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恋愛はSEXだと思ってました。  作者: 来栖 サナ
33/230

とは言え皆可愛いと思いました。⑧

はじめまして。

初心者なので雑で汚い作品です。ごめんなさい。


実体験を元にする事で主人公の心情をリアルに描けたらなと思って頑張って書いています。

粗末な作品です。恥ずかしいばかりです。

読んで頂ける寛大な方々へありがとうございます。

 背後に迫る危機。ゆっくりと一歩一歩近付いてくる。

 巨大な人食い鮫の映画のあのBGMが頭の中で響いていた。


 鼓動が早くなる。

 キツい視線や言葉は正直言うとそんなに怖い訳じゃない。それは昔から慣れている。本当に怖いのは紫ノ宮の存在自体、あの頃の自分を思い出してしまうのが怖い。


 声を掛けられて反射的に立ち止まったが、耐え切れずそのまままた歩き出した。


「え!?は?ちょ、ちょっと!待って!」


 走り飛び付いて来た紫ノ宮に腕を掴まれ捕獲された。そのまま引っ張られ横にある空き部屋の中に押し込まれると無言の圧力で詰め寄ってくる。

 背中の壁と挟まれ逃げられない。


 ああ、これ終わったわ。


「・・・・・」

「・・・・・」


 何か言って下さい。怖い。

 何でそんなに息を荒がれていらっしゃるんですか?


「もう、ムリ。限界」

「な、何が?ですか?」


 同じくらいの身長で目の前に紫ノ宮の綺麗な顔がある。目が合うのが苦手なせいで思わず視線を外した。

 紫ノ宮は無言のまま更に接近して自分の体をそのまま俺に押し付けて来た。全身のいろんな柔らかさが伝わってきた。

 超至近距離の紫ノ宮の顔が目の前にある。額同士をそっと付け囁いてくる。何故か急に声色も甘くなった。


「わかるよね?」

「だ、誰か来るよっ?」

「じゃあ誰も来ないとこならいい?」

「お、俺もう行かなきゃ、じ、時間ないからっ」

「じゃあ時間ある時ならいい?」

「し、知ってると思うけど、か、彼女いるから!」

「そーゆうの関係ない。こうたが言ったんだよ?」

「・・・・・」


 確かに、言いました。あの時は俺がおかしくなったばかりの頃だった。

 紫ノ宮自体俺のトラウマの様な存在、あの頃を思い出してしまった事で言葉を失っていた。


 心の中がドロドロとし始める感覚がした。それでも必死に手を動かし紫ノ宮肩を掴み引き剥がそうとするも、あまり力が入らない。


 抵抗した事自体は伝わったらしく、更に体を押し付けてきた。「やだ」と溢れた声は少しだけ震えていた。


「いつまでなの?今度の子はいつ頃別れるの?」

「え、いや、いやいや。別れる予定込みで付き合うとか無いでしょっ!?」

「ふぅん・・・そお、まあどうせ。それに関係無いし、だよね?ね?」


 甘い声で俺の名前を呼んでいる。俺以外誰も知らないんだろうな、紫ノ宮のこんなにも甘い表情。ああ、落ちそうになる。

 なるべく顔を見ない様に『無反応』という最大限の抵抗で限界だった。


 次第に甘さが無くなり切なく苦しそうに表情を歪める紫ノ宮、膝の力が抜けずりずりと崩れ落ちていく。

 相手の胸元に顔を埋めブレザーの襟元を掴んだ手と声が震えていた。


「知らな、かったの、自分が、こんな風になっちゃうなんて・・・」


 出てきた言葉は途切れ途切れで、泣いてるような震えた声だった。


 「連絡先も知らない、後悔したの、苦しかったの。そしたらまたこうたが来てくれた。・・・ずっと、寂しかったの」


 ほんのりと赤く染まる頬、潤んだ瞳。切なく甘えるその仕草はあの頃のようだ。


 やめてくれ。

 本当に、やめてほしい。俺だって。

 多分誰も知らないだろう、こいつのこんなにも可愛く愛おしいところ。

 だからだめなんだ、こうやっていつも俺は紫ノ宮という沼にハマってしまう。


 無意識に広げた手は行き場を見失ってふわふわしている。


 抱きしめてはだめだ引き剥がせ!

 そう言い聞かせる様に心の中で叫んでいた。何度目かの叫びに合わせ体が動く、勢いで飛び出し気付くとカラオケ店を出て駅前のロータリーを歩いていた。


 可愛いんだってっ!ちくしょう!くそっ、なんかこう、この辺がもやもやする。

 あー、今日はもうバイト行きたくねー。


 自分を落ち着かせる様に何度も何度も大きい深呼吸のようなため息を吐いていた。


 あ、お金払い忘れた。ごめん黒坂。

ご覧いただきありがとうございました。

恥ずかしいばかりの雑な作品と罵ってください。

むしろそれで勉強して成長したいと思います。


投稿は不定期になります。日々少しずつ時間を作って書いています。素人なので進捗や出来に関して悪くなる事がありますのでご了承下さい。

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