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ルームメイト  作者: 帆摘
26/41

26話

その夜、夕飯の用意はしてラップに包み、11時半頃に就寝したが、それまで忍さんが家に戻ってくる事はなかった。


次の日、いつも通り朝起きると眠い目をこすりつつ、コーヒーを点てる。そういえば、昨日忍さんは帰って来たのだろうか。こぽこぽと蒸気が上がるコーヒーを見ながら考えているとパタンとドアの開く音がして、そしてふわーっとアクビをしながら声が響いた。

「あーコーヒーの良い匂いね。ねえ、シャワー借りてもいい?」


へ??今の声って・・と振り向くと其処には・・ドアの前に全裸で立つゾフィーの姿があった。すごい、裸のマハみたい!じゃ無かった・・・なんでゾフィーさんがここに・・、しかも真っ裸?!

だが、彼女は私を気にする風でもなく、返事を待たずにそのままバスルームへと歩いて行く。一瞬の事だったが、私の思考回路に今の出来事がちゃんと理解できなくてバスルームの方向を見たまましばらく固まってしまっていた。


それからさほど立たずにシャワーの音が聞こえてくると、私は詰めていた息をゆっくりと吐き出した。えっと・・・昨日の夜、忍さんはゾフィーさんを連れて帰ってきて、xxxいたしましたと言う事なのだろうか?其処まで考えて顔が茹でタコのように赤くなるのが分かった。知識として知っていても、いくらお風呂屋さんで女性の裸を見ていたとしても、今までみじかに考える事も無かったのだが、さすがにルームメイトの部屋から裸で出て来られるといやでも想像してしまう。しばらくの間、バスルームと忍さんの部屋を交互に眺めていたが、それで何か起る訳でもないし、ここは私が忍さんの親戚から間借りさせてもらっているのだから、女を連れ込もうと文句をいう筋合いはない。


だが、なんとなく心の奥底にちくりと痛みを感じた気がするのは気のせい・・・?やっぱりあの二人はそういう「大人の関係」なのかと考えていると、バスルームからゾフィーの声が上がった。

「ねえ、遥!悪いんだけど、バスローブもってきてくれない?」

バスローブ・・・?そんなはいからなものは無いが、とりあえず何となく忍さんの部屋に入るのも・・ということで、自身のバスタオルを持って行く。

シャワーを浴びて、すっきりした顔で私からタオルを取ると、ニッコリ笑ってありがとうといった。なんとなく、それからじっと彼女を凝視してしまった。同性だが、本当に羨ましいぐらい出るところは出てるし、引き締まった良い体つきをしている。上級のクラスでは、裸のデッサンのクラスがあり、ヌードモデルも幾人かいるが、さすがに欧米人の身体付きと日本人のは違うんだと思ってつい見惚れてしまう。

「遥・・はるか?」

「え?ああ、ごめんさない!失礼ですよね、人の裸じっと見ちゃって!すみません。」

「いや・・別に減るもんじゃないから良いけど。あなたも変わった子ね?さすが忍と一緒に暮らしているだけあるわ。」


忍さんの名を聞くと先ほどまで想像していた事を思い出してしまう。と、目の前の彼女がいきなりぷっと笑い出した。

「やだ、もしかして何かイケナイ事想像してた?」そういって私の顔を覗き込みにやりと笑う。う・・この人、なんか忍さんに似てるかも・・・。

「は?いえ・・あの・・・」ついしどろもどろになる。バスタオルを巻き付けたままのゾフィーがいきなり私を抱きしめた。身長差が随分とあるので、彼女の豊満な胸にむぎゅっと顔がうずまる感じになる。苦しい・・・さすが巨乳。


「遥って可愛いわね。でも残念ながらあなたが想像したような事は何もないわよ。大体忍は昨日ジェリーの所に泊まってるはずだから。」

ジェリー・・どっかで聞いた様な・・・。あ、あの変なヘアスタイリストさん?!

「ゾフィーさんも、ジェリーさんの事知ってるんですか?」

「呼び捨てで良いわよ、遥。ええ、彼の事はよく知ってるわ。何度かショーでもお世話になったし。さて・・と、ほんと忍ったら酷いのよ。無駄使いするなってホテルから追い出しておいて、鍵だけ渡して自分はさっさとジェリーの所行っちゃうし。まったく・・私のお金なのになんで文句言われなきゃ行けないのかしら・・あ、それより遥、私おなか空いちゃった!何かない?」

「あの・・・それは・・いいんですが、苦しいので離してもらえますか?」

「ああ、ごめん〜。」私はやっと男の憧れの状況から解放されて小さく息を吸う。


それからゾフィーさんが着替えをすましてくるまで私は手早く朝食の準備をした。約10分後には、テーブルの上に、サラダ、ハムエッグ、トーストなどが揃い、私たちは一緒に座って食べ始めた。


「じゃあ、昨日の晩、ゾフィーさん・・いえゾフィーはタクシーでここまで来られたんですか?」

「そうよ、荷物もあったしね。散々説教されて疲れたからすぐに寝ちゃったわよ。忍って自分は好き放題遊んでるくせに、やたらとうるさいのよね。」

すぐに寝た・・・この人、裸で寝る癖があるんだろうか・・・汗)

「えっと、それで、結局何がどうなっているんでしょうか?」

「ああ、そうよね。まだ遥には何も話してないんだった。えっと、とりあえず、私がドイツに帰るまでの1週間、こちらでお世話になる事になったのよ。それで・・今日は大学の下見に行く予定♪忍は一度こっちに帰ってきて着替えてから大学に行くって言ってたわ。そろそろくるんじゃないかしら・・・?」

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