2-9 高みの見物
楓さんと休日が重なりました。ということで、芝居見物へ。
「写し絵より、素敵。」
「美形の迫力、満点。」
「目の保養になったわぁ。」
「それに、ね。」
「幕の内弁当。」
「美味しかったぁ。」
「だし巻き。」
「煮豆。」
「はぁぁぁぁ。」
隠り世、代官所に務める乙女たち。花より団子?
「あの、ですね。いつまでも・・・・・・。」
「好んでお化けになったとでも?」
「更正しましょう。」
「今は、幸せです。」
「お化けが何を言うか。」
「お化けだって、幸せに暮らせますの。」
「それでは、私の昇進が。」
美味しい供物、住みよい屋敷。外に出られないというだけ。不満? 御座いません。いい加減、諦めて下さいませ。
紅葉:いざさらば 塩壺片手に 勇むのみ
無慙:引き出した 負けじ魂 挫けそう
勝敗は時の運と申します。さて、どうなることやら。
「そういえば、この辺りよね。」
「向水無慙劇場、かしら?」
「ププッ。上手いこと言うわね。」
「エッヘン。」
代官所務めの乙女たち。キャッキャ、ウフフと劇場へ。
「助けると思って。」
「徳を積むのも。」
「悪いようには。」
か、恰好悪い。お父上の藩主が御覧遊ばしたら、嘆かれますわよ。それでも、宜しいの? 若君。
「拗らせているとは、聞いたけど。」
「拗らせるどころか。」
特等席から高みの見物。のはずが、不安になる乙女たち。
「桜さん。」
「なあに、楓さん。」
「どうにか、ならない?」
「同じコウセイカでも、違うのよ。『正チャンまあく』の更正課は、改めて正しくするのが仕事。『生チャンまあく』の更生課は、生き返らせるのが仕事。」