表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/13

2-8 孫って、可愛い

早いものです。孫が高校を卒業しました。春から大学生です。将来が楽しみですわ。



「娘さん、こちらへ。」


いい加減、諦めなさいな。


「恨み、晴らしましょう。」


結構です。


「お望みなら、なんなりと。」


間に合っております。



闇って、シツコイ。私、とても幸せなの。そりゃね、はじめは嫌でした。けれども、落ち着きました。だから、諦めて下さいませ。





「しかし、困るのです。」


「私は、まったく困りません。」


「そんな。妖怪を助けると思って。」


「妖怪?」


「はい。隠り世、代官所。更正課の期待の星、向水無慙むこうみずむざんと申します。




あらぁ。また、随分と個性的なお名前ですこと。向こう見ずで、罪を犯しても恥じない。


そうですか・・・・・・。名は体を表すと申します。お引取り下さい。




「人を見かけて判断するなど。」


人ではなく、妖怪では?


「とにかく、昇進がかかっているのです。」


私に、どのような?


「つ、冷たい。だからお化けなんです。」


あら? 罵倒されたのかしら。





「祖母から離れて下さい。」


「おかりなさい。」


「ただいま戻りました。おばあ様、こちらへ。」



料理用の塩でしょう?効きませ・・・・・・。


「ウギャッ。い、痛い。無礼者、止めよ。それでも大学生か。」


「はい。帝大生です。」


学生証を印籠のように見せる孫。拍手する紅葉くれは




「祖母は渡しません。連れて行くなら、祖父を。」


だんな様、涙目。


「まだ生きているではないか。そもそも、私はだな。や、止めろというに。更正課だ、送迎課ではない。」


食塩攻撃、有効です。





隠り世、独身寮。


「桜さん、聞いた?」


「え、何を?」


「自称、期待の星。失敗重ねて、拗らせたって話。」



向水無慙。某藩主の九男として生を受けた。流行り病に罹り、享年十。座右の銘は『天上天下唯我独尊』、好きな言葉は『我が世の春』。


富士の御山より高い自尊心を持つ、とっても残念な若君。失敗を失敗と思わず、果敢に攻め続けた。結果は、無残。


お揃いね、お名前と。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ