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「行くぞ―――」「……ふふふ、へへへ」

戦いの鐘。まず先手は少年だった。いや何せルチャードは動きもしない、鼻くそほじって……「でやぁああ!」そのまま必死な少年をちょっと待つ余裕、大振りの突きを見やる。ルチャードには丸見えの――。

「見てない、ラッキーだ――」

思いっきり鞘を、後ろから釣りのようにぶん投げてる少年、どうやら縄で括って投擲できるようにしてたらしい。そのまま体の力で全力投球!


「ぐぅうう!? ヤっベェな――」なーんてよぉ……?

だが余裕、この才能の塊にはその程度では「そう、ほら……、何べんも注意したのに聞いてないから――」

不覚にも、次の攻撃を受けてしまう。もう見失っていたのだ、気配消しの力で。

何せ最初は遊ぶだろう事は大体わかるもの、表情や素振りで体を表し過ぎているの。気を抜き過ぎだと。

ルチャードは腹に剣を受けかけるが瞬発力、鎖かたびらが弾く程度で抜けて、「おぅコイツ……っ、なんだ気配消しができんのか、面倒くせぇ……。このチキン野郎がよぉっ!」

そのまま怒りの反撃、その前に、更にもう一つ鞘が投げられていたから。ルチャードの捨てたモノの残骸。

切っ先鋭く慌てて避けるが目の前に少年がいて……。


「ちぃい!? がはっ!? いってぇ……。面倒くせぇんだ、なんなんだっ……!?」

さすがに無理があるか、カスる。少年は更に更に突進、思った以上に鋭い薙ぎには大柄が慌てて身をよじる。だがしつこい、動きも悪くない少年。だから面倒くさくなった大男はその強い強い気迫をスキルに乗せてぶっぱして、それだけで少年をはじき出すのだ。


「そう……、一応立て直せたの、不満でしょうけど。でもその子はねルチャード……何かあるから」

だから気をつけなさい、爆発力も大してなさそうなのが――。

つぶさに見ている。私の育てた弟子たちは村々に出向いて各個で王都行きの権利をかっさらっていた。だが彼はまだレベル5でココに来ている。つまり――。

「そう……、良いかしらルチャード? あいつは恐らく全てに劣るから、だから綺麗に美しくよ、卒なく決めなさいね」「分かってらぁああ!」

大きな大振りの一撃。あのルチャードが好きそうな技の連発、その攻撃力は正に一刀両断だ。だがやはり調子を取り戻した動きはすごい、さすがに腰が引ける。好きこそ物の上手なれよ。


「ウ、うぅ……、これが本気の奴の――」

縦の一撃を。受ければ軽い少年は弾き飛ばされる、それは地を削っても削っても止まらない、それでも闘志は――「そう……、それで、その男は明らかに人法を使いたがってるからね。何せスキルが強いの、誰よりも強い――。それは威力も激烈だし出だしも早いのだけれど、」左からの隙が大きいから――。

打ちあいながらもその言葉に驚くルチャード、だが気にせず続ける。その言葉と共に切り裂いて、思いっきり叩きつける一撃で!

「はい――分かりました。でやぁああ!」「オィなんだよ!? 敵によォ!?」

その一撃は素早く、簡単にその準備を砕いた。舌打ち。

師匠たる私を睨みながらも、それでも怒りで剣を乱舞させるルチャード。


「そう……、それで相手は強いの、逃げ回るのではダメ……、絶対ダメだから。だからその凶器を信じるべきなの、アナタの剣も殺せると、さぁ集中よ――」

集中。

その言葉に勇気を振り絞り、更に前に。例えどうであれよ……どんなに才能があろうが無かろうがそれは剣なのよ。肌を内臓を、その魂をもえぐるのものだ、鋼は平等――。


「くそっ……、おい卑怯だぞっ!? お前俺の師匠だろうが、勝たせようってのか、俺の弱点を教えてよぉ!?」

「違うわ、そう……、アナタが隙を見せすぎている――。崩れてるの、もっと頑張りなさい、基本に立ち返るべきなのルチャード!」

公平に見ても意欲があり、かつ学び取る能力が高いのは少年だ。だがどうだろう、ルチャードは私が見て来た中でも最強の伸びしろ。

この程度では……「うぅらぁぁああ! うっぜってえぇえええ」「ぐぁあ!?」

「そう……良い薙ぎ払い。筋肉もあって上背もある、だから確実なのは横から。相手は弱点の塊なのよ、もしそれで負けると言うならば、ソレは自身の弱さ以外の何物でもない――」

吹っ飛ばされる少年を見てうなずく。だがそれでも素早く再起だ、食らいつく少年。相手のスキルを最大限に警戒、左を常につけ回す。弟子の何人かはすでに公然とその少年を応援して叫んでいて。


「そう……、そうでも、今のアナタでは絶対に――」剣の筋はまぁまぁだろうか。だがやはりその程度では信じられないだろう、私の弟子の一角を崩しているの。その剣は、だけどどう見ても……。

「ふぅ……ふぅ……、ココではまだ。僕はまだ負けない――」

少年が美しい剣の一刀、だが避けられて思いっきり肩を蹴られてる、更に更に引き離す2段目の蹴り。長い足だ、後ろに下げられてしまうのだ。レンスを自由自在にされるのは致命的。そうしてルチャードは私でも引っかかりそうになる突進、という名のフェイクを。ひるんだその瞬間にやはり――。


「なんだ……っ、あの力は」「六学・感情。庶民にはもったいねぇが……あぁぁあアア! 行くぜ行くぜ、行くぜぇえええ!」

正に巨大化、そのスキルは爆発的な力を叩きつける為に生まれた学派。感情を力に替える、スキル世界においても最も最大と言えて。

私はすぐさま剣を抜き放つ「危ない――、ギブアップなさ……」

その一撃に、しかし少年も分からないけれど、特別な力を込めるているから。

凛々しいフォームを描いて正に勇壮・雄姿。騎士としてこれ以上ない程の――。


「はぁ……はぁ……、死なないから安心して欲しい、綺麗なアナタ……。だって僕にはまだ、その権利がないんだから――」

そう叫ぶと、何かも分からないが力が見えたから。増していく、彼の体をオーラで包んで、強く激しく――。

「美しい―――」


その小さな白い光が、感情の渦へと。

でも相手はブラックホール、無暗に広がって削る感情のブラックホールへと突き刺さり、見事に割って――。


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