山峰 エリ:3
はてさて監視生活2日目に突入なわけだけど、相変わらず学校はいつも通りすごい平和
怪しい動きも怪しい気配もなーんにもない!
そういやなんかすごいギャルがいるってほとりんから聞いてたな…
見に行ってみる?いやいや!ウチはこの3人から目を離しちゃいけない!
「んー……」
「どうしたのよ二日連続難しい顔して」
「そりゃあもう考え事ですよ、超難問!超難題!」
「またあの漫画の話?」
「そーだよ!色々悩んでんのさ!」
「その熱量ちょっとでも勉強に向けてみたら?
この前の数学の小テストも散々だったんでしょ?」
2点という文字が頭の半分以上を一気に占領してきて、目の前が真っ白になりかけた
なーんてことをウチに思い出させてくれてるんだこのほとりんは!
けどウチだってバカじゃない、バカかもしれないけど頭はちょっとくらいなら回る
だからウチは考えてみた、あの三人を一気に同じ場所にまとめることが出来ればウチだけで監視できるのでは?と。
ほとりんはそもそもウチとほとんど一緒にいるから1番監視は楽ちんだし、秋津先生は基本的に美術室か職員室にいると思うんだよね
1番最後は祭木先生になるんだけどこれがもうすっっっごい難題
担任の先生やってて五教科の1科目担当だから常に移動してるしお昼と放課後以外はほとんど捕まんない。
「つまりどうすればいいってことだ?」
そこまで考えてびっくりするほどデカイ壁にぶち当たった
こんなスケジュールバラバラ人間達をどうやってウチは1箇所にまとめるんだ??
いや、最悪ほとりんを職員室に連行すればワンチャン秋津先生、運が良かったら祭木先生も居て目的は達成できるかも知んないけど
けどそっからどうやって3人を1箇所に留め続けるんだって話よ
「エリ?なんて顔してんの…なんか梅干しみたいになってるわよ」
「ほとりん。私と一緒に職員室で暮らそう」
「また何馬鹿なこと言ってんのよ…はぁ……」
■■■■
てなわけでまたしてもお昼休み
ウチは偉いのでお昼を爆速で食べて、ほとりんへ秘密の任務に行くと伝えてから教室を一人で颯爽と去った、それを伝えられたほとりんは寂しがって大号泣しながら大回転してたけど、ウチは苦渋の決断で馬謖を切るような気持ちでほとりんを教室に残して校内を駆けずり回っている
「アレ??監視するならほとりん置いてきちゃダメじゃね?」
あっっちゃぁ…やらかした…つい勢いで飛び出してきたものの、肝心の目的の人物置いてきちゃったよ…
「うぃ!ハロハロー、山峰ちゃんだね?」
教室にほとりんを置いてきたから同行させるために戻ろうとしてるウチを知らない声が呼び止めた
「だれっ!うわっ!!すっごいギャル?!」
着崩した制服に茶色の肌、ルーズソックスに有り得んほどストラップの着いたガラケー
最早ユニコーンとかペガサスとかそんなレベルの激レアギャル。
「いぇいいぇい、握手とかしとく?あ。サインとかいる??」
「要らん」
「え、なんかノリいいとか聞いてた系なんだけど激ローじゃね?」
「シャーッ!!」
「あ、違うわこれ、威嚇されてるだけだわ…」
とりあえずウチは威嚇した、地面に足をふんばって姿勢を低くして体を大きく見せる為に手を広げた
ちゃんと大きな声も出した。
「いやいや、違う違う。怖くない怖くない…
ほら、ポイフルあっから…ウォーターリングもあるよー
るーるーるるるる。ほら。るーるるるるるる」
「…なんだ!激強ギャル!」
このウォーターリングとかいうガムやたらモチャモチャしてて美味いな…
でもなんか味すぐなくなってその度に虚しくなるからウチは好きじゃないなこれ
「あー、キララ的にちょーっち話したいことあるから時間欲しい感じのヤツ」
「なんだ!まつ毛は渡さんぞ!!」
「まぢさっきからキララの事学校の七不思議みたいな生きもんだと思ってっしょ?
違うからね?ガチめのヒューマンだかんね?」
「良かろう…そこまで言うならウチが聞いてやろう」
「人に聞かれっとやばたにえん超えて麻婆春雨って感じだからさー、場所移さん?」
「…ごめん、気持ちは嬉しいけど…ウチ…女の子とは付き合えない」
「そろそろシバくかんねー?」
なんかちょっと激強ギャルの雰囲気が怖くなってきたから、ウチはちゃーんと本能に従って体育館裏までついて行くことにした。
「ウチお金とか持ってないよ?」
「いやガチカツアゲとかじゃない」
「ウチ調子にも乗ってないよ?」
「違う違う、ボコすって訳でも無いから」
「属性武器だけ取ってきてもいい?」
「いやマヂでキララのこと信じろし」
■■■■
体育館裏
ウチもあんまり来たことの無い場所
ていうかあんまり人来ないのか草はボーボーだし木はワサワサ
なんかみたことない虫とか居るし、意外と乙女なウチは早く帰りたかった。
「うし…誰も来て無いね」
「で何さ?ウチに話って…」
「あのさぁ、単刀直入に言うよ?まぢ笑うなよ?」
「…やっぱ告白?」
「いや違うから、普通に弟子にしてくれって言いに来ただけだから」
「うん、いーよ」
なーんだこの激強ギャルはウチの弟子になりたいのか…。そーかそーか
そうだよなぁ、ウチってよく見たら可愛いし、それに割と運動は出来ちゃうし、姉ちゃんは巨乳で料理も上手くてお淑やかだし…
しかも時々天然なとこもあるし…
って違う、後半から姉ちゃんの魅力じゃん、ウチの魅力じゃないじゃん
ウチの魅力?可愛くて運動ができて底抜けに明るくて
え、待って割とちゃんと自分の魅力について考えてみればウチって激きゃわじゃね?
そりゃあ弟子にもなりたいわ、ギャルすら嫉妬するこの美貌ってな!
……ん?弟子?
ちょ待って、脊髄反射的にいいよーとか言ったけど……
あ??どゆこと??
「いやいやいや!何?!なに!?なんて??」
「いや、キララを弟子にしろって言ってんの」
「なんでぇ?!」
「舎弟とか下っ端とか悩んだけどさぁ…弟子ってなんか響きカッコよくない?」
「いや!なんで!ウチの!弟子になりたいの?!」
「へ?だって反議会派でしょ?キララもなんよね」
なんか…なんか知らんけどバレてる〜…
「へ?ウチ?え〜?わかんない〜
バリバリ議会派って感じー?
全然朝とか国歌で起きる家のお育ちだし〜?」
「何それ…キララの真似?いやてか隠さんくて良いし
キララもバリバリ反議会派だから」
「いやなんで!え?ウチなんかポロリしてた??」
「え?いやふつーに反議ネットワークからだけど…」
「何それ怖っ!ウチそんなん知らんけど!?」
「そろぼち戦争とか起きそうだしキララみたいなソロ活反議はどっかに入れてもらわんと死ぬな〜って」
「いや反議ネットワークってなに」
「キララみたいにほぼソロみたいな奴らが生き残るために情報交換してるとこだけど…」
あー…確かに姉ちゃんが前言ってたような気もするなぁ
なんか反議会派も今はことことのお陰で一枚岩に見えてるけど、実情は色んなグループに別れてっからーみたいな…
「え、てか待って…どこでバレてたの??」
「いや、ふつーにエリリンのお姉ちゃんさぁ、キララとかの界隈で足砕きの女って言われててさ~激つよでゴッド桜庭とも繋がりあるみたいだよーってウチらソロ活組で噂程度に流れてて〜」
議会派から潜伏することは第一として他の反議会派まであんまり意識して動いてなかったけど…
もしかしてそのせいだったりする?
いやけど待って、話的にウチが悪いって言うより姉ちゃんじゃん
「んで、ソロ活組でちょっとずつ情報交換深めてったら〜行き着いたんだけどさ〜
エリリンてなんかノリいいけどテンション高見沢だから疲れそうだしあんま絡まんようにしとこ〜ってなって暫く忘れてたんだけどさ〜
ゴッド桜庭の家カチコミ入られて、あ、コレまじ〜なーと思った時に思ったんよねー強い人に弟子入りしたらいいじゃん。キララ天才じゃね?みたいな」
「何そのエリリンて、ウチなんかすごいアホそうなあだ名じゃん!
しかも話聞いてたら姉ちゃんに弟子入りした方が早くない?ソレ!!」
「え、だって家まで分からんし、万一乗り込んで敵とかと勘違いされて迎撃されるのもだるいし…
んじゃあ妹で良くねって」
「妥協すんな!それを本人に伝えんな!
ウチは!弟子は!!とらん!!」
「え〜…んじゃあマブで良くね?エリリンとキララは今日からマブ」
あまりにも一方的すぎてうちもなんか言い返してやろうと思ったけど
鬼強ギャルは「じゃ、キララ次移動教室だから」とだけ言ってすごい勢いで消えてった
ほとりんがいつもウチにいってる嵐みたいな女って…そういう事??
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「ってな事があったわけよ」
放課後の帰り道、ウチとほとりんはいつもみたいにダラダラと話しながら歩いていた
「つまり急に他クラスの委員長がエリに弟子入りを志願しにやってきたって?」
「そー!まじ勢い良すぎてクソビビったよね!」
「え?お昼に勢いよく飛び出してったと思ったらどっかで寝てたの?」
「寝てねーよ!ガチだわ!大ガチ!!」
「ガチだとしてなんで花園さんがわざわざエリに弟子入り志願するのよ」
「そりゃぁやっぱこの美貌と美少女具合に釣られて??
つけま付けすぎで前見えてないんじゃないかと思ってたけどいい目をしてるね、彼女は。うんうん」
「はいはい、で?弟子入りはOKしたの?」
「え、普通にやだから断ったよね」
「意外、調子乗って二つ返事で弟子入りさせたのかと」
「やっぱねウチは素材で勝負する美少女だからさ?ギャルとは相容れない訳よ」
「そうね、高校入学前にメイクするって言って顔でキュビズム作ってたもんね」
「ちょ!その話やめ!意外とショックでかかったんだからさぁ!」
「で?花園さんは結局どうなったの?」
「なんかマブになって満足して帰ってった…」
「なんかすごそうな子だな…とは思ってたけど、エリと同じくらいわけわかんないわね…」
「世の中上には上がいるんだね…うんうん」
「これでいつもの私の気持ち、ちょっとは理解できた?」
「よそはよそ!うちはうち!」
「ほんっと都合のいい言葉だけは無駄に引き出し多いわよね、エリって」
「やっぱりウチって天才なのかもしんないよね…」
「天からの災害のほうね」
「誰が台風やねんって!!」
あー、なんか今日も色々あってなんだかんだ充実した1日だったなー
……ってアレ?なんかウチめっちゃえぐい忘れものしてない?
すっごい学校ライフをエンジョイしただけの1日なのは確かで、それはそれでいいことだとは思うんだけど……
「あああっ!!!」
「何よっ?!」
「どうしよ……極秘ミッションのことすっかり忘れてた…」
「何よその極秘ミッションって…」
「天地を揺るがす極秘ミッションだよ!メン・イン・ブラックみたいな!」
「その路線だとそもそもミッションがあることすら伝えちゃダメでしょ…」
「ど〜しよ〜…」
「なんの事だかわかんないけど明日頑張れば?放課後以外なら手伝ってあげてもいいし」
「放課後なんかあんの?」
「あー、うん、ちょっと呼び出しくらっててね」
「なんか悪いことしたの!?
もうっ!やだ!ウチはほとりんをそんな子に育てた覚えはありません!!」
「育てられた覚えもありません、それに先生からの呼び出しじゃないから。
それじゃあ、また明日ね」
いつも別れる分岐路に差しかかるとほとりんはいつも通りの挨拶をしてそのまんま帰ってった。
とりあえずウチは帰ったら大土下座して今日の行いを懺悔しよう…。




