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「では、戦闘を開始する。魔法撃てるヤツはスッキリするよう撃っとけよ、じゃあ行くぞ――」
傭兵たちを前に行かせ、騎士たちも剣を取る。私も魔法を用意して、弟子くんはもう見れず……。向かっていくしかない、彼はでも剣で狙いを定めていると。
うっすらとその剣も光り始めている気がして。
だがまずは高らかに叫ぶから「我らは精霊の信奉者たる、僧院である! 我らを律するは自然のみであると、さぁ捧げようか皆の者よ、『我らが願い出るは、神の息吹である。失われたるソレは神の意のままに。だがしかして我ら――』」
一人の詠唱が始まったと同時に、一斉なる合唱。相手も火球や矢を、氷柱をも出して攻撃して来るが、動かない。高まる。そしてひときわ強烈な一撃を放って。
相手を崩してひるませたる高僧の長とその一群。そこに私も一撃、僧たちお得意の合体法に乗っての一撃を。
更に突っ込むはさすがの騎士団長で、名声に対してケジメをまとう人法の輝き。ギルドの精鋭マスターも見事な腕前か、30レベルを手前にしての動きはなかなか真似できないと。
だが……「強い――」「でぇぇえやぁあ!」
その一撃であっさりと合成獣を切り倒すのだ、ビリケンがうなりを上げる、更に更に力を寄こせとばかりに叫んでいたの「そう……、まさかだから。波形は一緒……、一緒なの――。でもここまで強くなるだなんて」
必死に雑魚を斬りはらう私、弱くなったなと……。唇を噛んで。そして後ろから振動、廊下で雪崩れていた敵と合流してしまうのだ「オィ来たぞ、来たぁあああ!」
完全に乱戦。何せその更に後ろからは人間側の増援も来ているから。笑えば良いのか叫べば良いのか……。
相当数の敵と仲間が転がる。一大決戦。だが収束していくのだ……、コチラの戦力はもう30と言った所かというまで。必死に……、必死に……。
「あぁよし……、うぐぅ……。はぁ……はぁ……じゃあ行こうか。この好機を逃せない」「そうですね……、恐らく相手の戦力は削れきっているハズで――」はぁ……はぁ……ハァ……。
血を抑えた。今のうちに先に行かないと影がいる可能性もあるから、供給を止めねばならない。だがやはり疲れと傷がハッキリ見えているの、祈りの精霊律ももう無理だろうし。丁寧に仲間に弔ってやる姿。
しかも何人かはもう何も受け付けない顔だ、自殺覚悟とも言えるか。置いていく……、その言葉に仕方なしに立ち上がるので、生きてはいる。
左腕で必死に壁を伝い、大きなドアを開けて上がって。静かで澄み切った古城、だがしかし……。
「なんだ……これは―――――――」
ドクンっ……ドクン―――――ッ。
そこには明らかに異様な気配があったから。壁から伝わる振動、噴き出し、体中に激震が走るほどのマグニチュード。触ってるだけで発火しそうな力の。
明らかに……。「魔王がいます――」
その伝説の剣を構える弟子。その動きは本当に力強く、一瞬だが自分が師匠である事を忘れてしまって。声をかけてあげたかったが、それもならない私は「やっぱり……小心なのね――」
そのまま恐る恐る部屋へと入ると、更に見える大きな大きな扉。歩き、歩いた。
無心に近いかもだ、大きすぎる前だと何も考えれないなと。
それで扉に手を置き、ゆっくりと開けた途端だった。
開け放たれる景色、そうして見えたのは……。
「はぁ……はぁ……、コイツが魔王か――」
そのバケモノの全貌はあまりにも大きく、5メートルはある。巨大な剣を持って待ち構えていた。静かに、誠実に。足が震える、姿は歪む。
だが待っていたと言わんばかりで、全員がそろうまでは微動だに……。
「そう……、確かに本物なんだ? この鼓動、はぁ……はぁ……、これが本物のダンジョンで、その主で、そうして唯一の人間の敵――」
「あぁ……、ここで倒すしかあるまいて……、全員で行くぞ。良いな――良いよな!?」
少し気合には足りないか、呆ける一同、痺れてて怯えかすら分からない一同。僧兵長、ギルドリーダー、そして重傷の騎士団長。アサシン、その全員でかかってもギリだろうか。いやむしろそれなら良いんだから。
すると弟子くんが光ったんだ。
「あぁぁ……、オマエ、お前はぁあああアアア――!?」
その叫びと共に、光だけが天へと上がる。
丸い塊として彼は浮かび。
そのアツいアツい彼の心臓から生まれた強き波動が、魔王を威嚇するように光っていて。
「ルールを守らぬとは……、さすがか……」
その大きな剣を持ちて、最大級の魔王なるが睨んで対峙した「目を疑った、勇者……本気か貴様。ならばもう分かっているのだろうに――」
凝視する魔王の前、その光はうごめき、そのまま地面へと突き刺さる力で――。
「何……、なんだ――」「うわ……、うわぁあああ!?」
崩壊。
私を飲み込み、地面を破壊する程。その瞬間真っ黒になって――。




