~第二豆~
実は、ソイ太郎が鍛えたのは、耐久性だけである……。
僕は今……とても……
「こわぃぃぃぃい!」
目の前には、豆森が広がっている。ここは動物と気紛れが住んでいる。気紛れは、ラッカセイ族のことで、声が低いのとプライドが高く動物に好かれる特徴がある。また、豆芽国にいないのは自然を好む。だとか、昔、何かしらやらかして追い出されたーとか色々な説があるが、全くもって謎である。動物は、豆類には天敵の鳥類がいたり、遊び道具として見てくる猫類。魚類がいるので極めて危険である。しかし、ピクニックする分には安全な場所があるので、そんなに危険ではない。多分。
「そこ!静かに!」
考え事していたら、ちょっと低めの可憐な声が、
「えっ!?」
「伏せて!」
シンッとしているはずの森、そこにビィィン!と槍が飛んできた。
「………ッチ。」
「え!えっ!?」
舌打ちされた。なんで?
「もうちょっとで捕まえられたのに。お前、許さない!」
ヒュン!と刺さっていたハズの槍がソイ太郎の頬をカスった。しかし、ソイ太郎の頬は割れもしなかった。
「きみ!もしかしてラッカセイ族?」
彼?か彼女?(外観だけだとわからない)はこめかみをピクッとさせて、
「名乗ってやってもいいが、まずはお前が先に名乗るが礼儀だろ?」さ
「あ、はいっ!僕はソイ太郎、大豆族。もうすぐちゃんとした豆になるんだ。そのために今、修行中なんだ。」
「そうか。私はハイナ・ラッカセイ名前の通り、ラッカセイ族だ。こう見えても女だそ。さっきまで、獲物狩りをしていた。逃がしたけどな!」
物凄いご立腹のようだ。
「ご、ごめんなさい……」
「お前、何しにこの豆森に来た?」
「あ、小豆姫を探しに。」
「小豆姫?」
「う、うん。アズキ族の小豆姫!」
「アズキ族……?あぁ。アズキ族の女なら、昨夜、月豆森の儀式に連れていかれたぞ?」
「月豆森の儀式?」
「そうだ。豆森の守り主、イゲーン様にお告げを貰うべく、光豆月の日に行うのだ。その、生け贄として、アズキ族の若い娘を捧げるんだよぉ。」
やけに低く、不気味な声で囁くから、後ろにゾワゾワッ!と寒気が通る。しかも、アズキ族の娘……。小豆姫はアズキ族。しかも生粋両親共に白小豆。小豆姫は先祖帰りのアズキ族……。これは……
「小豆姫が危ないッ!」
「えっ?」
「急がないと!」
「ちょ、ちょっと!?」
「ありがとうっ!僕、小豆姫を助けなきゃ!」
え!ちょ!と言う声が聞こえたような気がする!でも気にしない!!助けなきゃ!そうときまれば!僕は一目散に、豆森の中を駆け抜けた
藪道を駆け抜け、
大河を飛び越え、
動物の群れを横切って、
集落を駆け抜けた……。
その先には……?
【チリン、パン、タン。】
【まめまめまーめ。】
【まめまめまめまめまめまーーーめぇぇぇ。】
【まめまめつきまめもりがみまめもり。】
【まめもり。おまもり。おつげもり。】
【あぁ、偉大なる古の祖インゲン様、豆森を守るイゲーン様に贄を。そして、我々、ラッカセイ族にこの世のお告げを……。】
草原の真ん中に、緑と白を基調とした祭壇どこか儚いモノを感じる守り像。その前には巫女と神官、贄のアズキ族。これがまさに、月豆森の儀式。一定を保たれた空調の中で、ソイ太郎はみとれていた。神聖過ぎた空間に。
【まぁめぇーー!ぎぇぇぇー!】
巫女が奇声をあげてからちゅどーん!となり、現れたのが、
【我、月豆森の儀式に応じて召喚されし、守り主。イゲーンである。そなたたちに告げを捧げよう。しかし、その大豆族をどうにかしてからだ。】
ソイ太郎はハッと我を取り戻した。緊張感を覚えたが、何故か言葉は出てきた。本当に不思議に。
「失礼しております」
【そなた。神聖な月豆森の儀式に何用ぞ?】
「はい。我々の姫を還して欲しいのです。」
【ふぬ。姫とは?】
「豆芽国、第一王子、第一王女の一人娘様であり、先祖帰りの生粋のアズキ族です。」
【ほぅ。そうか。では、そなたに告げよう。】
「!ありがたき。頂きます。」
【では始めよう。 ……あむなにあかた。あむなにあかた。まめはやどりたとなやぬちみりう。……告げが出たぞ。】
「……どんなモノですか?」
【そなた求める豆、ここに無し。豆森の守り主の住まう西果て、元凶その地に降臨。東の果て武器、その武器をもち、勇気を搾り、元凶を打て。その勇気で求めるモノを討ち取れ。】
ソイ太郎は一瞬頭の片隅によぎった願望を見つめた。
言い放った守り主は、お告げを放った主は渋い声で囁く。
【そなた求めるのは、本当にそれか?】
ソイ太郎が願う願望とは……?
次回(?)
元凶の招待。