第12章
・・・1911年の『シープシェッド・ベイ』というカーレース場。
アメリカは、スピードの魔力に陶酔していた。
その教祖的存在が、ドライバーの『バーニー・オールドフィールド』。
・・・なんと、ジョンソンとバーニーの二人が、車での対決をすることになった・・・!
車好きのジョンソンは、普段から愛車を運転し、そのドライグテクニックも、なかなかのものだった。
・・・いってみれば、これも、あのジム・ジェフリー戦同様、形は違えど『世紀の対決』・・・といったところか。
サイコロ・・・つまりダイスで、出発位置を決める。
いまのF1レースでの『ポールポジション』。
オールドフィールドは、愛車『ノックス』の点検に余念がない。
どの町に行っても、彼は絶大な人気を博していた。
人々が、彼をひと目見ようとレース場に押しかけた。
ジョンソンは、名車『ロコモビル』をこの日は選んだ。
『・・・バーニーさんよ、車に乗ったら、あんたは世界一だという評判だ。どっちが本物の世界一かは、実際に走ってみればわかる事なんだぜ。』
・・・さあ、バーニー、王者の力量を見せてくれ。
スタート!
すさまじい砂ぼこりを舞い上げて走る両者。
一周目で外側に出たジョンソンは・・・一気にバーニーを抜き去った。
バーニーが猛烈に追いすがる。
『バーニーさん、さあ来な!』
・・・バーニーは、1人で運転することを好んだ。
緩急自在の運転で、相手のペースを乱すのが得意だ。
絶妙の技巧である。
バーニーが先に出ようとするが、ジョンソンは譲ろうとしない。
ロコモビルが内側、ノックスが外側を行き、両者はピッタリと並んでいる。
ファイナルラップ・・・あと一周。
チェッカーフラッグが振られる。
おぉ・・・車が悲鳴をあげている!
It's over・・・レース終了!!
バーニーの勝ちだ。
ファンが熱狂して駆け寄る。
『バーニーがジョンソンを破った!!』・・・と。
・・・そしてバーニーは、このとき、まさに『白人の希望の星』となったのである。




