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第15章

 ・・・今度は、カフェ経営を利用して、遊蕩ゆうとうしているといううわさが立った。


 黒人のチャンピオンであるジョンソンが、白人の女性を次々と誘惑しているというのだ。


 『黒と白の肢体したいがからむイメージ』。


 ・・・それが、とりわけ冒涜的ぼうとくてきな罪に感じられたのであった。


 21世紀のいまでは、黒人男性と白人女性・・・あるいは、黒人女性と白人男性の恋愛や結婚、性行為などは、ごく普通の、あたりまえのことなのに・・・。


 ジョンソンだけでなく、すべての黒人は、このように、いわれなき偏見・差別を、ひどく受けていた。


 ・・・それは、オリンピックの金メダリストでも例外ではなかった。


 あのモハメッド・アリは、ローマ五輪での、ボクシングのライト・ヘビー級金メダリストだった。


 彼は、いつも、どこへ行くにも、このゴールド・メダルを首からぶらさげ、白人レストランでもどこでも普通に入店しようとしていた。


 しかし・・・


 ジョンソンの時代からはるかあとの時代の、1960年代に入っても、アメリカの、白人による黒人差別は根強く残っており、金メダリストのアリでさえ、入店拒否の憂き目をみている。


 アリは、「こんな金メダルなんて、まるで役に立たないし、白人に対する俺の存在価値を上げる助けにもなってくれやしない! いらねえ!!」として、川に、その金メダルを投げ捨ててしまった。


 それよりもずっと差別がひどかった時代に、ジョンソンは黒人初の世界ヘビー級王者になったわけである・・・。

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