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レース編み
私を見つけて。
いいえ、見つけないで。
レース編みの向こう、隠れて潜んでいる。
棘は怖い。
とりわけ無意識の棘は、笑顔で私を引っ掻いて苛む。
だから目くらましの魔法をかけた。
棘は消えて無となった。
私が強ければ良いだけの話だった。
けれど私は変われなかった。
ある日ついに堰が決壊して、沈黙の嵐が揺れた。
ごめんなさいと呟いて、私は逃げた。
いにしえから人はこうであっただろうか。
こうでなければ、剣を取り、戦うしかなくなる。
だから逸らし、逃れ、魔法をかけて隠れるのだ。
棘は花であれば良い。
鳥であれば良い。
魚であれば良い。
人が無垢である瞬間はある。
けれど無垢の連続では正気ではいられなくなる。
清水ばかりでは生きていけない。
わずかな濁りも必要なのだ。
時折、わずかな濁りにさえ耐えきれぬ魂の叫び。
それは私とはほんの少しの違い。
隣なる狂気。
私は恐ろしくなって、そっと離れるのだ。
叫びに耳を塞ぎ。
大好きな貴方。
私を見つけて。
いいえ、見つけないで。
けれどきっと見つけて。