過去の自分がずっと嫌いでした。⑩
はじめまして。
初心者なので雑で汚い作品です。ごめんなさい。
実体験を元にする事で主人公の心情をリアルに描けたらなと思って頑張って書いています。
粗末な作品です。恥ずかしいばかりです。
読んで頂ける寛大な方々へありがとうございます。
ぐしゃぐしゃに泣き崩れた茜の顔を見るのは何年ぶりだろう。泣きながら郁乃さんと俺を呼び続けている茜を見て、頭の中と心の中が冷たくなっていくような感覚があった。
頭がツーンとする。
無意識に何故か大きくゆっくりと深呼吸していて、それでいて至って平常心でいる自分が不思議だった。
リビングの真ん中でランドセルを背負ったままの茜、抱き付く訳でもなく郁乃さんの上着の端を掴んで立ったまま泣き続けている。
まずは怪我が無いか確認する郁乃さん。その後、出来る限りの優しい言葉で何があったのか声をかけてみると、ヒク付き泣きながら、途切れ途切れの言葉使いで少しずつ話出す小学四年生の茜。
そんな親子の姿が目の前にある。
俺は何も出来ず声も掛けられず、ただ呆然と見ていた。
時間をかけて聞き出せた言葉を頭の中で整理した。
茜が泣いている理由。
茜はイジメにあっていた。
学校では内気で大人しい茜。臆病な性格であまり友達も多く無いのは知っていた。
大人しく何をされても怒ったりやり返したりしない。だから次第に揶揄いがエスカレートしていった。かも知れない。
可愛い茜に嫉妬。そんな事もあったかも知れない。
周りは遊び半分の揶揄いでイジメているとは思ってないかも知れない。
それでも小学校に上がってからずっと、そんな日々が続いていたらしい。今日特別酷い事があった訳じゃない。
それでも今日、茜の心の限界が来た。
ウチでは無邪気で元気な茜。その純粋さが些細な嫌がらせもより深く傷を抉らせていたんだろう。
俺は郁乃さんにももちろん茜にも、学校でイジメられているとは言った事はない。俺は大丈夫だから別にいい。でも茜は違う。か弱い女の子だ。絶対許せない。
ツーンとしていた頭が次第にピリピリとしてきた。
無意識に近い感覚で自然といろんな事を考え始めているのに思考が止まってるようにも感じる。
「え!?ちょっと待って巧太君っ!どこ行くの?」
「えっと、とりあえず学校かな」
「え?え?なんで?どうして?」
娘が泣いている事より彼の不可解な言動に混乱し、その理由をあらためて尋ねる母。
「えっと。ユキナとミカとエリ、あとジュンヤとエイジだっけ?それと放置していた担任も」
「え?」
「待ってて。今、殺してくる」
その言葉を聞くなり血相を変え咄嗟に彼の腕を掴んだ。そして娘から離した右手を振り上げる。
ああ、叩かれる。
まあいいか慣れてるし。
郁乃さんの気が晴れたら殺しに行こう。そう言えば郁乃さんの怒ったとこ初めて見たな。
宙に上げた手が止まる。
あからさまに叩くモーションを見ても無反応な彼に一瞬背筋が凍る思いをした。そして、そのお陰かすぐに冷静になる母だった。
振り下ろされた手がゆっくりと彼の頬に添えられ、いつもの優しい表情で彼の名前を呼んだ。
「?」
「それをしても茜は喜ばないよ?巧太君まで傷付いて欲しくないの。茜の為に優しいお兄ちゃんでいてあげて」
最後に『ありがとう』と付け加えて二人を抱きしめる母。実に暖かい家族の姿なんだろうと他人事のように遠くの意識で見つめていた。
人の、家族の、そんな暖かさと優しさを感じ締め付けられるような感情があった。ただそれを少し俯瞰して見ている冷静さが、そんな冷めた自分が、少しだけ悲しく思った。
それ以来、茜は不登校となった。
ご覧いただきありがとうございました。
恥ずかしいばかりの雑な作品と罵ってください。
むしろそれで勉強して成長したいと思います。
投稿は不定期になります。日々少しずつ時間を作って書いています。素人なので進捗や出来に関して悪くなる事がありますのでご了承下さい。