幕間
夢を見ている。
時を遡った先は、僕の村だった――そんな夢を。
懐かしさとつらい記憶が同時に押し寄せてきて、思わず涙が込み上げる。
久しぶりに見る村は、記憶より少し小さく見えた。
僕は「あの日」に帰ってきた。
「あの日」の記憶どおり、事が進む。
村が壊されていく。
少し離れたところから、四年前の僕がブラッドと対峙するのが見える。
エリルがあの日の僕の背後で、覚悟を決めたような顔をしている。僕の前に飛び出すことを決めたのだろう。
僕は駆け出す。
今の僕の力をもってすれば、家族を殺し、僕を絶望の淵に突き落とした触手のブラッドも、簡単に倒せた。
「ありがとう。お兄ちゃん」
エリルが笑いながら、僕を見ていた。
「これからはまた一緒に暮らそうね」
また涙が出そうになる。
やっとここに戻ってこられた。
ずっと願っていたんだ。ここから、やり直したいって。
「あの日の僕」の姿は、いつの間にか消えている。
僕はこれから、「あの日の僕」に代わって、またこの村で、穏やかに時間を進めていけるのだ。
エリルの言葉に、頷きかけて、はたと気づく。
僕が戦わなければ、彼らはどうなるんだろう。
僕がこれからもブラッドと戦わなければ、どうなる? 今も誰かが泣き叫んで、苦しんで、死んでいく。
ノスタルジアで死んだ人たちの顔が思い浮かんだ。
僕は、どうしたいんだろう。
「お兄ちゃん?」
エリルが僕を見上げる。
そこで目が覚めた。




