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生霊  作者: なかむらこむぎ
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この人はまともじゃない。

私は今までと違った怖さを感じました。


そして今まで思いもしなかった、生身の方で被害を受ける可能性に気づきました。

B男の思い込みの激しさは異常です。

それにずっとB男の生霊を見てきた私は、彼の内面にある狂暴性を感じ取っていました。

何かのきっかけで凶行に及んでもおかしくありません。


妄想の世界で生きているB男の考えなんて、他人には分かりません。

何がきっかけでどういう行動に出るのか、誰にも分からないのです。


私は、自分が思っていたより危険な状態にあると知り、焦りました。

(どうしよう…)

警察や上司には相談できません。

生霊の話などしても、こちらの頭がおかしいと思われるだけです。

自衛するしかないと思った私は、これまで以上にB男との接触を避け、防犯スプレーを肌身離さず持ち歩くようになりました。


この状態がいつまで続くのか分かりません。

A子さんが結婚すれば終わるのでしょうか。

それとも結婚してもこのままなのでしょうか。

A子さんの結婚によってB男が自棄を起こすことだってあるかもしれません。

いっそ転職した方が良いのでしょうか。

誰にも相談できません。私一人で考えなくてはなりません。


この頃の私は、追いつめられてかなり弱っていました。

それがB男の生霊につけ入る隙を与えていたのでしょう。


B男の生霊は、それからも毎晩夢の中に現れて、私に恨みをぶつけます。

特に私がB男に苦情の電話を取り次いだ日や、B男が上司に叱られた日は、ものすごい勢いです。

完全に八つ当たりですが、B男は自分こそが被害者だと思っているのでしょう。


私は塞ぎがちになりました。

入浴すら億劫で、なんとか身だしなみは整えるものの、生活の荒れが外見に表れています。自覚はあるものの、どうしようもありませんでした。


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