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汗臭くても恋は出来ます。  作者: オオクマ ケン
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    5



「じゃあ、私部活に行きます」

「そう。じゃあ、俺も図書委員に顔出してくるか」

「じゃあ、先輩」

そう言って、友代は俺と別れた。

手を振る俺。

さてと、嵐のような台風のような放課後だった。

去って行く友代を見送る俺。

俺はもう満足げであった。

俺も帰るか。

そんな時だった。教室を出ると、何やら小さい女子が立っていた。

誰だ?

前髪パッツンの後ろ髪もパッツンしたボブカットの髪型に制服の上にカーディガンを着た、おそらく一年生の女子だ。目は大きく、ジッとこちらを見ているではないか。

「君、誰?」

俺は声をかける。

その子はニコッと笑い、俺の方に寄ってくる。

近い。

「先輩」

俺のことか?知り合い……でもないし、初めましてかな?

そう思った時だった。その女子が俺のほっぺにキスをしてきたのだ。

あわわわ。なんてこったい!

と、間の悪いことに友代が戻って、その場に居合わせたのはまったくの偶然だった。

「先輩、私鞄忘れちゃって……」

なんてタイミングだ。

頬にキスされている瞬間を見られてしまった。

一体誰だ、この女子?

唇を戻すと、その子は言った。

「私は隣の一年B組の西川音子。先輩の事、横取りしちゃおうかなーって」

おいおい、そんなんでキスされたら警察はいらんぞ。

というか、初めて頬にキスされた。

俺ってやつは……。

ちょっと嬉しかったじゃないか。

いやいやいや、そんなことはないぞ。

俺は友代一筋なんだからな。

友代はその場に立ち尽くしている。

「ふ、不潔!」

そう言うと、友代は鞄を取って去って行った。

「おいーっ!君は俺の彼女の前で何を晒してんじゃー!」

ツッコミ正拳!

正義のチョップを音子にお見舞いしてやる。

「あたーっ」

音子の奴は頭を押さえた。

「先輩、ひどい!私のファーストキス奪っておいて」

と、とんでもない言いがかりだ。

ほっぺにチューされたのは俺の方だぞ?

これが口だったら、俺は、俺は、もーっ!

「お前は一体何がしたいんだ?」

「やだなー、先輩。私さっき、全部見てたんですよ」

な、なんだと?

さっきの由紀枝たちとのやり取りを見てやがったのかー。この出歯亀女め!

待てよ?なぜそれで俺にほっぺにキスすることになる?

「で、お前はなぜあんなことを?」

「私、人の物を横取りするのが大好きなんですよ!」

なんて奴だ……。

「私、姉川由紀枝とは委員会が一緒で、あの女出しゃばりで何かムカつくんですよ。だから、先輩を横取りしちゃおうかなって」

警察呼んで来い。まったく……。

「いやいや、俺由紀枝とは付き合ってないから。むしろさっきの眼鏡の女の子と付き合ってるんだから。ダメだよ。君」

そう言って諭してやる。俺って大人だなぁ~。

「さっきの子って、剣道部で有名な強い子ですよね?確か、友代!坂口友代でしたっけ?」

「ああ、そうだ」

「何であんな冴えない子と付き合ってるんですか、先輩?私の方が可愛いでしょ?」

確かに可愛い。それに何かネコっぽい。

背も小さく、ほとんど小学生か中学生にしか見えない。

いやいや、俺はロリコンじゃないぞ。多分……。

可愛い。可愛いけど、ダメだ。ダメなんだ。

何度も言うが、俺は友代だけなんだ。

大体こいつは俺のことが好きなわけじゃない。ただ由紀枝や友代と張り合いたいだけなんだ。そうだろ?

「おい、お前のことなんか俺はこれっぽっちも好きじゃないんだからな」

「先輩」

「誤解のないように言っておくぞ。さっきのキスもただの事故だ。分かったな?」

「ひ、ひどい。私だって先輩のことが好きで好きでたまらないのに!」

ん?何を言ってるんだこの小娘は。

「だから、そんな嘘言ったって騙されないぞ!」

「ひどいです。私は純粋に犬雄先輩のことが好きでキスしたのに」

「おいおい、何を言い出すんだ?」

「ホントです。私、先輩が好き!」

こ、こいつは、その、告白?告白なのか?

いや、騙されないぞ!

「嘘言うなって」

「ホントです。信じてくれないって言うんなら、私のスカートの中見せてあげますよ!」

そう言うと、音子は自分の制服のスカートを自分でたくし上げた。

「わ、バッ、バカ!何やってんだよ」

俺は顔をそむけた。

女子のスカートの中なんて堂々と見るもんじゃない。

そりゃ男が廃るってもんだぜ。

でも、ちょっとだけ……。

俺は顔をゆっくりと戻した。

つむりかけていた目を開ける。

スカートの中は短パンだった。

こいつ~、からかいやがって!

いくらなんでも怒るぞ。ちょっと期待しちまったじゃんか!

ぱ、ぱ、ぱ、ぱんつが見えるもんだと……。

いやいやいや、俺という男はそんなモンには心動かされないぞ!

たかが、ぱんつごときに。

いや、しかし残念だったなー。

ってバカか俺は!

「音子、だったか?お前は何がしたいんだよ」

「あはははは。先輩、私スカートの中見せるって言ったんですよ。ちゃんと見せました。どうです?何か期待しちゃいましたか?」

バカにしやがって~。微妙な男心をもてあそぶとはこの女~。

許さへんで!どついたろかー?

俺、どこの人だよと自分ツッコミ。

さて、こいつをどうしたもんか。

まぁ、女子だしな。それに後輩だし。

「音子。俺はお前に答えることは出来ない」

「先輩……」

「悪いな」

ニヒルに決める俺。

カッコつけすぎじゃないか?

ま、いいか。

「俺は好きな人がいる。そしてその子も俺のことを慕っている。だから、俺はそれだけに答えたいんだ」

「先輩、それカッコいいですね!」

うんうん、そうだろう?

俺はカッコいいのだ。多分。

「私、やっぱり先輩の事好きです!」

は?

何を聞いてやがったんだこのアマ!

「いや、だからダメだって」

「いいえ、私誤解してました。先輩は見た目はアレだけど……」

ほっとけ!

「でも、先輩の中の熱い心は私の冷めた心をあったかくしてくれました。人を愛するって素敵ですね」

「ああ、まぁ、お前もいつかそうなるといいな」

「ええ。私は先輩のことが好きです!この想い、分かってください!」

おいおい、この展開はないだろ?

由紀枝に続いてこの子まで。

俺のモテ期は今なのか?

だが、断る!

「すまん、悪いが諦めてくれ」

「だって、先輩は私とチューしたんですよね?」

「お前がしてきただけだよね?」

「それにさっき、先輩の彼女さんにも見られたことだし」

そうだったー!

ヤバい、マズイ、ヤバい、マズイ。

これがきっかけで『先輩、もう嫌いです。この浮気者!』なぞ言われた日にはどうなることやら。

付き合った翌日に破局!なんて展開も。

あるわけないが、あるかもしれない。

どうするどうするどうする?

ああ、もう、由紀枝のことやら音子のことやらもーわけわからん!

俺の青春どうなるんだー?



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