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性悪のちゅうとりある  作者: 永遠の28さい
0章 冒険者になろう!
4/12

0-4 妖艶

ハウル:お前は何の妖精?

グレム:僕は導きの妖精!

ハウル:誰をどこへ導くの?

グレム:主人公を英雄へと導くの!

ハウル:・・・全力で導いてる?

グレム:うん?多分・・・。

ハウル:何で多分が付くんだよ!

グレム:だったら、僕を導けるように導いてよ!

ハウル:いや、お前の仕事だろ!やれよ!





 雲一つない青空と……

  ……何度も耳にこだまする。




 冒頭の感想からゲーム開始特典の特別ガチャを経て、アルデガンドの街まで歩き、途中で商人を助けて一晩過ごして早朝城門前。



 今回の特別ガチャは、

  【ちゅうとりある】

  【有限ストレージ】

  【名杖:四精の杖】

 となった。


 【有限ストレージ】は前に手に入れた時と全く同じ。【四精の杖】は四精魔法の効力を上げる効果があって、【杖術】を取得していないと装備できなかった。

 で、俺は商人のはからいで泥まみれの身体を綺麗にしてもらい、そこそこ身なりのいい感じの服まで貰って、城門で入街検査を受けた。

 異世界城門あるあるの水晶で犯罪歴を調べられ、アルデガンドの住民ではないため、身分保障税を支払う。けど、その金額が酷い。


 身分保障税

 街の治安と身の安全を保障するために使用する税金として徴収しており、街の住民については毎月銀貨1枚。街に本拠を構える商人は毎月金貨1枚。出入りの商人は銀貨50枚。冒険者は銀貨10枚。街外の人間は金貨1枚となっていた。

 さらに毎回街を出る際には銀貨2枚-入る際にその半分である銀貨1枚が返却-が必要だった。これを入街税と言って出入りの管理目的で徴収されている。

 これは俺の知ってる異世界城門あるあるじゃないし。貨幣価値がよくわかってない俺でも高すぎるのはわかる。

 今回はベイルロイド商のおっさんが金貨1枚を払ってくれたけど、これを毎月となると厳しい。早く冒険者となって税金を安くしないと。もしくはここの住民にならないと。



 門を無事潜り、俺はアルデガンドの街に入った。早朝にも関わらず、多くの人が城門から伸びる大きな道を歩いている。


「早朝は、出入りの商人や冒険者たちが素材や依頼を求めて冒険者ギルドに集まる。迷宮(ダンジョン)で発展した街はどこでもこんな感じだ。」


 俺が呆けてる理由を察したのか、ベイルロイド商が説明してくれた。確かにこれも冒険者ギルドあるあるの1つだな。俺は行き交う人の様子をしばらく眺めていたが、我に返っておっさんに向き直った。


「いろいろとありがとうございました。」


 深々とお辞儀をするとおっさんは笑顔を見せた。たぶん初めて見る笑顔。髭面の笑顔はちょっと…。


「気にするな。儂も下心があっての援助じゃ。だが、儂との約束…忘れるなよ。」


「はい必ず名を挙げて恩返し致します。」



 こうして俺と商人は別れた。そこで左上にメッセージウィンドウが表示される。


“貴方はアルデガンドの街に到着しました。ここを拠点に貴方の冒険者生活が始まります。でもまずは冒険者にならないといけません。そこで冒険者ギルドに行き冒険者登録を行ってください。”


 メッセージを読み終えた俺は周りをきょろきょろと見回した。冒険者ギルドへ行けと言われても、それがどこにあるかわからん。さっき城壁をぐるっと回ったけど、1辺が多分1キロくらいの長さを持った大きな街だ。無暗に歩き回ってもだめだろう。

 俺はグレムを見たがグレムは俺の肩でスース―寝ていた。…朝は弱いらしい。食事しないくせに睡眠は必要なんだ。せめて冒険者ギルドの場所だけでも教えてくれよ。


 俺は大通り沿いに街の中心に向かって歩いた。街は中央にどこからでも見える大きな塔があり、そこから東西南北に大きな道が広がっている。…まだどっちが北かわかってないんだけど。俺達が来た城門から塔までの通りは、大小さまざまな店が並んでいた。見ると武具やら魔具やらが並んでいる。見た感じ冒険者のための通りという感じで、歩いている人たちはごつい鎧に身を包んだ屈強なイメージだ。んで、塔のすぐ側にドデカイ建物があり、なんとなくここがギルドっぽい。さっきから人の出入りも激しいし。

 でも俺は気づかないふりをして他の通りを見た。折角グレムが寝てるんだ。今のうちに街の様子を見て回ろう。

 俺は大通りを1つ1つ見て回った。そして旅人用の宿泊施設が点在していることを発見した。大通り沿いには大きな門構えの立派な宿しかないが、一歩路地に入って行くと小さな安宿が並んでいるところもあった。


「異世界あるあるでは、最初は宿暮らしってのが定番だが…」


 いくつかの小奇麗な宿に目を付けて、いざ値段の確認をしようとして、肩で寝ていたはずのグレムと目が合った。


「…やあ、起きたのかい?」


「……何してるの?」


「何って…今日からお世話になる宿を探そうと思ってね。」


「冒険者ギルドで冒険者登録はしなくていいの?」


「…宿を決めてからじゃだめなの?」


「……。」


「冒険者ギルドは何処にあるの?」


「…知らない。」


「探してよ。」


「は?何言ってんの?僕は君の奴隷じゃないし。」


 …ちっ。あわよくばちょっとだけでも厄介払いができると思ったが。しかたがない。冒険者ギルドへ行くか。



 宿探しを諦め元来た道を戻りかけた瞬間、俺は日常ならざるものを見つけた。思わず二度見して尚且つ凝視する。その様子を道路の隅に立っていたキワドイ服を着たお姉さんが見つけ手を振ってきた。


 そう。歓楽街を見つけた。それも18禁系の場所だ。早朝にも関わらず、綺麗なお姉さんが立っていて、異様な目つきで凝視している俺に愛想よく手を振ってきた。そしてその服装は10代童貞の俺には刺激が強すぎる。俺のテンションが一気に上がった。


「グレム!これってあれだよね!」


 グレムは返事もせず、ジト目で俺を睨み付けていた。いや、男の子なら一度は憧れる非日常の世界。それがこのゲームの中にもある!これが興奮せずにいられるか。


「グレム!ちょっとだけ、ちょっとだけ行って見よう!」


「何言ってんの!?」


「いや、ちょっとだけだから!じゃ、じゃあグレムも一緒に行こう!」


「はぁ!?」


 グレムは爆発寸前だった。流石に俺もあ、ちょーし乗ったと途中で気づいた。気づいたうえで俺は……『ここは死ぬ覚悟で歓楽街に突入すべし!』と結論付けた。そして間髪いれずに行動を起した。



 ドゴンッ!!バリバリバリバリ!!!



「ギャース!!!!」







 俺は歓楽街の道に入る手前で【死の落雷】の餌食となった。





 視界が暗転し、右下には★と・が付いていた。




 これ…死んだ回数がカウントされてるのか。







 雲一つない青空と……何度も耳にこだました感想を経てゲーム開始。特別ガチャを回してグレムの表情にイラつきを覚えてからアルデガンドの街まで歩き、途中で髭面商人を助けて一晩過ごして翌朝お金を貰ってバイバイ。ここから真っすぐ塔に向かって歩いて人の出入りの激しい建物に行けばいい。



 今回の特別ガチャは、

  【ちゅうとりある】

  【霊装:万年杉の面頬】

  【短刀術.2】

 となった。


 【万年杉の面頬】は“兜”の一種として扱われる、頬を覆う防具だ。万年杉で作られており武具としての『格』は“名~”より1ランク上の“霊~”。これらは【霊気耐性】のスキルがないと装備できないそうだ。これはゲーム序盤に激レアアイテムで無双できないような措置なのか?

 【短刀術】は“短剣”に属する武器を扱った場合に補正が付くスキルだ。

 考えてみると、グレムはガチャの景品に対しては割と細かく教えてくれるな。そういう仕様か?


「グレム、【槍術】ってどんなスキル?」


「…知らない。」


「グレム、【短刀術】ってどんなスキル?」


「“短剣”に属する武器を扱った場合に補正が付くスキルだよ。補正の割合は熟練によって変わるから。」


 …確定。コイツは仕様に基づいて行動してる。今のは俺が今回(・・)手に入れたスキルについては説明するが、前に取得したことがあるスキルでも、今回取得してない者ものは「知らない」と答えるようだ。

 あと、歓楽街前での会話で気になることがあった。コイツは俺の質問に対して必ず何か返事をするのに、あの時、俺の質問に無言になった時があった。…これも何かの仕様に基づいて無言だったと見るべきか。


「さ!早く冒険者になろうよ!」


 グレムは早速俺を冒険者ギルドに向かうように仕向けてきた。今回はちゃんと行くから。


 大通りを塔に向かって歩き、そのすぐ側の大きな建物に到着した。建物には中央に大きな扉があり、端にも小さな扉がある。俺は意を決して大きな方の扉に近づき、ゆっくりと開けた。

 中に入ると一斉に中の人間が俺の方を向いた…気がする。

 ゆっくりと歩を進めながら辺りを観察する。いくつかのテーブルが配置されており、それに群がるように屈強な男達が談笑している…ように見える。奥にはカウンターがあって若いお姉さんが座っている…ように見える。


 はっきり言って俺は周りが見えていない。緊張しすぎて頭の中は真っ白だった。何故か?

 俺はあることを危惧していた。それは冒険者登録あるあるでの定番イベント。


 “登録して脳筋冒険者に絡まれる”


 お約束は必ず取っていい程踏襲しているこのゲーム…このイベントを外すはずがないと思っている。だが、俺にはそのイベントで脳筋を軽くいなす方法が思いつかない。ゲーム内の俺は体力がかなり向上していることは確認できたが、それ以外普通だった。腕力が上がってるかもと、髭面商人からもらった木の板の握ってみたが割れる気配はなかった。得物もなし。スキルもなし。この状態で脳筋に絡まれて言い返す自身が無かったから、ガッチガチになっていた。


「あ!あそこのお姉さんが暇そうにしてるよ!あのお姉さんに聞いてみようよ!」


 グレムが、カウンターの一番奥に座ってため息ついてる女の人を指さして声を出した。俺は慌ててグレムの口を塞いだのだが、周りの男たちは全く気付いていなかった。…そうかグレムの声も俺以外には聞こえないのか。


「す、すいません…。」


 俺はグレムの言う通りに一番奥のカウンターへ行き、暇そうにしていたお姉さんに声を掛けた。



 赤茶の長髪で伸びた髪を背中で柔らかく束ねたカールヘア。肌は透き通るような白さで対するかのように緋色の瞳…そして長く横に伸びた耳。“エルフ”と思われるその特徴の顔。だが、首から下はエルフあるあるから外れている。重そうにテーブルに乗せた2つのマシュマロ。腕や腰の肉付きから見てかなりのボンッキュッボンッだ。どこを見ようとしても目線は2つのマシュマロに辿り着いてしまう。俺は声を掛けた後何をしゃべっていいかわからず、顔を真っ赤にして黙り込んでしまった。

 これから起きるであるテンプレに期待と不安と恐怖と羞恥と…とにかくいろんな感情が混ざり合って、綺麗すぎる受付エルフに完全にテンパっていた。グレムがそんな俺を見てゲタゲタと笑っていた。


「坊や…こんなところに何の用かしら?」


 エルフの癖に妖艶な口調で話しかけられ、こんなことで俺を籠絡しようとは俺は年上好きのほうにベクトルが動き、加速度的に煩悩が駆け巡ったかと思うとうっかりテーブルにもたれ掛る2つのマシュマロに視線を移してしまい、一体服の中でどのような状態になっているの想像し始めると、やや姿勢は前かがみに


「お姉さんの話聞いてる?」


「あ!は、はい。あの…冒険者に…なりたくて」


 お姉さんの声を聞いてから完全に舞い上がってしまいつい大きな声で返事してしまった。そしてその声で周囲の男達が一斉に俺を見た。俺の周囲だけ静かになり、気温が2~3度下がった気がした。グレムはニンマリと笑ってる。…この痛い視線、冷たい視線、震える視線、これを浴びるのが正解の道筋(ルート)だというのか。


「フフフ…。なかなか元気のいい坊やねぇ。お姉さんが手続きしてあげるわ。」


 妖しい笑みで話しながら、妖艶エルフは羊皮紙を取り出した。そして『受付担当』の欄に“ヘレイナ”と書いてから俺に渡して来た。




 …日本語じゃないが、字が読める。目で見た文字が脳内変換されてスラスラと読めた。そもそも全く意識してなかったが会話も普通にできている。たぶん、書くこともできるな。これも何かのスキルなのかも知れないが。

 俺は渡された羊皮紙を確認した。名前、種族性別、年齢、出身(街内・街外)、緊急の連絡先(?)。

 俺は書くモノを探して視線を泳がせた。すると俺の様子で察したのか妖艶エルフが羽ペンを差し出した。俺は差し出すその手を見た時に、彼女と目が合った。彼女は妖しく頬笑んだ。


 ヤバい。完全にズッキュゥゥウウン!て来たわ。このまま抱き付きたい。確実に落雷を喰らうだろうけど、それもありかと考えちゃったわ。


 俺は平静を装い軽く会釈して羽ペンを受け取った。


 やべ!一瞬手が触れた!


 俺は彼女をチラッと見たが、彼女も俺の手に触れた事がわかったようで、目が合ってニコリと微笑まれた。…もう俺完全に年上派に転向だわ。




 名前:ハウリングス

 種族性別:ヒト族・男

 年齢:16歳

 出身:街外

 緊急の連絡先:なし


俺は横でグレムが言う通りに書いて、羽ペンと羊皮紙を返した。妖艶エルフは紙を見て記載内容を確認していた。


「連絡先は?」


「あ…ありません。」


「ねぇ、宿は何処を取ってるの?」


「これからです。どこかいい宿を紹介してもらえませんか?」


「んふふ…残念。ギルドは宿屋や武器屋の斡旋はしてないのよ。」


 やや前のめりになって妖艶な笑みでの拒否。俺も前かがみの角度が上がるし、周囲の視線に痛さも上がる。…ほんとにこのお姉さんにギルド登録してもらうであってるの?これだとテンプレまっしぐらでしょ。


「じゃあ、宿が決まったらまた連絡してね。」


 そう言って妖艶エルフは紙に判子を押して奥の棚に入れ、テーブルの下から、黒鉄色の小さなプレートを取り出した。


「では坊やの…あ、ハウリングス様の冒険者プレートを作成します。……説明した方がいい?」


「…あ、は、はい。」


「フフ…可愛い。このプレートは冒険者の識別を行うためのプレートで、ギルドからの依頼を受付中はその行動記録が取られるようになっています。またハウリングス様の固有情報を記録されますので、身分証明にもなります。」


 俺はコクンと肯いた。


「冒険者の等級は上から順に超上級、上級、准上級、格級、中級、准中級、初級、見習いの八段階で、坊やは登録したてなので一番下の見習い…別名、鉄板冒険者になります。」


「鉄板…?」


「はい、このプレートが黒い鉄色をしているでしょ?等級はこのプレートの色から別名で呼ばれることもあるわ。」


 俺は妖艶エルフの手に乗せられた小さなプレートをじっと見た。……いや正確にはプレートを見るふりをしながら彼女の綺麗な指を視姦していたのだが。


「じゃ、手を出して。」


 俺は言われるまま左手を出した。妖艶エルフは俺の手にプレートを乗せ…俺の手と一緒に握りしめた。


「あ!」


 瞬間、悲鳴にも似た声があちこちから聞こえた。俺も声を上げた。視線が俺の手をしっかりと両手で握りしめる彼女から離れない!


「坊やの固有情報を記録するから…ぎゅっと握って?」


 これはゲームだこれはゲームだこれはゲームだこれはゲームだこれはゲームだ…落ち着け俺落ち着け俺落ち着け俺落ち着け俺落ち着け俺…周りは気にするな周りは気にするな周りは…


 急に何かが吸い取られる感覚を受け我に返った。その感覚に俺は体を震わせた。そしてその仕草を見て妖艶エルフはクスリと笑った。


「はい、終了~。お疲れ様。じゃ、プレートを確認するからちょっと待ってて。」


 俺の手から彼女の両手とプレートが離れ、そしてカウンターからも離れて行った。代わりに圧死してしまうほどの殺気と怒りに震えた男が近づいてきた。…テンプレ発動だ。グレムはにんまりと笑ってる。てことは正しい道筋(ルート)…。


「小僧。誰の許可貰って俺のヘレイナに近づいてんだぁ?」


 見ると如何にも悪党面で太い腕を見せつけ、俺の髪の毛を乱暴に握って持ち上げる男がいた。見るからに脳筋。妖艶エルフが立ち去ってから『俺のヘレイナ』面で現れるところが小物っぽい。


「それは知りませんでした。でも、どうして僕が彼女に声を掛けた時点で言われなかったのですか?」


 男は俺の質問に鼻を引くつかせ、顔を真っ赤にした。当に脳筋。後は俺がこの脳筋をぶちのめせばテンプレ終了だ。


「小僧…貴様は冒険者になり立てのひよっこだ。何をどうしていいかわからんだろうから…オレ様が先輩冒険者として特別に指導してやるよ。」


 そう言って俺の頬をペチペチと叩き髪の毛を掴んだまま、裏口を通って外へと引きずって行った。脳筋の舎弟と思われる男が何人か脳筋男とカウンターの間に入り、俺が連れて行かれるのを巧妙に隠していた。

 裏口から連れ出された俺はすぐ側にある小屋に無理矢理入れられた。そこで俺は床に放り出される。勢いで俺の髪の毛がぶちぶちと引きちぎられた。


「ここは小僧のようなひ弱な奴が来るところじゃねぇ。ましてやオレ様に断りもなくヘレイナさんに声を掛けるとは…死刑だな!」


 何だろうか。俺には全く恐怖心がない。死に戻りができる主人公キャラだからってもあるが、この男が恐ろしいとは思えないのだ。そもそも、あれだけカウンター側で騒いでたはずなのに、ギルド職員に見つからずにここに連れて来られたのが不思議すぎる。…テンプレ発動中はそういうものだと思うべきなのか。


「てめぇ…オレ様の話、聞いてたか?」


 いや、考え事してたから聞いてない。


 そんな顔で見つめ返したら、鼻がピクピクしてた。怒ってるわぁ。でも怖くないんだけど。


 あ…背中を向けた。何かを拾った。こっち振り向いた。持ってるのは太い棍棒だ。棍棒構えた…。



「…死ね!」



 パシュン!!



 勢いよく棍棒が振り抜かれ、俺の頭が水風船を壁に叩きつけた時の様に破裂した。




 当然痛みはない。



 視界が暗転し、



“貴方はアルデガンドの街で頭の悪そうな冒険者に襲われ死亡しました。”


 とメッセージが流れた。







 あの…俺がかっこよく脳筋倒してテンプレ終了…じゃないの?



グレム:テンプレって?

ハウル:・・・。

グレム:ねえねえ?

ハウル:うるせえな!俺は今このテンプレをどうクリアするか考えてんの!

グレム:だから、テンプレって?

ハウル:知りたいのか!?

グレム:ううん?

ハウル:・・・(怒)

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