最終章
・・・とある会場に、リングが設けられた。
リング内には、あの偉大なるジャック・ジョンソンと、もうひとり・・・
ジョンソン同様、歳を重ねたボクサーが居る。
リングアナウンサー:
「・・・こちらのコーナーに迎えたのは、『防衛戦法』の提唱者、ジャック・ジョンソン氏であります!」
嵐のような拍手が沸き起こる。
ジョンソンの肉声:
「・・・今日の試合について、ひと言申し上げる。『老醜』をさらしてまで、こうして試合に出場したのは・・・『良いこと』がしたいからだ。
人に良いことをすれば、自分にも良いことが返ってくる。
今日の相手、ジョー・ジェネットとは・・・35年から40年も前に、殴りあった仲だ。
・・・だが、いくら殴りあっても、互いに友情だけは忘れなかった。」
・・・1945年。
この日・・・
ジョンソン、67歳。
ジェネット、71歳。
場所は、ニューヨーク。
カ-----ン!!
仲良く・・・しかし、真剣に打ち合う二人のボクサー。
ジョンソンにはすでに、『不世出の王者』の名声があった。
・・・ジェネットとは、かつて、9回闘っている。
だが、この『記念試合』も含めて、ジェネットがジョンソンに勝つことは、ついになかった。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
・・・1946年6月10日。
アメリカ南部の田舎道を・・・
猛スピードで飛ばす、1台の車。
・・・運転は、ジャック・ジョンソンだ。
「・・・良いことも悪いことも、みんなおぼえているさ。ベルには裏切られた。アイリーン・・・。ルシル・・・やさしいルシル・・・。『砂ぼこり』。エタ・・・エタ・・・。」
キキーーーーッ、ガシャーーーーーン!!
「・・・俺は、ジャック・ジョンソン。黒人だ。黒人で結構じゃないか。
俺は永久に、歴史に名前を残してやる・・・!」
~ 完 ~




