2-1 紅葉
祝~hafuri~連載100回記念。
愛されあれば、歳の差なんて? 私の許容範囲は、差し引き5歳ですの。いくらなんでも、ないわぁ。
お父様、私が可愛くないのですか。チョットどころでは御座いません。お相手、親子どころか・・・・・・。
花も恥じらう十五歳。親の決めた縁談を断れず、次の日に嫁入り。しかも、お式なし。
非情な仕打ちを受けながら、決して怯まず俯かず、最善を尽くす紅葉。その運命や如何に。
信じられません。愛されあれば、歳の差なんて? 私の許容範囲は、差し引き5歳ですの。
「お断りします。」
「もう、決まったことだ。」
「嫌なものは、嫌です。」
そもそも、愛なんて御座いません! お父様より、お年を召して・・・・・・。
ハッキリ申し上げます。お爺様ではありませんか。私、十五です。娘が可愛くないのですか。
「紅葉、嫁に行け。」
「お兄様まで。」
人を見かけで判断するな。ええ、仰る通り。でも。そんな。けれど。いえ、ですから。そんな!
「結納金を、だな。」
「はい。」
「使った。」
「何に、でしょうか。」
知りませんでした。そんなことになっていたとは。でも、いくら何でも。
「そもそも、なぜ私なのですか。」
「先方が、その。是非とも嫁に、と。」
私、女学生です。せめて卒業するまで、待ってもらえませんか。えっ、学費が払えない?
「そんなに。」
「火の車だ。」
「そ、れでは。その。」
「嫁に行ってくれ、紅葉。」
嫌です。この屋敷を売却しましょう。美術品や調度品もすべて。そうすれば。え、手遅れ。何をおっしゃるの。小さな家へ、引っ越しましょう。私、働きに出ます。
「もう、どうにもならない。」
「なぜですか。」
「この屋敷は、その。」
「その、何ですか。」
「抵当に。」
知りませんでした。気づきませんでした。なぜ、今まで。節約するとか、倹約するとか、生活水準を下げるとか。方法はあったはずですよね。外聞が悪い?
「紅葉、親孝行だと思って。」
「嫌なものは、嫌です。」
明日、結婚することと相成りました。いくら何でも、急すぎます。しかも、御式なし。それこそ、外聞が悪いのでは?