寛樹の過去!?
今日も今日とて魔法を使えるように特訓している寛樹とアリア、その付き添いに結とメイ
だが、いくらやっても魔法を使えない寛樹・・・そして、そのたび起こるめまい・・・
「『我が求めるは…風!ウィンド!』」
寛樹が詠唱してみるがまったく反応を示さない
「寛樹様…」
そんな寛樹を心配そうな目で見ているアリア
「ッ!…」
そしてめまいが起こり、休む
そんな日々が数カ月過ぎていった…
「やっと…見つけた…お兄ちゃん…、でも、どうしてエレンシアに来たら真っ先に家に帰ってこないんだろう…」
なにやら、セレウス城を見ながら呟いている少女
「ごらんください。この魔力が豊富な国を、愚かにも人間同士で争っております」
「ふむ…もうちょっとあいつら同士で潰し合わせろ。そのあと我々がこの世界を手に入れる」
「「御意!」」
なにやら、不穏な影が忍び寄っていた…
その日の午後…
「…なんだろう、何かを忘れてるんだがなんだろう」
テラスで一人風に当たっていた寛樹が呟いた
「どうかしましたか? master」
ミクが聞いてみる
「いやな、この世界に来てから何かを忘れてたことに気づいてな…何を忘れてるのかわからん」
「この世界に来てからですか? master」
リンも聞いてみる
「あぁ、元の世界では全く気にもならなかったがな」
突然、寛樹の足元に魔法陣が浮かび上がる
「ッ!こいつは、召喚魔法陣か!?…って、クッ!」
目がくらみ、テラスからいなくなる寛樹
「寛樹様、失礼いたします。あら、寛樹様?」
メイがテラスに来た時には寛樹はいなかった
「…ここは?」
寛樹が召喚された場所は、一軒の小屋だった
「ミク、リン、ルカ…周囲の確認を」
「「yes master…All green no problem」」
デバイス3機が声をそろえて言う
「あっ!やっと目を覚ましたね!お兄ちゃん!!」
突然、小屋の扉が開いて寛樹に抱きついた少女
「お前は誰だ?」
一様、警戒して剣を出す準備だけはしている
「忘れちゃったの?お兄ちゃん、私だよ。ミストだよ」
「ミスト?…悪いが覚えてないな」
「そっか…じゃあ、これに見覚えは?」
そういって、胸元から一つのペンダントを取り出す
「!?こいつは…」
寛樹が急いで自分のネックレスを確認する
「思い出してくれた?」
ペンダントを寛樹に手渡し聞く
「…(なんで、こいつの対が…たしか…親父が母さんに上げたって…)」
二つのネックレスを合わせてみる寛樹
「ぴったりだ…」
ぴったり合わさったネックレス
次の瞬間…寛樹は何かを思い出した
「…お前はミストなのか? 俺の妹の…」
「そうだよ…やっと思い出してくれたんだね…お兄ちゃん…」
泪をこらえて話す
「あぁ、思い出した…元はこっちの世界で暮らしてたんだ…」
「お兄ちゃん!!」
泣きじゃくりながら寛樹の胸に飛び込むミスト
「…でも、なんで…忘れてたんだ…」
ミストの頭を優しくなでながら考える
「…」
黙って考え込む寛樹
「ひっく…ひっく…お兄ちゃん?どうしたの?」
ミストが顔を上げて寛樹に聞く
「あぁ、なんで俺は記憶がなかったのかわからなくて…」
「それはね…お母さんとお父さんが記憶を封印したって聞いたよ」
「記憶を封印した?なんのために?」
「それは、私が説明するね」
隣の部屋からメイドが一人出てきて寛樹に一礼する
「もしかして…ラナか…?」
「はい、そうですよ。ご主人様…いや、私のマスター」
「それで、ラナどういうことなんだ?」
「はい。マスターは生まれつき高い魔力を持っていてそのマスターの力を狙ってた奴らがいて、そいつらからマスターを守るために旦那様と奥様はマスターの記憶…この世界での記憶を封印して旦那様とマスターはシリウスへ奥様はその時に幼かったミスト様とともにこちらに残りました」
「その辺のことなら、あやふやだが覚えてる…まさか、俺がこっちの世界に来ることを予想して親父は記憶の鍵をこのペンダントに?」
「うん。ミスト様にマスターのことを話したのは私だけどね」
「ラナさんから、お兄ちゃんのことを聞いて…未来眼を使ってお兄ちゃんがここに来てることがわかったから。そして、セレウス城で見つけてここに召喚したの」
「未来眼 ?」
聞き覚えのない単語が出てきたのでラナに聞く
「はい、特殊な目のことです。今では、ミスト様とマスターのみが扱うことが出来ます」
「私は未来を見る一番弱い目だけど…お兄ちゃんなら、あるいは…」
「もしかして、こいつのことか?」
寛樹が目に手をかざして暫くすると瞳に朱の五芒星が現れる
「その目は…複写眼!」
ラナが声をあげて驚いた
「複写眼ってまさか…」
「えぇ、3種の魔眼の中でも一番危険と言われている目です」
「魔眼? 危険? どういうことだ?」
「そうですね…マスターにすべてをお話しておきましょう」
魔眼について数時間話を聞く…
「…まさか、な…」
寛樹は過去のある記憶を思い出した…
「どうしたの?お兄ちゃん?」
ミストが寛樹に聞く
「…いや、なんでもない…」
「マスター…(あの事件のことを思い出したみたい…)」
「さて、ひとまずこの話は終わりにしましょう。そろそろ晩ご飯のお時間ですよ」
ラナが話を切り上げる
「もう、そんな時間?私、お腹ぺこぺこだよ~」
「そういえば、そうだな…」
三人が夕食をとってミストが眠ってから数時間後…
「ラナか…」
小屋の外の湖の近くに座っていた寛樹にラナが近づく
「はい。マスター、あの事件のことを?」
「あぁ、おぼろげながら思い出した…あの事件で俺は…あいつを…」
「マスターのせいじゃありません!あれは!…」
「いいよ。気を使わなくても…どっちにしろ、レナを殺したのは俺だからな…」
「マスター…」
「暫く、一人にしてくれ…」
「…かしこまりました」
ラナが一礼して小屋に戻っていく
「…ミク、リン、ルカ、そのまま聞いてくれ…」
「「yes master…」」
デバイスの三人も寛樹の様子を気にし静かに言う
「俺はな…昔、幼馴染を失ったんだ…」
それから、数分間過去を話した(次の話で詳細を書きます)
一方、セレウス城では
「アリア様!大変です。寛樹様が、寛樹さまが!」
メイがあわてて、アリアの寝室に入る
「メイ、どうしたの?そんなにあわてて」
「?」
アリアの部屋に来ていたはるか、ティア、結も不思議に思う
「寛樹様が…行方不明になりました!」
「えっ!?」
アリアが驚き、カップを落とす
「「えっ!?」」
はるかとティオも驚く
「どういうことですか?」
結だけは冷静にメイに聞く
「それが…なんです」
メイはテラスにいた寛樹が突然いなくなり、町中や城中に聞きまわっても見つからなかったことを話す
「寛樹様…」
アリアがショックのあまり気を失う
「アリアお姉ちゃん!?」
はるかが、駆け寄る
「大丈夫。気を失ってるだけだからね」
ティオがアリアを診ている
「とりあえず、アリア様をベッドにメイさん手を貸してください」
「はい!」
二人でアリアをベッドに寝かす
「結城君を、探しましょう。 私とはるかちゃんは空から、メイさんは兵士さんとともにこの付近の捜索を、ティオちゃんは結城君のデバイスの魔力を探して」
「うんっ!」「はいっ」「かしこまりました」
三人がそれぞれ返事をして、行動を開始する
一体…寛樹はどこに…
正直…人様に見せられるようなものではありません…
ですが、そんなのでもかまわないで呼んでくれてる読者の皆様…ありがとございます