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生霊  作者: なかむらこむぎ
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B男さんはくたびれたTシャツにスウェットという格好で、腕をだらりと下げ、私を見ていました。

憎々しげな表情を浮かべる顔は、醜く歪んでいます。

異様な雰囲気でしたが、周りの人は誰も気にした様子はありません。


生霊


その言葉が頭に浮かびました。


私はB男さんに背を向けると、人混みのなかに隠れました。

ときどき振り返ってみても、B男さんの生霊がついてきているかどうか分かりません。

(どうしよう)

私は逃げながら懸命に考えました。


私は地元まで戻ると、神社に向かいました。

このまま家に帰るのはまずい気がしたのです。

境内に入ると、嫌な空気がふっと晴れたような気がしました。

私はほっと胸を撫で下ろし、お詣りをしてから家に帰りました。


ずっと緊張していたせいか、家に帰るとどっと疲れました。

私は母が用意しておいてくれた夕飯を食べてお風呂に入ると、ベッドに寝転びながらスマホで生霊について調べました。

厄介なことに、生霊は成仏させる事ができないため、お祓いをしてもまた憑いてくるようです。

そして、生霊をとばしている本人は自覚がないということでした。


生霊から逃れる一番確実な方法は、原因を突き止めて解消すること、相手との関係を改善することだと書いてあります。


しかし和解しようにも、B男さんがなぜ私を憎んでいるのか、理由がわかりません。

(あの人、何を怒っているんだろう)

すぐに思い付くのは、更衣室での一件です。

(もしかして私が上司にストーカーのことをチクッたと思っているのかな)

上司に相談するように勧めたのは私なので同じようなものかもしれません。

それでもA子さんは怖がっていたのですから、私を恨むのはお門違いです。


恨みの根元は何なのか、本当のところはB男さんと話をしてみてないと分かりません。

しかし廊下でのB男さんの態度を考えると、それは難しいように思えました。


結局、B男さんの生霊から逃れる方法は見つからず、私は気休めに塩と神社のお守りを持ち歩くことにしました。

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