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第4章
ニューヨークの新聞記者『ジャック・ロンドン』は、新聞の第一面に怒りの記事を書いた。
『黄金の微笑み』
『人種差別の犠牲者』
『絶望的状況』
『寛大な挑戦者』
ロンドンは、さらにこう書いている。
『前チャンピオンは、挑戦者ジョンソンの黄金の微笑みに敗れたのだ』と。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「試合に勝って、サンフランシスコに帰郷したんだが・・・家族や友人の出迎えもなかったんだ。
どうやら、白人の『王座』を奪ってはならないらしい。」
ジョンソンがつぶやく。
・・・その10年前の1898年には、辺境の町から町へと流して戦う、気楽な『巡業ボクサー』をしていた。
同郷の女と結婚したが・・・旅の生活は苦しく、妻のメアリーはテキサスに帰ってしまった。
1902年。
コロラドを巡業中に、ジョンソンは、別の女性に出会った。
「・・・まったく、まいったぜ。その女は、『クララ・カーン』っていうんだが、男とセントルイスに駆け落ちしやがった。 ・・・黒人の女は、もうやめた。」