表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
76/79

76

 うぅぅ。

「うぅぅ……、師匠。師匠……っ、大丈夫でしょうか――」

 霞む世界。次に見えたのは、岩だらけの場所で。

 恐らくは地下だろうな……、最初に入った洞窟とよく似ているから。なんとか起き上がる、頭を振ったから。


「そう……、大丈夫だよ。お弟子くんもだね……、はぁ……はぁ……、じゃあ、行きましょう」

 すぐに立ち上がる。上で今も戦いが続いている気配がするのだ、なんとか戻らねばならない。とにもかくにもモンスターのサーチだ、すると後ろに気配が――。

「師匠。お疲れ様です」もう良いですよ。

 そう言うと、ぽすんと、岩の椅子に座る。その気配に眉根を上げる私。

「ごめんなさい。実は僕はウソをついてました」


 振り返ったそこに見えるのは弟子。なんの変哲もない少年、ただただ誠実に「僕と一緒に生きていける人はいないんです、その耐性を持つことができない、だって……魔王なんだから」

 そうだよ……、だからこそ驚いたんだよ。この愚かな人類殲滅の器に向き合える可能性がある、そんな人間がいるだなんて。

 すごいです、合格ですよ。

 師匠に微笑むその言葉に、眉根を上げて。


「僕はね、周りに歪みを与えてしまうんです、人間さえも狂暴にしてしまう。ごめんなさい……、僕はね、他人を壊すんだ」

 あのモンスターたちの全ての異変は僕だった。

 一言で言うと、歩く原発だ。

 愛せるか。


 愛せるだろうか―――。


 でもアナタだけは……――。

「そしてあの日に現れたのは、僕だったんだなぁって……。全てを飲み込んだ。あの人も殺した、母様も殺したのも、そして兄さまは。 あぁ――兄さまは、あれ? あぁ~………」うん、もう分からないな~。僕がなんなのか、誰なのかもね。

 それから変わってしまったと……。そう信じたいんだ。子供らしく足を振り。


「そう、つまり……、私にどうして欲しいのか、君は」

 決まっているらしい、その微笑み。私はそれを絶対に拒否する予定だが。その目に嫌悪を……、それでも微笑み続けうなずくのは。

「師匠、それでね。紹介しますよ、多分気が変わるんだ。だってそっちがね……? その子がもう一人の後継者なんだ。魔王の種――」

 即座に振り替える、そこに佇んでいた魔物に騒然。

 すぐに剣を抜いた、確かにおかしな気配で、そいつはだが、上にいた魔王とは全然プレッシャーが違うのだ。異様だ、異様で……そうして弟子が魔王だと信じてしまうその――。


「ダメですよ師匠、諦めて欲しいから。アナタでは敵わないんだ、奴も僕もそれは魔王の影武者―――。種なんですよ」

 二人の影が伸びる。これも人間型だが、しかしすでに体が黒く変質していたのだ。フードの少年は既に黒に沈んだ顔面。

 時折、魔王を名乗る何かが現れるのは知っていたけれども、ただ何故か誰も本物とは言わないらしいと。あどけないともソレは誠実だとも。

 その少年も弟子くんとよく似た気配で。

 何故か相手の能力が見えるよ、真っ白なスキルと、大した事のない波形。ただ歪みがやはり1点だけあるのだ、でも弟子くんよりは鮮明であり『刻発』と書かれているように見えて……。


「キミがルール違反者かぁ……。全くぅ~。ねぇ、見ているね? そういうのは駄目なんだぞー――」「そう……、そうなの。  でも悪いけれど、私は知らない……。それは君がナゼ魔王なのかも、それで幸せか不幸かも分からないよ、それでもね――」

 君は魔王だろう。

 絶対に倒さねばならないから、ここで勝てるかどうかで決まるから……。

 その構える剣に、彼は礼儀を交えて会釈した。そのしゅ「ぐ……ふっ――!?」

 すさまじい攻撃にぶっ飛ばされる、見えなかった――。

 あの波形にそこまでの力があるだなんて、いや……そうか、弟子くんもそうなんだ。魔王。


「うぅぅ、だが……それでも……っ」地面をけずる、剣で止まった。睨みすえる、精霊律を唱えるしかないが、おっそい。魔法はなんとなく危ない気がした、だからなんとか周り込んで時間を――。

「効くよ、お姉さん……。私に魔法を使って良いんだ」「ヤメて欲しいな……、ゼッタイ駄目だよそれは」

「ふん、あのねぇ、他人の領域に来てまで何をさぁ――」

 悠長にそう言いながら私を捕捉し、既に上、カカト「僕たちは正直だからね? ルールは魔王をも飲み込むよ、さもなければ示しがつかない、勇者とは違って――」

 ネ。

 ドスゥゥゥ「がはぁ――、あぁぁ!?」

 ぶっとばされる、すさまじい威力で岩が砕かれ。転がって、そして……。「綺麗だねぇ……。さすがはもう一人の私が選んだ女だ――」

 上から見て来る、必死に飛びのくが。


 これほどの恐怖を得るとは、こんな子供、子供だから。だが逃げてもその見えない風刃で斬られて服が剥かれ。

 そうしてもうどうにでもなれと、即唱。炎の一撃を撃つが全く動かないから。どうやらこの精霊律なるのはやはり効かないらしい。


「師匠、諦めて欲しいです……」「そう……、はぁ……はぁ……、では、これではどうだ――ッッ」

 レアスキル、知らないだろう力を。

 実は一応、少しだけ魔法詠唱を早まらせる方法があるんだ、魔力フレーズを下にばら撒くよ、回収すれば代わりになると。魔王の影の素早さに翻弄されつつも、焦りが見えた、それは何せ最大破壊の一撃で。

 直撃は期待するべきではないだろうが、それでも十分に――。


 だって更なるレアスキルを、振り子。これは伝っただけでも相手にダメージを与えれるんだぞ。だから。


「そう……、人法・スキルの混合、さすがにこれなら逃げれるでしょう」「コイツかなりだな――」

 逃げ回る私を捕まえられない。なんとか少し、後少しだ。コッチを掴もうとしたけど……、悪いね、あまり知らないだろうこの相手の力学を応用する技は。

 投げられ舌打ち。だがさすがは魔王か、振り子というスキルの広がりに気づいたハズ。それでももう遅い……! 師匠の全力は―――ァ。


「はぁ……はぁ……食らいなさい、壊応――」だが後ろからワキを決められて「それは駄目です、ヤメて下さい師匠……っ! 貴女が受け入れれば良いんです、苗床として与えられれば幸せになる――」

 その最大火力を撃つ師匠の体を止め、そして転がす弟子は。

「ぐぅ、うぅぅ――弟子くん。君はそこまでして私を」


 こっちはもうレアスキルで足が震えて来ている、それでもヨロヨロと立ち上がるが。弟子は師匠に立ちはだかって「だから諦めて下さい、僕たち魔王を受け入れて――」

「はぁ……はぁ……、そんな訳に……、行くか、どいて」「あぁ~……お姉さん? ねぇもしかして知ってるぅ? じゃあ教育しなきゃだ、えぇ~……でも」

 外典げてんの女かぁ……。

 ぱぁん! 弟子を抜いて平手が撃たれた。そのままフードの少年は更に一撃、白目を剥く。そうしてそのカラダが晒された、揺れる2つの肉が。

 必死にカラダを隠すが、少年2人が見ている。頭を持たれ……。


「分かりましたか……、これが差なんです」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ