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Super Man  作者: 純金
1/6

▽青空と屋上と少年

つまらない授業を抜け出して、いつもの階段を上る。

屋上に通じる扉につけられた錠前は、

管理が行き届いていないのか、外れたままだった。


扉を開けると、これでもかという程の青空が、

俺の視界の端までを覆った。

眩しすぎる太陽にちょっとした目まいを覚えながらも、

俺は屋上へと一歩踏み出す。


新鮮な空気を腹いっぱいに吸い込み、寝転がってみる。

コンクリートのひやりとした感触が、

ワイシャツ越しに伝わってきて気持ちいい。

このまま眠りについてしまいたいくらいだ。


「かといって、眠る訳にもいかないかな」

それは、誰かに見つかった時、逃げることが出来ないからである。


上半身だけを起こし、ポケットから、

去年買ったばかりのウォークマンを取り出す。

手のひらに収まってしまうくらいの小さい機体が、

また愛らしくて仕方ない。


片耳にだけイヤホンを付ける。

これも、両耳につけては誰かが来た時、

その存在に気付けないからだ。


流れてきたのは、『オアシス』の曲だ。

曲名は覚えていない。

親父が大好きだったのは、覚えている。


サビの部分を鼻歌で合わせて歌う。

誰もいないので、気にせず歌うことが出来る。

俺はこの、誰にも邪魔されないという空間が、

何よりも好きでたまらない。


曲も後半に差し掛かったところで、

俺はふと空を見上げる。

何もない青空のはるか向こうに、

何か小さなものが見えた気がする。


何だろうと小首を傾げて、

立ち上がったその時。


空からまっすぐ伸びてきた青い光は、

俺の心臓を寸分もずれることなく貫いた。

「なっ...」


特に痛みは感じなかった。

しかし、体全体に何かが染み渡っていくような、

変な感じがしたのは確かだ。


俺はその衝撃で後ろに倒れて、

後頭部を強く打る。

「いってぇ!!」

心臓を貫かれたことよりも、

こっちの方が格段に痛い。


「くそっ...。いったい何なんだよ」

俺は仰向けに寝転がったまま、

理不尽に起こった不思議な出来事にだんだん腹が立って来て、

拳を握りしめ、地面に叩きつけた。


ドゴン!という破壊音がして、

俺は今しがた、

自分が叩いた地面を見るために起き上がる。


俺が叩いた場所は、見事にへこんでおり、

複雑なヒビが広がっていた。

まるで空から鉄球でも落ちてきたかのように、



「...え」

困り果てた俺は、ふと空を見る。

さっきよりも青く見える空に、

俺は苦笑いを浮かべる。

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