鑑定による魔力無限
「聞いてくれ読者諸君、ここには世界を自分の物にしてしまおうという魔王見たいな存在が多すぎる。」
白い翼に天使の輪、それに不釣り合いな万能セラミック製の白い長袖のシャツに、上から石油製品の赤いダウンジャケットを羽織り、革のベルトに、綿のジーパンを着こなした、時代の異なる衣服を着こなした少年がいた。
「すまない、自己紹介がまだだったな、僕はエノク、モーゼの友人、古代エジプトの宮廷魔術師、異世界転移者、過去改変者兼天使のごく一般人間だ。今は賢者を自称している。」
赤いダウンとジーパンの天使、彼こそこの作品の主人公である預言者エノクである。
「さて、今回この作品を手にとってもらえたと言うことは、君も魔王見たいな奴に困っていると言うことで大丈夫だろうか?」
虚空を眺めている。
「よろしい、ではまずは無限の魔力を手に入れよう。」
彼は何処からか眼球を取り出す。炎を纏った、宝石のような眼球、それを手の上で転がしながら楽しそうに笑う。
「見ると言う事は最も古く、最も新しい魔術の基本だ、見た情報を共有する事、ぶれる世界を固定する科学は、現実を安定する世界規模の現実改変的大魔術と言えるだろう。」
どこぞのアブラハムの宗教関連の、十字架的聖書を取り出し、これもそうだと笑う。
「拝火教も候補の一つではあったのだがねと、別に難しい話をしたいわけじゃないんだ、見ると言うことの凄さを知ってもらいたかったんだ、これだけ言えば説得力があるだろう。」
さて、少し離れつつある読者に、どういうふうに話せば気がひけるかと頭を悩ます。
「ああ、君らは死後の世界を夢見るように、ゲーム的異世界を信仰しているんだったね、それなら魔力が無限になる方法を教えようじゃないか、無限の魔力で異世界チート何分かりやすく強くなれる話だろう。」
君らの夢見る世界はゲームから派生した物だったねと、古いゲーム機を取り出す。
「キャラクターの強さとか、道具の性能とかがわかる。これが現実でも出来たら強いだろうって言うのが鑑定、で良いのかな?」
ドット絵のキャラクターを操作しながら彼は話す。
「ステータスって言うのが良い概念だ、これを使って魂を観測してみよう。」
自分の思う魂を思い浮かべて見よう。
「まず、魂とは物理法則に影響されない情報媒体、大丈夫、スタミナ的なHPとMPが別に表示される世界観なら上手く認識出来るさ。」
色の異なるバーでお手玉をしながら笑ってそう言う。
「僕の世界の魔術は、魔力と言う物理法則が非対応な過去の異物を使って現実をぶれさせ、そこに情報を叩き込んで現実を改変すると言う原理の、異常技術の総称、そして魔力の正体も情報、これが物理法則適応前かの神秘的な作用を介した不思議のわざの正体さ。」
だいぶ話がずれているが本人は気が付いていない。
「情報をエネルギーに変える事が出来るのは科学も証明してるらしいし、物理法則の影響を受けない情報媒体一つで、熱力学第二法則は崩れ去るのである。」
高笑いを浮かべる目の前の少年いわく、ウルボロスやマクスウェルの悪魔、竜の心臓の概念など使わなずとも、自分の魂一つ操作出来れば、永久機関の実現、無限の魔力の入手は容易いらしい。
「ちなみに、肉体に付与されてる魂の子機的な物は物理法則の影響範囲内で、バトル漫画とかで命や寿命を削って戦ったり、死後魂が消えた人間が幽霊やアンデットになる時に使われる物だから、ちゃんと魂の方を扱うように、以上本日はここまで、大丈夫、ここを見る事が出来るなら見鬼の才は十分さ。」
シナイ半島、堕天使の国、偽書として改変され消えた過去より
教師:魔術師エノク
教科:『魔王対策Ⅰ』
基本出力の確保
参考:オカルト的魔術論(自作)