第20章
・・・その試合の翌朝、オーストリアの皇太子が、サラエボで暗殺された。
『第一次世界大戦』が勃発。
タクシーも、いまや、兵士を前線に運ぶための「輸送部隊」に早代わり・・・といったところだ。
・・・大戦中の4年間に、フランス国民の一割が戦死。
ジョンソンも、銀行の凍結により・・・
先のモラン戦のファイトマネーが使えなくなる。
・・・そんなおり、ロシアに住む、アメリカ人興行師のトーマスから、ジョンソンに招待状がきた。
ロシアのペテルスブルクは遠かったが・・・
ジョンソンは引き受けた。
戦火は次第に広がっていたので、稼げる時は、今しかなかった。
ジョンソンを乗せた蒸気機関車が、目的地に向かって驀進する。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
・・・例によって、絶妙なタイミングだった。
ロシア帝国がおこなう、「最後の興行」に間に合ったのだ。
その国の儀式は・・・
あくまでも、「荘厳」「華麗」・・・そして、「深刻」な表情で執り行われた。
しかし・・・長い間、「軍神」に守られた、この無敵のロシア帝国にも、革命の足音が次第に聞こえはじめていた。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
・・・人々は、あのレーニンの言葉に、耳をかたむけていた。
彼は、暴力による革命を起こしての、ロシア帝国の「旧体制の終焉」というものを訴えていた。
ジョンソン談:
「・・・荒れてたね。
兵隊は脱走するし、あちこちにバリケードが築かれるしさ。危険と陰謀と興奮とが、まるで渦でも巻いているように・・・このあと、何か大事件が起こりそうな予感すら、俺に感じさせていたんだよ。」




