コネクト&シェア②
「いや、俺はそんな趣味無いから。」
リバイアサン(ゼントリモート中)はシェリーの言葉を否定した。
「いえ、人には様々な趣味趣向がありますので、別に恥ずかしがる必要は・・・・。」
「いや、もう全然信用していないな。」
シェリーはジト目でゼントを見ているのだ。
「分かった、元に戻って説明するから。」
リバイアサン(ゼントリモート中)がぐったりとしたと思うと白目を剥いて寝ていたゼントが眼をを開けて起き上がり、リモートが解けて目をさましたリバイアサンは驚いて辺りをきょろきょろと見渡していた。。
「わ、いや、ここは何処じゃ?」
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ゼントはシェリーにリバイアサンを”リモート”で操っていたこと、自分は〇態ではないことを説明し、何とか納得してもらうことが出来た。
「リバイアサン・・・・って、もしかしてあの黄金龍の『リバイアサン』なんですか!?」
女性の正体がリバイアサンと聞いてシェリーは眼を丸くして驚き、リバイアサンは何故かどや顔をしていた。
「そうじゃ、儂がリバイアサンじゃ。」
「モンスターが人間に化けるなんて聞いたことないんですが・・・。」
シェリーは恐る恐るリバイアサンに質問した。
「まあ、1000年も生きておれば人に化けるぐらい造作もないことよ!カッカッカッ!」
リバイアサンは得意満面で高笑いをしながら胸を張っていた。
「はぁ、そういうことなんですね、分かりました。」
シェリーは最初はリバイアサンを恐れていたが、直ぐにこの状況になじんでしまった。流石に2度も転生していると、異常な状況に対する順応が早いのだ。
「それでリバイアサンさんのお名前なんですが、流石にそのままだとまずいのでニックネームで呼ばせていただけませんか?」
「ニックネームか?・・・いきなり言われてものう・・・。」
リバイアサンが返答に困っているとゼントが、
「お前ケンちゃんに何て言われていたんだ?」
「おお、そうじゃ!ケンちゃんには『リー』ちゃんと呼ばれておったわ。」
「リーさんですか、それなら呼びやすいし、問題ないですね!リーさんよろしくお願いします!」
シェリー両手を掴まれたリバイアサンは少し照れくさそうだった。
「それで、リモートって誰でも出来るんですか?」
「リモートは俺の従魔になってないとできないんだ。」
「そうですか・・・。」
何故かシェリーは少し残念そうな顔をしていた。
(コネクトスレバ、リモートト似タヨウナ効果ガデキマスヨ。)
「ああ、そうかあれか!」
ゼントが大声を上げたのでシェリーは少々ビビっていた。コネクトの声をオープンにしていないのでゼントが突然叫んだように見えたのだ。
「あ、ごめん、コネクトを使えば同じ様な効果が得られることを思いついたんだ。」
「そのコネクトというので他の人を操れるのですか?」
「操るのではなく、入れ替わるって言った方が良いかな。」
「入れ替わるって?例えば私とゼントさんの意識が入れ替わるってことですか?」
「そう、そんな感じだよ。」
「なんか、面白そうね。」
背後の声に振り向くと、そこにはサリーがいた。気が付かないうちに部屋に入って来たのだ。
「ねえ、私達にも出来るかな?」
「んーっとどうかな?念話が出来ないと無理かもしれないね。」
以前ゼント達がやったようにコネクトするには、念話のスキルが必要なのだ。
(シェリーサンハE、C魔素共ニ人並以上アリマス。サリーサンにはE魔素ガ殆ドアリマセンガ、C魔素ヲ多ク持ッテイルマス。C魔素ガアレバ手ヲ繋イデ接触シタ状態デコネクトシテ念話スキルをシェアスレバ可能デス。)
「成る程、そうなんだ!手を繋げば良いんだ!」
再びゼントが突然大声を発したので二人共かなりビビっていた。
「ゼントさん、一体誰と話してるんですか?」
くどいようだが二人にはコネクトの声は聞こえていないのでゼントが一人芝居をしているように見えているのだ。
「説明するより、コネクトする方が早いからやってみよう。」
ゼントはシェリー達と縁を描く様に手を繋いだ。
「これで良いのですか?なんか幼稚園のお遊戯のような感じですね。」
以前よりゼントもそう感じていたのだが、シェリーに言われると恥ずかしくなってしまい顔が赤くなってしまった。
「まあ、いいから始めるよ!コネクト、頼む!」
『了解シマシタ。』
「「え、今の声誰?」」
手を繋ぐことによってリンクが出来たため、二人にもコネクトの声が聞こえたのだ。
『ソレデハコネクトヲ開始シマス。』
コネクトの声共に三人の視界が入れ替わった。
「え?私が前にいる?」
「何?この低い声?」
「えっと、私とゼントさんが前にいるといいうことは、今お姉ちゃんに入ってるのかな?」
「え?私が勝手にしゃべっている!」
「だって意識が入れ替わるんでしょ?お姉ちゃん。」
「そ、そうだったわ、あなたサリーなの?」
「へへへ、そうよ!これ面白ーい!」
普段は動揺しないシェリーであったが、自身がこういう異質な状況になると流石に動揺しまくっていた。それに対してサリーは考えが柔軟なのか、もうこの状態を楽しんでいるのだ。
「どう?こんな感じだよ。もういいかな?」
「ちょっと待って。」
「まて、まだ手を放すんじゃない!」
シェリー(inサリー)は二人とつなぐ手を放すと鏡の前に駆けていった。
「そう、私早く大きくなりたかったのよねー。」
シェリー(inサリー)は鏡の前に立つとなにやら色っぽいポーズをしだした。
「私の胸もこれくらい大きくなるのかしら?」
「コラー!人の体で恥ずかしい事するのは止めなさい!!」
ゼント(inシェリー)が大慌てでシェリー(inサリー)に駆け寄り後ろから羽交い絞めした。
「良いじゃない!このくらいやっても。」
「やりたければ自分の体ででやりなさい。」
「私のはまだ小さいのよー!」
二人がもみ合っているとドアの方から大きな咳払いが聞こえた。
「ごほん!ゼント君、嫁入り前の娘になってことをしてくれるんだ!!」
入口にはラウス(シェリー達の父)が顔を真っ赤にして立っていた。
「「お、お父様」」
「ゼント君、君にお父様と言われる筋合いはない!シェリーも、護衛を頼みに行ったきり帰ってこないから来てみれば何をじゃれついておるんだ!」
ラウスが今にもゼントにとびかからんと言うその時、サリー(inゼント)がぼそっと呟いた。
「ま、誠に申し訳ありません。」
「なんでサリーが謝るんだ?」
不思議そうにサリーを見たラウスに対してサリー(inゼント)が事の顛末を説明し、ケイラに納得してもらうまで1時間も要したのだった。