▽備わった『力』
よーく思い返せば、あの日の出来事は、星を揺るがす一大事であった。
突如として青い閃光に貫かれ、
俺、真倉 清は超人的な力を得た。
どうしてこうなったかは、俺も理解しかねる
。
あの後、いろいろ試してみたのだが、
結果は報告するのも気が引ける、
嘘のようなものだった。
まず、俺は車一個を軽々と持ち上げた。
もちろん、人の見ていない所でやったが、
しかし、写真に残しておきたい瞬間だった。
次に、家の近くにある公園で、100mを走ってみた。
結果は3秒ジャスト。
自分でも気づけばゴールしていたという感じだ。
因みに計ってくれたのは、ボケ気味のおじいさん。
相当ボケが酷いのか、俺の結果には驚かなか
った。
家に帰った後、小遣いをはたいて、
少し遠くのバッティングセンターへ。
バッターボックスで隣り合ったのは、
体育科教師で野球部顧問の飯田
であった。
「おうっ。真倉じゃあないか。お前もバッティングセンターに来るんだな!」
「あはは...、まぁ、たまに」
これは何とも嫌な『バッティング』だ。
...いや、この場合の『バッティング』は「Batting」ではなく、
「Butting」の方であって、ちょっとしたシャレなのだが...。
そしてその後、飯田が俺の実力を見てやると言う事で、
後ろから飯田に見守られながら、俺はバット
を構えた。
最初の球は150㎞のストレート。
そして、初球から俺の打った球はホームラン
の的へと飛んでいった。
「おお!すごいじゃないか真倉!いや、先生見直したぞ!」
「ど、どうも...」
ありえない結果に唖然しながら、俺は頷く。
その後も、いろんな球種、いろんなスピードで試したが、
全部ホームランの的へ当たった。
その度に、お菓子などの景品が俺に渡された。
それを見ていた飯田は俺に「野球部へ来ないか!」と言ったが、
俺は丁重にお断りさせてもらった。
大量の景品の入った重い鞄を抱えながら、
俺は電車の中で、ぼうっと窓の外を見ていた
。
空は夕日でオレンジに染まり、
数時間前の青い空は何処かへ行ってしまった。
俺はあの青い空がかなり好きなんだがな...。
最寄りの駅で降り、家へと向かう坂道を上る。
正直、かなりだるい。
慣れないことを何度もしたからだろうか。
今回分かったのは、俺の運動能力が激しく向上してること。
ついでに言うと、ホームランを狙えるほどの集中力も備えられた。
取り柄、といえば聞こえがいいけれど、
――実際、俺は疲れたと思いながらも、
この力にかなり舞い上がっていたけれど――
しかし、これはある種の〝呪い〟だったのだ。
そう確信させられるのは、もう少し後の出来事。