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「そう……、手がかかるお弟子、ねぇ、知ってるかな……? 私はね、そういうのに萌えるから、だからまた生きてるんだって――!」
その師匠たる者は精霊法をぶっ放した。自分でも驚いている、そりゃそうかもなの……、だって魔王の一端を使っているのだから。そう、それは端数でも――。
「がぁあああ!? コイツ、なんだ――」「あぁ駄目です……、迷惑です、ヤメて下さい……っ。逃げるべきだ……僕は唯一の魔王だ、もうその純粋な影武者なんですよっ!」
「知ってるよ―――」だが言葉を無視し、私は斬撃を繰り出すの。でもやはり効かない、剣を捨てる、悔しいけどその腕に、彼という力の上に更には精霊法を絡めて――!
「ウソだ……――!? そのスキルはそこまで、そんなに師匠が通用する訳が――」人が人の体のまま魔王とシンクロする事、それにビビり散らす魔王竜くん、そうして魔王獣の少年くんもね?
どうかな、師匠力は。見事に切り裂いた手には魔王の血を噴き出させる。
私を強化したのがアダとなったね――?
「でも師匠……だけど僕はもう、唯一人類を滅ぼして良い力を持ってしまった後だっ。 僕を残しても意味がないんだ、意味ないんです――ッ」「ぐぉおお……!? 白き龍よ、キミのせいで狂ってしまったろう、どうする!? どうするんだ一体!?」
影が竜をはった、かなりお怒りで、「ぐ!? この……五月蠅いな、五月蠅い、邪魔するなぁああ! だったら早くボクを殺せよ殺せ、魔王のケモノめ――!」
そこに師匠もが。ここで2対1はさすがに予想外か、魔王の影の動きがかなり鋭く、俊敏になるから。だが私も絶対に「ふぅ……、ふぅ……、そう……、逃がさないから――」「はぁ……はぁ……コイツ……ッ、我らの肉体の力だけなどは、造作もないのに、コレは――」
だがやはり、魔王の影本体には劣るか。
すさまじい威力で弾き返されるのだ。何度斬っても何度爆撃しても。そして、不意にすさまじい力が解き放たれる、異様、異変、その力は詠唱だ。
大地や空気すらも変質させて一瞬で凝固させる、息を吸えないし動けない、絶対に殺す。
その黒き一撃で必ずケモノは私だけを――。
「師匠ーー……!?」
放射され始める力、その庇った弟子を見やる。既に詠唱だけで焼け焦げて、肉が相当数ぶっ飛んでいて。そうして弟子は更に準備されて行き……撃たれる一撃を止めようとするが、それでも、いやむしろ激しく戦って。
私だってこの子を押しのけるように――。
「なんだこの二人は……、何を奪い合っている……、うぅうう!?」
「アァぁアアア、もっと気合い入れてよ、もう一人の影ぇえええ、燃やすんなら僕ごと燃やせぇええッ!」「そう……っ、さっさと倒れて欲しい……。今はこの弟子くんとね、師匠たる私は今時間が欲しいんだから――」
詠唱が崩れる。
二人の攻撃。全ての攻撃を受ける殺されたい弟子と、そうして肌が焼けて炭になってもすぐにでも殺したい師匠。2人は決死を超えていく、その奇妙なる光景に唇を噛むケモノ。
私は詠唱をスキップするから、何度も何度も……何度でも。
「そう……、私はね……? 君の浅はかな作戦には乗る気はないから。私は私の使命を果たすから――」
悪いね……、だから少年君。
魔王の影へと墜ちたる獣、グラヴィス・ナテナナスくん。
キミにも恐らくだけれど、何かがあったのだろう、だけどね……今の私はきちんと話をつけないとだから
「師匠として戦う、そう……だから、人類の敵とはいえど悪いけれど用がないの、君は消えて欲しい――」
そして魔法を唱える、全力で全開の、私の禁断の十八番。上級精霊律なんて知らないから、中級でソレを超える威力をね――「こんな……、事をして。キサマ滅ぼすつもりか、愚かな……愚かなぁあ――」
ケモノが吠えて純粋魔力をまでもを放発す。
だがそれにお弟子が自分ごと燃やす大火力で、喉を燃やしブレスで焼き払った。洞窟に充満してひしめく、消えない歪みの炎。
そこに獣が2連発、さすがに私も血を吐く、極大で。
「馬鹿……な、ここで消える訳には……」しかし竜のブレスが続く、それに拮抗してケモノが魔を放出させ続ける。一撃で私のカラダの限界が来るほどの波動の衝突、だから弟子は必死で。
全てを抑え。
貫いた、消えて行った、そのままその魔王の種を一つこの世から消した。
あとはそう……。
「グぅぅゥゥ――」「そう……、来るんだ……? ふぅ……ふぅ……、やっぱり弟子は師匠と戦う物、そういう風にね、相場は決まっているから」
笑う少女、絶世の美少女師匠。
あぁ……、あぁぁぁァア……師匠、アナタはなんてことを。コレでは僕が殺してしまうだろうに――。
その勇者の剣を握る私に向き直るお弟子くん。
それはゼッタイに逃がさない目だ。でも師匠を威嚇しようだなんて、なんと嘆かわしい。前ほどは可愛くもないし。あぁそれで……うん、何故、笑っているかってね? そうだね……? そんな強そうな牙を向けるものかとね。
「グルルルル……、アナタでは勝てないよ……、この状態の僕では、ボク、では――」
外典の使者よ、貴様、ホンキか―――。
その力の意義を知っているのか、それがそが、外典の、いや月にいる、この世界に降りた神にはもうひ――。あぁ嘆かわしぃ、もう……ムダ、全ての勇者、魔王の…だは既に、おいて外からこそ―――。
「黙りなさい。知らないから。そう……、そんなの知った事じゃないってね」
再生していくのはでも……、すごい速さでその白き美しい竜は。だけどその度に彼は……。あぁぁああアアあの日、あの絶望を。貴様は所詮は外の、――の外であり――を継げない。みつか……ないのに。帰りたい――かえりたいぃぃいいいいいいいいいい。
手を伸ばしても、
もうそこには、
何も無いィ――――――――――――――ッ。
有象無象の言葉、嘆き。その経典を、その世界の理を吹き飛ばす。
これはきっと、体力が有り余ってしまっているのだろうね……。その化け物は今も平気で私を殺せるレベルだ、白の美しき魔王竜くん。
そうして開戦は――。
「ぐぅう!?」一瞬で分からされる、すさまじい力。だけれど――、師匠として負ける気はしないの、むしろその無数のスキルなんて端数なハズだ。
弟子なんて気合いでなんとかできるもので、その連撃、殺す気ブレスを前にしても師匠は……。
「うぅぅアツい……じゃない? どんなに出すの君は。溜まってたのかな、はぁ……はぁ……」
だが、なんとか極大の精霊法でぶっ放してやる、押し返してやるから、それだけでへとへとなのに「そう……、人を焼き尽くす無限の絶望、普通のドラゴンなんて目じゃないの、それでもまだ撃って――」ぐぅぅう!?
「あぁァ師匠ォオオ――」
無理かも。キミ……、そんな何度も打てるんだ、必死に逃げ回るしかない、師匠として恥ずかしいけれど。もう手を思いっきり焦がしてしまったよ、洞窟の熱さはかなり厳しいが更に問題は……。
「そぅ……、まずいかも……、精霊力が不足し始めたかしら、はぁ……はぁ……もう」
MPが尽き始めている、正確には人間が扱える量の精霊がもう既にいなくなっている。
だが、まだ。「君は全然、何一つ学んでないんだ、私の領域には遠いんだと――」
剣で戦う、彼には勝てる、何せ師匠だからだ。そのコブシも噛みつきも、何も変わってないじゃない、そうじゃないって言ってもね――。
私は剣で切り裂いた、全然押せるんだよ、押せ「無駄よ――、人間よムダぁああああ!」「ちぃいい!?」
芽生えさせたスキルを以ってして師匠の位置を変換、そこに一撃! コイツ……この。
ねぇ卑怯は駄目だよ弟子くん……それでも見事に尾を斬って、やり返してやって――!
「師匠、無駄です……、どんなにやったって無駄だ。むしろアナタは逃げるべきだ、今増援が呼べれば勝てるかもだから、このスキルなら人を多く助けれる……何故アタマの良いアナタがァ――!」
「そう……、良いかい? 分かりなさいよ。師匠はキミを活かす為にね………、それで……っ、世界の敵なら君を引き戻すから、もし世界が間違っているなら世界に説教するからっ。それが師匠だ、師匠なんだぞッ――!」
ウゥゥラァアア!
だが駄目だ、その精霊律を込めた勇者剣でも全く歯が立たない。コブシではたかれるんだ、だけどもガードして。でもそれスキルだろう……もう無数過ぎて分からないけど、下からも衝撃が来て天井に叩きつけられ。
「こんの……っ、化け物めぇええ――!」超えているハズのレベルを吹き飛ばす程の特殊性、スキルの山だ……奴のスキルは留まる事を知らない。
もう意識も混濁し始めているし。
「あぁ……、ダメだ。僕はなんでも殺して良いけれど、だけど唯一ボクだけは、僕自身は殺せない――! 殺せないんだ、死ねぇエエエエエエ!」
それは目の前の者を殺す。必ず、絶対に「そう……、そうなんだ? はぁ……はぁ……、でもね、私はそれを超えるから、死なないの、だってだって私師匠だもの――」
必ず殺す酸が来てて。そのとき黄金の羽が生えた、そう……、このレアスキルは極限までいくと羽が生えるの。ありがとう、弟子たちよ。
「がはぁあ!?」駄目だった。




