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織田家の長男に生まれました  作者: いせひこ/大沼田伊勢彦
第一章:気が付くと戦国時代【大永五年(1525年)~天文九年(1540年)】
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信長じゃなくて信広だった


天文9年、16歳の時、俺元服! そして恐ろしい事実判明。


俺の名前、織田信広。


信長じゃなかった! 側室の子だから長男だけど相続権無いんだって!

ちなみに信長は約六年前の天文3年に生まれたらしいよ。

らしいってのは俺その場に居合わせてないし、まだ会ってないからなんだよね。


信長は今、父親信秀の居城である古渡城で養育されてるんだけど、俺、登城が許されてないんだよね。

家臣は敬ってくれるよ。当主の長男だからね。

でもそれ以上の事はできないんだよ。嫡男じゃないからね。


ところで15歳で元服って遅いんだってさ。

ゲームとかだと大体このくらいの年齢に元服迎えてるから普通だと思ってたけど、そうじゃないらしい。

まぁ、嫡流の子じゃないし、お隣の三河でお家騒動起こってて、親父さんそれを機に三河への進出を考えてるから、俺の元服なんてどうでも良かったらしい。


嫡流じゃないからね! しょうがないね!


つーか親父さん色々凄いな。

尾張の虎とか呼ばれた猛将ってのはなんとなく知ってたけれど、北では戦国を代表するチート猛将とチート謀将の両巨頭である、朝倉宗滴と斎藤道三を相手に戦いながら、チート名将の今川と三河の覇権を争ってるんだもんよ。

ついでに言えば、親父さん、尾張国主って訳じゃないからね。


尾張国主は斯波って家の人。で、その下に織田大和守家と織田伊勢守家があって、親父さん、ていうか俺の生家でもある、織田弾正忠家はその下。

国力で言えば尾張一国どころか、その四分の一程度しか無いんだけど、その状況でこのチート武将共を同時に相手取りつつ、三河方面に進出してるって言うんだから。

当然、そんなチートを上回るチートである親父さんが、三河でお家騒動なんて聞いて大人しくしてる筈がない。


つーか物心ついてから、俺の弟妹、ポンポン生まれてるんだが、本当にどこにそんな時間があるんだか。

色んな意味で行動力が凄いよな。


信長が上洛以降、その領土拡大を成した原因の一つとして、神速の軍事行動が挙げられるけど、これは親父さんのこの行動力を見習った結果なのかもしれないな。

側室も子供も滅茶多い親父さんだけど、実際、信長も結構側室多かったらしいし。


その割に、外国への婚姻同盟には養子ばかり使ってたからなー。

身内に甘いのは間違いなく遺伝だね。


織田弾正忠家は津島の港を有していて、そこからの収入がかなり大きい。支配地域は肥沃な平地であるので、石高も高く、非常に裕福だ。

そこに親爺の才覚が加わって、北の斎藤を押さえつつ、東の三河を窺うという無理難題をこなせているんだ。

ていうか、上役の奴ら相当の無茶振りだよな。やりたきゃ自分達でやれっての。


「信広様、元服おめでとうございます」


俺の目の前で一人の老人が頭を下げている。

俺の教育係だった爺だ。

そういや名前知らんな。平手政秀じゃない事だけは確かだが。


「うむ、これで儂もようやく一人の男になった訳だ」


元服の儀の翌日、俺は古渡城近くの屋敷で家臣達から祝いの言葉を受け取っていた。

家臣と言っても、弾正忠家本家に入れないような家臣だ。能力はともかく、出自と性格にちょっと問題がある。

とは言え、俺の大事な家臣達だ。これからどうするかはまだよくわかってないけど、弾正忠家でそれなりの地位を得るにせよ、独立して成り上がるにせよ、彼らの協力は必要不可欠だからな。


そもそも信広って何やった人だっけ?

竹千代と人質交換にされた印象くらいしかないぞ。


「もうしばらくすれば初陣の命令が下されるでしょう」


「うむ、その時までにある程度準備しておかないとな」


とは言え、何をしていいかなんてわからない。 初陣? なにそれ? 俺戦に出るの?

いや、そりゃ戦国時代の武士の長男なんだから、戦も仕事の一つなんだろうけどさ。


一応織田弾正忠家の分家になるんだが、勝手な事はできないからな。

鉄砲の購入は勿論、生産なんてもってのほかだ。謀反を疑われて殺されてしまうよ。


一応俺はこれまで、座学も武術も学んでいた。

座学に関しては、前世でそれなりに教育を受けていたようですんなりと頭に入って来た。

文字に関してはよくある達筆な訳だけど、まぁ、慣れれば楽だった。


武術も子供のころから体を動かしていれば自然に動く。

ただ、前世のように優しくないし、基本根性論だからな。

それでも、嫡流じゃないお陰か、気絶したらそこでその日の訓練は終了してくれたのが救いだった。

水ぶっかけられて強引に続けられるとかなくて良かった、なんて思うのは、俺が大分この時代に馴染んだ証拠だろうか。


あと、刃がついてないからって、木の棒で本気で頭殴ったら流石に死ぬと思うんだ。

竹刀はまだ開発されてない?

ははぁ、本当に武術が人殺しの技術だった時代なんだなぁ。


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