魔法が使えない…
異世界『エレクシア』に召喚された俺は、マスターでもあるアリアから初歩的な魔法を教えてもらうことになったのだが…
「では、寛樹様。私の後に続いて詠唱してくださいね。『我が求めるは…炎!フレイム』」
アリアが詠唱をするのアリアの指先に小さな炎が出る
「へぇ~、なるほどね…『我が求めるは…炎!フレイム』」
寛樹も唱えてみるがまったく出る気配もない
「master don't worry next challenge」
ミクが寛樹に言葉をかける
「そうです。寛樹様、ミク様の言うとおり頑張ってもう一回やってみましょう」
アリアも同じく寛樹に声をかける
「俺はどっちかっていうより魔法による、遠距離じゃなくて接近戦だから魔法は使えなくても不便じゃないんだけどな」
苦笑いをしながら頬をぽりぽり掻く
「…っ…(また、この感覚かなんなんだこの目が焼けつくような感覚は…」
寛樹が急に眼を抑えてしゃがみこむ
「master all right?」
ミクが寛樹の異変にいち早く気づき声をかける
「寛樹様、まだお体の調子が!?」
アリアが心配そうに寛樹のもとに駆け寄る
「大丈夫だ、ちょっとめまいがしただけだ…ミク、スタンバイモード」
「yes master stand by read」
ミクが剣にかわり寛樹の左手に現れる
「ちょっと試してみるか…ミク、カートリッジリロード」
「yes master cartidge load」
剣の柄の部分から薬莢が飛び出す
「stand by read ディバイドバスター」
「ディバイドバスター!」
剣の先から砲撃が放たれる
「これは!?」
近くで見ていたアリアが驚きの声を上げる
「ミク、カートリッジリロード」
剣を下げる
「yes master cartidge load magzine load please」
「ん?弾薬すべて使い切ってたか…」
腰のポーチからマガジンを取り出し剣の柄に当てる
「ammunition load cartidge load」
剣から再び薬莢が飛び出る
「ミク、待機モード」
「yes master stand by」
剣が再び寛樹のペンダントに変わる
「あぁ、そういえば、説明してなかったな。これは、デバイスと言って武器になる携帯端末だな」
「携帯端末とはなんですの?」
「まず、そこからか…まぁ、この国のこともあるしアリアには説明してもいいかな」
「アリア様、寛樹様~少しご休憩にされてはどうですか?」
メイがワゴンを引いて中庭のテーブルに準備をしながら呼ぶ
「そうですね。寛樹様、休憩しながご説明してくださいますか?」
「そうだな。立ち話もなんだしな」
二人そろってテーブルに向かう
「アリア様はこちらに、寛樹様はこちらへ」
メイに案内され向かい合って座りメイから紅茶とクッキーが出される
「ん…ふふ、相変わらずお紅茶の入れ方は上手ね」
紅茶を一口すすりメイをほめる
「ありがとうございます!」
アホ毛がぴょこぴょこ揺れる
「あっ!寛樹様、手から血が!」
メイが寛樹の左手から血が出ているのを見つける
「あぁ、これくらい気にすることないよ」
「メイ、治療して差し上げて!」
アリアもあわててメイに命令する
「おいおい…アリアもあわてすぎだ。別にどうってことないよ。ミク、メディカルスキャン」
「yes master medical scan no problem」
「寛樹様、少し失礼します。」
メイが寛樹の左手に口づけすると傷がみるみるふさがっていく
「これは?」
寛樹が少し驚きアリアに聞く
「これが、治療系魔法ですわ。ただ、使える者が少ない貴重な魔法ですの…メイもその一人なんです」
「これで、大丈夫です。念のため包帯を巻かれた方が…」
「いやいや、それは大げさすぎる。ミクに調べさせたが異常はないよ」
「yes master all raigt」
「そうですか?それでは…」
再び2,3歩アリア達から離れる
「治療系って口づけしないとダメなのか?」
「いえ、普通に詠唱でも大丈夫ですが、メイの場合は口づけのほうが回復量が多いんです」
「そうなのか?まぁ、使えないからいいか」
「それで、寛樹様ご説明の続きをお願いできますか?」
「あぁ、携帯端末っていうのは他の人と連絡が取れる道具のことを言うんだ。俺の場合はそうゆう機能は詰んでないだけだけどな」
「それでは、寛樹様の世界では国民すべてがこのデバイスというものをお持ちなのですか?」
「いや、さっきも昨日も見ただろう?武器に変わるところを…これは、一部の人間だけに与えられているんだ」
「そうなのですか?自分の身が守れるのですべての国民が持っていたほうがいいと思いますが…」
「俺の世界はここより平和なんだよ。だから、武器を持って出歩く必要がないんだ」
「そうなのですか?それはとてもよい王が納めておられるからですね!」
「いや…まぁ、いいか。」
「姫様…それから勇者様!失礼いたします!」
兵士が一人入ってきた
「どうしましたか?」
アリアが普通に答えるが…
「その、話を中断するようで悪いが…その勇者様っていうのやめてくれないか?なんか落ち着かないんだ」
「失礼しました!!では、隊長殿とお呼びした方が?」
「あぁ、それでいいよ」
「はっ!では、今後、隊長殿と呼ばせて頂きます。それと全兵士に徹底しておきます」
ビシッっと寛樹に向かって敬礼する兵士
「あぁ…アリア話を戻してくれ」
「はい、それで何かありましたか?」
アリアが話を元に戻す
「はっ!先ほどから、妙なものが城の門の前で隊長殿に合わせてほしいと申すものが来ております」
「俺に?俺この世界に来てこの城以外に人と顔を合わせたことないのに」
「どうしますか?寛樹様、御迷惑でしたらお取引を願いますが…」
「一様、会ってみるか…謁見の間に通してくれるか?」
寛樹が兵士に頼む
「はっ!かしこまりました。では!」
180度綺麗に方向転換して歩き出す
「アリア、ごめんな勝手にして」
「いえ、かまいませんよ。メイ、寛樹様を謁見の間にご案内して頂戴。私もあとでまいりますから」
「かしこまりました。では、寛樹様まいりましょうか」
メイが先に歩き始める
「あぁ、アリア後でな」
「はい」
寛樹もアリアにあいさつした後すぐにメイの後を追う
「寛樹様は不思議な方ですね」
メイが突然話出す
「不思議?なんでだ」
「はい、普通この世界に突然召喚されたら2,3日混乱すると思いますけど…」
「それもそうか…まぁ、適応能力が高いからかな」
~数分後~
「こちらが謁見の間でございます」
メイがドアに手をかけ開ける
「パパ!会いたかったよ~」
突然寛樹の姿を見た瞬間部屋にいた少女が寛樹に抱きつく
「はるか!?なんで、おまえがこっちの世界に?てか、どうやって?」
「えっとね。パパが消えてからまた人が消えたの…それに巻き込まれて私もこっちに…パパ~会いたかったよ~」
話終えるや否や泣き始める
「そうか、ごめんな…俺が消えて更にまた一人消えたか…となると、この世界に召喚されたということになるか…」
ガチャ…「寛樹様その子は?」
アリアが部屋に入ってきてまず寛樹の胸で泣く少女に目が行った
「あぁ、こいつは俺の娘って言ってる子で結城はるかっていうんだ」
「寛樹様のお子様ですか?では、寛樹様はご結婚を?」
「いや、してないから!?言い方をまずったな…未来から来た俺の娘って言った方がよかったかな」
それから…はるかについて数時間説明した…
「なるほど…では、はるか様はご自分のお母様を探して寛樹様の時代に?」
「うん!パパの好きになった人なら私は誰でもいいんだけどね♪」
メイが焼いたクッキーをほおばりながら話す
「という、わけだ…ここ最近自分の娘だなって関心ついてきてたところだったし」
「そうそう、パパの話をしたら会いたいって言う子がもうすぐこの城に来るんだけど通していいかな?」
「俺の話をしたら会いたい?まぁ、会ってみるだけいいか。アリア頼めるか?」
「はい、お任せください。メイ、門番にはるか様のお客様と申すかたがいらっしゃったら、謁見の間に通すように伝えてくれるかしら?」
「かしこまりました!」
一礼した後部屋から出ていく
「てか、はるか。お前デバイスは?」
はるかのデバイスが見当たらなく聞いてみる
「あるよ。パパがこっちの世界に来た次の日に点検が終わって新しいのにインプット終わったところだからね。この髪飾りが新しい端末だよ」
「hiroki after a while」
「あぁ、レン。久しぶり」
「姫様、はるか様のお客様をお連れしました」
兵士がノックした後女の子が入ってくる
「あっ!ティオちゃん!」
はるか少女のもとに駆け寄る
「うん、はるかちゃん。それでこの人が寛樹さん?」
少女ははるかから視線をはずして寛樹を見る
「うん!パパだよ」
「はじめまして、私はティオ・アミエーラと言います。はるかちゃんと契約させていただきました」
「ティオ?俺は知っているからいいか。はるかを助けてくれてありがとうな」
頭をなでると気持ちよさそうに目を細める
「それで、俺に会いに来たって?」
「はい、その前に一つだけお願いを聞いてくれますか?」
「あぁ、別にいいよ」
「お兄ちゃんって呼んでもいいですか?その…わたし兄弟がいないので…はるかちゃんの話を聞いていたら…」
「別いいよ。好きなように呼んでくれて」
「ありがとう…お、お兄ちゃん。話って言うのははるかちゃんやお兄ちゃんが持っているデバイスに興味がわいたんです」
「デバイスに?でも、この世界じゃ化学なんて迷信だろ?」
「えぇ、そうですね。科学を信じている方は異端者として他の国ではとりたてられているとか…」
「この国は、そうゆうことしてないの?」
はるかがアリアに聞く
「えぇ、私の国は自由ですので科学を信用していてもかわないんですよ」
「私は…私の一族は科学を信用している一族だったのですが、フォウ国で迫害されて私だけ今生き残っているです…」
「で、はるかの話を聞いて、俺のデバイスに興味があり、見てみたいと?」
「うん…ダメかな?」
「別にいいよ。こっちの世界でメンテナンスとかどうしようか悩んでたんだがちょうどいいかもな」
「ミク、ティオにデバイスについて説明してやってくれ」
「yes master」
寛樹が首からペンダントを取ってティオに手渡す
「っと、アリアそろそろ練習に戻ろうか?」
「あらいけない!すっかり忘れていたわ…では、まいりましょう」
アリアが先に出る
「はるかはティオと一緒にいてくれ…部屋を用意してもらうから」
「はぁ~い、パパ」
「うん。お兄ちゃん」
「メイ、二人に部屋を用意してくれるか?契約済みだから一緒の部屋で」
「かしこまりました!」
メイが去った後、アリアを追いかけるように寛樹も中庭を目指す
それから、数時間魔法を教えてもらったが相変わらず使えないままだった