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報連相②

「問題は、どうやればばれないように銅の部品を看板入れることが出来るかだな。」


 ウイリアムはため息交じりの発言に皆がシーンと静まり返った。


 コネクトの名案に雰囲気が明るくなったのも束の間、どっと圧し掛かる難題に皆が考え

込んでしまったのだ。


「にかわで銅板をくっ付けたらいいじゃないか?」


 この沈黙を破ったのは何とミュウだった。


「ミュウ、くっ付けるっていい案だけど銅板をくっ付けたら丸わかりだし、店の人に怒られるぞ。」


「怒られないように夜目が聞く我が夜にこっそりつけてくるぞ。」


「いや、それでも銅板だと看板のメッキとでは見た目が全く違うし・・・・・・そうかか見た目が同じならいいんだ!」


「ゼント、なんかいい案でも浮かんだのか?」


「コネクト、看板の何処に銅板をくっ付ければ一番効果があるんだ?」


『看板ノ右下ニアル円形ヲシタ部位ニ転移装置ノ一部ガ埋メ込マレテイルノデソノ部位ガ一番効果ガアリマス。』


「よし、あそこなら貼り付けやすそうだ。」


「ゼント、さっきは目立つって言ったばかりじゃないか?」


 ミュウが不満そうにゼントに尋ねた。


「銅板そのままだったらね。偽装するんだ。」


「「「「「偽装?」」」」」


 皆がゼントを見つめる中、得意そうにゼントは話始めた。


「あの転移装置も看板に偽装しているんだ。妨害用の銅板も偽装すればいいんじゃないか!あの丸い部分なら少しくぼんでいるから同じ様にメッキをしたものを張り付ければぱっと見分からないだろう。」


「そうか、銅板に看板と同じメッキをするのか!」


 ウイリアムは思わず椅子から立ち上がった。


「そう、でも銅板にメッキって出来るのか分からにので明日にでもケイラ商会に相談したいんだ。出来ないにしても何かしらうまい手はあると思う。」


「よし、明日朝一番にケイラ商会に行こう。」


 やっと話がまとまってきたところで、聞きなれない声が部屋に響いた。


『主~~!』


「だ、誰?」


 リーナが聞きなれない女の声に、怯えるように辺り見回すが誰もいない。一方ゼントは頭を抱えていた。


「リバイアサン、何の用だ?」


「「リバイアサンだって?」」


 コネクトの声をオープンにしていたのでリンクしているリバイアサンの声が皆にも聞こえてしまったのだ。

 リバイアサンを従魔にしたことをゼントは言い忘れていたので、ウイリアムとリーナは目を丸くして驚いていた。


『主————っ!『ケン』ちゃんが我に冷たいんだ!』


「なんだ、その『ケン』ちゃんと言うのは?フルネームで言ってくれないか?」


 ゼントは嫌な予感しかしなかったが、とりあえず聞いてみた。


『『ケン』ちゃんのフルネームは『クラーケン』じゃぞ!』


 やっぱり、ゼントの予想は当たっていた。海にいるSSランクのタコのモンスターだ。


「あ—————っと分かった。その『ケン』ちゃんはお前の友達なのか?」


「そうだ、仲の良い友達じゃ。いつもは我が遊びに行くと一緒にじゃれ合ってくれるのに、今日はガン無視でつれないんだよ————!」


 巨大なリバイアサンと巨大なタコ(クラーケン)がじゃれ合う・・・・ゼントは非常に見たくない状況を想像して気持ちが悪くなってしまった。


『我がコントローラとやらを打ち込まれた時に無視していたのが気に食わんっかったのかのう?』


 コントローラ・・・・・もしや?


「えーっとリバイアサンはスキャンスキルは使えるか?」


『そんなスキルは無理じゃ!にしてもそれで何するんじゃ?』


「えーっとそれじゃあコネクト、リバイアサンをリモートで操れないか?」


『従魔ニナッタコトデリンクデ繋ガッテイルノデ、コチラカラリモート操作可能デス。』


「ところで『ケン』ちゃんはまだ近くにいるのか?」


『目の前におるぞ——!』


「よし、じゃあそこを動くな。コネクト、リモート接続を頼む。」


『了解!』


 コネクトがリモート接続をすると、ゼントは椅子の上で硬直したように動かなくなってしまった。


「うっ、これが『ケン』ちゃんかよ。」


 ゼントの眼には巨大なタコが海底でじっとして動かない姿が映っていた。日が暮れかけているせいか海の中は薄暗かったが、リバイアサンの眼の感度が高いせいか意外とはっきりと見える。


「主、何で我の中におるんじゃ?」


「まあ、細かいことは気にするな。これからケンちゃんを元気にしてやるから。」


「そうか!頼んだぞ!」


 ゼントはリバイアサンの手を動かしクラーケンの足に触り魔力を込めた。


 凄い魔力量だ、これならクラーケンの魔力があってもスキャンできるな。


『主、コントローラヲ発見シマシタ。ケンチャンノ右目ノ後ロニアリマス。』


「分かった。それじゃあ、ちゃちゃっと破壊しようか。」


「リバイアサン、あの口からだした怪光線使うぞ!」


「なっ!あれは怪光線なって言わないぞ。あれには『閃光尖』とう名前があるんじゃぞ。まて、あれ使ったらケンちゃん死んでまうぞ。」


「大丈夫、出力は十分絞るから。」


「そ、そうか、じゃあ任せたぞ。」


 ゼントはコネクトの助けを借りながら、口から『閃光尖』を試しに出してみた。


「お、うまくいきそうだ。」


 ゼントは魔剣無しに使えるスキルはヴェルスに貰ったエクストラヒールだけだ、ましてや口から出すスキルなんて初めてなのだ。


 カッ!!

 

 リバイアサン(ゼントリモート中)の口から物凄く細い『閃光尖』がケンちゃんに向かって放たれた。


 ズヴッ!『閃光尖』は鈍い音を立ててケンちゃんの右目後ろの”少し上”を通過し、ケンちゃんの体液が水中にぶわっと広がった。


「クキャキャキャキャ——————!!」


 ケンちゃんが高周波の雄たけびを上げながらリバイアサン(ゼントリモート中)に向かってきた。


『主、ワズカニ外シテイマス!』 


「えっ、そんな————!」


 ケンちゃんが怒って墨を吐いたため、辺りは真っ黒になりリバイアサン(ゼントリモート中)はケンちゃんをロストした。


 ギリギリギリギリギリギリ!リバイアサンは全身に締め付けられる痛みを感じていた。


「こ、これはもしや?」


 ゼントもリバイアサンをリモート中のため、同じ痛みを味わっていた。


「こ、これはケンちゃんが怒って我を絞め殺そうとしとるんじゃ————!」


「げ、やっぱり。」


 ケンちゃんの8本の足がリバイアサンの上半身全体に絡みつき全身を締め上げているのだ。

「いつつっ、ケンちゃんを引きはがす方法は何か無いのか?」


「そう、いきなり言われても我は・・・・・。」


 ケンちゃんは更にリバイアサンを締め上げ始めた。


「うっ、ぐぐうぐぐうー、こ、このままだとやばい・・・全身が雷で打たれた時の様に痺れてきたぞ。」


 ゼントはウルスに雷でやられた時を思い出していた。


「か、雷・・・そ、そう言えば、ケンちゃん、雷が落ちた時気絶していたような・・・。」


「そ、それを早く言え!」


 ゼントはリバイアサンの角を使って、大急ぎで雷撃を放った。


「はあ、はあ、結構痺れたが、う、上手くいったようだ。」


 雷撃によりケンちゃんの動きは停止し、締め付けが緩んだのだ。


「よし、もう一回やるぞ。」


「今度は失敗しないでくださいよ!」


「わ、分かってるって!」


 ゼントは雷で失神しているケンちゃんの右目の後ろリバイアサンの顔を近づけ二度目の細い『閃光尖』を放った。


 『閃光尖』は見事にコントローラを破壊し、そのままエクストラヒールでケンちゃんの 『閃光尖』による傷と雷によるダメージを回復させていやったのだ。


「これでよしっと。ん?なんだ、なんだまた絡んできたぞ!また襲う気か?」


 エクストラヒールで意識を取り戻したケンちゃんはリバイアサン(ゼントリモート中)に8本の足で絡まってきたのだ。


「主ー!これは違うんじゃよ、ケンちゃんはコントローラを破壊したやったので喜んで我に絡みついて来てるんじゃ!」


「いや、さっきと余り状況が変わらないのでは?」


「違うんじゃ、ほら、締め付け方に愛情を感じるじゃろ!」


 いや、そんなの分からん。ゼントは心の中で突っ込みを入れていた。


「まあ、もういい、俺はもう戻るからな。それじゃあ!」


「主——っ、本当にありがとう!」


 リバイアサンのお礼を聞いた後、ゼントはリモートを切断して意識を本体に戻した。


「んんっ、あ——————!」


 ついさっきまで死んだように動かなくなっていたゼントが急に目を開けて伸びをしだしたので、周りにいた全員が一瞬ドキッとしていた。


「お、終わったのか?」


 ウイリアムが恐る恐るゼントに声をかけた。


「ああ、ケンちゃんは正気に戻ったよ。」


『主―!聞こえる?』


 またリバイアサンの声が部屋の中に響いた。


「な、何だ!またなんかあったのか?」


「ケンちゃんがね、ありがとうだって。」


「そうか、じゃあケンちゃんによろしく言っといて。」


「分かった。それとケンちゃんも主の従魔になりたいって言ってるんだけど、良いか?」


「丁重にお断りします!」


 即答だった。


「そんなつれないこと言わないでさー。」


「あーリバイアサン、儂の声が聞こえるかのう?」


『ひ———っ、我の腕を切った怖い人じゃ!』


「従魔の件はゼントに考えるように言っておくから、お前に頼みたいことがあるんじゃが。」


『な、なんじゃ?』


「お前は、他にもSSランクモンスターの友達はおるのか?」


『ああ、おるぞ。こう見えても我は友達が多いんじゃぞ!』


「そうか、それなら他の友達もケンちゃんみたいになってないか確認してくれんか?」


『ああ、良いぞ。・・・・っ、他の友達もコントローラを埋め込まれてる可能性があるというのか?』


「そうじゃ。既に二人もそうなってるんじゃからな。」


『分かったぞい。まずは近くに住んでるガメちゃんに会ってくる。主よう、ガメちゃんもコントローラ打ち込まれてたら直してやってな。』


「ガメちゃん・・・・ああ、分かった。ガメちゃんがおかしかったら直ぐに連絡しなさい。」


 ゼントはガメちゃんのフルネーム聞こうとしたが言葉を飲み込んだ・・・・登録商標にひっかかりそうな気がしたのだ。


「それじゃあ、皆に会ってから陸へ行くから待っててな、主!」


「いえ、無理しないで海で暮らしてください!」


 即答だった。

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