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Super Man  作者: 純金
6/6

▽行き止まり

息を呑んで俺は、脳内で状況を整理する。


行き止まり(デッド・エンド)〟という名の男。

彼は俺が力を持っていることを知っている。

こいつは...察するに味方ではないのだろう。


警戒心むき出しで俺がとった行動は、

ベッドの横に置いてある目覚ましを手に取り、

相手に向かって投げつけた。


狙いは正確だった。

相手の頭部を狙って投げたのだ。


デッド・エンドはそれをかわした。

奴が頭を少し横に傾けて、時計が壁にぶつかり大破する。

ついでに壁にも穴が開いた。

これは母に見つかったら何を言われるか分からないぞ...。


「なんだ?何故俺に向かって時計を投げつける」

「そんなの――」

恐いからだ。

この意味不明な黒マント野郎に、

俺は心底恐怖している。


未知のパワーを持っていても尚、

怖いものがある事を知った。

「...フッ」


デッド・エンドは奇妙に笑い、俺の方に向き直った。

「まぁいい。それはいいとして、だ。今回俺が来た目的を話させてもらおうか」


一つ咳払いをして、デッド・エンドは語り始める。


「お前の持っているその力――それは、あまりに強大なものだ。

誰の手にも負えない。お前の周りに危害を及ぼす可能性もある。

だから、始末させてもらう...。お前ごとな」


その時俺は、絶望と、やっぱりかという諦めを感じていた。

そんな感じはしていたし、こういう展開はお約束物だしな。


ただ――引き下がるわけにもいかない。

死んでたまるか。最後まで生きてやる。


俺は今度は学習机のそばにあった椅子を持って、

デッド・エンドに投げつけた。


椅子は、デッド・エンドに辿り着く前に、

真っ二つに切り裂かれて、地面に落ちた。


「...お前はそうやって、力を自分の都合のいいように使ってきたのだろうな」

いや、実際にこの力を都合よく使った事はあまりないのだがな。

この力で得したことは壮島先輩の命を助けられたことと、

あまり濡れずに済んだことぐらいだろうか。


「しかしそれも『行き止まり』だ...。お前のその華やかな生活は、

ここで終わりなんだよ」

デッド・エンドは、右手をゆっくりあげ、薬指をこちらに向けてくる。


恐らく、俺に何かするつもりなのだろう。

さっきの椅子の様に、真っ二つになるかもしれん。


だが、『行き止まり』に遭ったときの対処法は、『諦める』ではない。

『ぶち壊す』か『引き返す』かだ。


俺は当然、『引き返す』を選らぶ。



俺は床を蹴って、後ろに向かって跳んだ。

背中から窓ガラスにぶつかり、それを割って、外へ出る。


一瞬見えたデッド・エンドの意外そうな顔に、

俺は自慢げに笑いたい気分だった。


しかし、思ってた以上に滞空時間は短く、

すぐに俺は家の前の道路に落ちた。

背中と右足を打ったが、しかし、大した痛みはない。

道路に車が来なくて、本当に幸運だった。


「ふぅ...なんとか脱出成功か。ん?」

よく見ると、体中にガラスの破片が刺さっていた。

自分で見ていてとても痛々しいが、

だが、これにも痛みは感じない。



俺の体は超人化しすぎて、ちょっとやそっとじゃ、

痛みを感じなくなったらしい。


上を見上げると、俺が飛び割った窓から、デッド・エンドが顔をのぞかせている。

時期に奴も飛び降りてくる。その前に、俺は立ち上がって逃げた。


ガラスの破片を一つ一つ抜きながら、

俺は街を駆け抜ける。

不審なことに、誰ともすれ違わない。

深夜でもないのに、これはおかしい...。


ふと、服屋のショウウィンドウの前で俺は立ち止まった。

別にそこにあった服を気に入ったわけではない。

俺の眼が、蒼く、染まっていたのだ。


俺は生粋の日本人だし、カラコンでもしないと、

こんなにはならないと思うのだが...。


「見つけたぞ!真倉 清!」

「あっ...」

自分に起こった奇妙な変化に気を取られていると、

デッド・エンドに追いつかれてしまった。

自分から追ってくる『行き止まり』というのも変なもんだ。


俺は仕方なく、決意をする。

これは『ぶち壊す』を選ぶしかなさそうだな...。




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