「分かりました、周りに人は?」


「武器は持っていますね?」


「どういう状況で倒れていますか?」


「すぐに迎えに行きます、エリさんは急いで職員室へ、遮蔽物などあるならなるべく身を隠しながら。」


 なにかただ事ではないことが起きている

 お姉ちゃんもライターをポケットにしまい込んで紗代さんの方をじっと見つめる


「死人が出ました、学校内で」


「分かった、運転はするから車借りるよ、私のだとマークされてるかもしれないし」


「お願いします、わたくしは武器だけ取ってきますのでお先にお願いします」


「了解、琴葉も武器とってきて、さっさと車行くよ」


 動揺していた、人が死んだっていう報告に、それなのに酷く淡々としてる2人に


「ボケっとしてないで!早くしないとエリがなんかあるかも知んないんだから!」


「ぶっ…武器だよね?!」


 お姉ちゃんの大きな声でようやく身体が動くようになった


「え…エリちゃんの部屋っ!」


 もつれる足で転ばないようにわたしは階段を駆け上がった

 矛先が全く分からない「どうしよう」という気持ちを膨らませながら。


 ■■■■


「で?誰が死んでるって?」


 車内

 お姉ちゃんはいつもよりかなりスピードを出しながら紗代さんに聞いた


「いえ、そこまでは…」


「校内でドンパチってこと?」


「争った形跡はないそうです」


「どうやって死んでたって?」


「腹部から出血、内蔵が出てるような状態とのこと」


「遠距離からの可能性が高いってことよね…そうなると」


「はい、なのでエリさんには職員室に向かうようにだけ指示を出しています」


 淡々とお姉ちゃんと紗代さんの間で情報の整理がされてる

 わたしには何がどうなってるのか全く分からなくて


「……」


 ただ、エリちゃんの無事を願いながらぎゅっと武器を握りしめることしか出来なかった。



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