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第5章

 1909年。


 ヘビー級の新しいチャンプは、新しい試合を求めて旅していた。


 貧しかったジョンソンにとって・・・試合とは、すなわち『収入』・・・俗にいうところの『メシのたね』に他ならなかった。


 次の対戦相手は・・・なんと、ヘビー級より二階級も下のクラスのミドル級・・・白人の現チャンピオン!


 彼、『ミシガンの殺し屋(=アサシン)』こと、スタンレー・ケッチェルは、ミドル級だったが・・・華麗かれい大胆だいたんな男だった。

 

 色白だが、引き締まった肉体ボディ、鋭い目つきをした、なかなかのナイスガイである。


 だが、体格でジョンソンにはるかに劣るケッチェルは、試合前の合同撮影で、肩パッドの入った大きなコートを着て、しかも、かかとの高い靴(= カウボーイブーツ)を履いていた。


 ☆  ☆  ☆  ☆  ☆  


 ヘビー級チャンプ、ジョンソンの初防衛戦だ。


 ・・・彼は、注目されることが好きだった。


 みなに、自分の強さを誇示こじしたかったのだ


 先に読者の皆様に紹介した動画の中の彼の肉体を見ると・・・いかに当時のジャックの筋肉が発達していたかがわかる。


 まるで『砲丸ほうがん』のように、大きく、丸く盛り上がった、三角筋(= 両肩)。


 膨らんだ上腕二頭筋、三頭筋。


 現代のボディビルダーさえも、うらやむパーツである。


 彼はいう。


 「・・・『黒人対白人、ヘビー対ミドル』・・・こんな感じの王者同士の闘いが好きなんだよ。今度の試合でも、大いに笑ってやるぜ。」


 大勢の見物客の中に、ジャックのスパーリングをじっと見つめる、一人の白人の『淑女しゅくじょ』の姿。


 他に、女性客は、ほぼ見当たらない。


 この女性・・・名を『ベル・シュライバー』といい、それ以来、彼の生涯につきまとう女である。

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