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「そう……、じゃあ行こうか、お弟子くん」「はいお師匠さま……。あぁでも……」もう一人はどうしたの?

「いや知らねえよ、知る訳ねえわ」

 そのまま2人欠けた状態、3人で潜る。

 見つけた絶望や苦しみの嗚咽を無視して、なんとか今の集合場所へと向かってく。だが……。


「ここどんだけ深いんだろうなぁ? あの人数をもってしてもう探したんだろうがよぉ、城でももう終わってるぜぇ……」

 その言葉にうなずく。妙な世界だ深すぎる。

 歩いていく、まだ先、時折突っ立ったままの兵隊が差す方へと向かう。

 略奪は自由だぜ――。薄ら笑いするから。誰がこんな気持ち悪い館を一人で探し回る物かと。そのまま深い深い、果てのない城の中へと引きずり込まれていく。

 血の臭い。


「ジャスマ……、ジャスマぁ……」「いや、イヤだ、俺は嫌だぁあああ!?」

 ウォーロイ、ウォォぉロイ――。「おぃ逃げるな、戦えっ! 貴様らロクで無しのギルド員が、甘ったれるな――」

 名前を呼ばれ、泣き叫び。その戦列に無理やり戻される男は悲壮。もう持ちきりだ、あの名前を呼ばれたのは案の定死んだと。


「まぁ……、そうなるの、それは単なる暗示のような物もあるんだろうけれど、それが歪みっていうのだから説得力が ね」

 自分の名前を呼ばれる事に暗示をかけるダンジョン。死の暗示を。なんという話だろう。それでも潜って行くのだ、その人類の敵たる根城へと。二人離れずにしっかりと……。

 でもまだ先発隊がいるし、気が少しは楽だ、そう思っていた。


「くぅ……――。そうこれ、結構な状態じゃない、この中を進むの……?」

 そのどっかりと死体が残っているのには辟易する。妙に粘着するような臭い、酸っぱい質感と靴裏に少しでも飛べば分かる感触も。上がって来る体温や。

「ふぅ……、そう、本気でこんな状態。まぁ掃除もしない、いや……、なんで掃除がないの」

 よくよく死体を見かける。1日目の傭兵どもの体たらくを見て王国兵が見張りについたくせに。でも掃除もしない、何してるの。

 奥に行けば行くほど敵がヤバくなるのも。そう……、そしてあざ笑うように宝箱があるんだ、アイツらは絶対に取ったはずなのに。

 理解できないがどうやらココはそういう場所らしいと。


 開ければそこそこ良い物が出るのもしゃくに障る、思いっきり足で踏みつけその減らず口を閉じてやる姿。

 そういうのを何度も何度も繰り返し。ある日などは突然、戦士が自殺してしまった。

 なんとか斬り裁く敵を、「そう……、はぁ……はぁ……この部屋は綺麗にしたから、じゃあ進もうか」


 今回も重労働だったな……。息を思いっきり吸い込んで、そして血臭で充満している鼻をすする。

 うなずくその同僚の戦士も、だがしかし、師匠はそのまま弟子と残るのだ。扉が閉まると。


「弟子くん……、君はやっぱり帰りなさい――」「はぁ……はぁ……、いえ、僕は貴方とずっとって……」

 首を振る。でも何も彼は、そう……、何一つできていないよ。その動きは最初会った時よりも遥かに悪くなってしまって。

「そう……、良いかな? 足手まといならばしょうがないんだよ。それに何より……そう、悲しいから、弟子だったキミを見ているとね?」

 その言葉にうつむく幼い少年。先に歩く姿をとぼとぼと追うしかない、巫女の剣を握る。その力の全てを込めて。

「でも……、だけどこの力が漏れたら気づかれる、必ず奴を仕留めないと、もう僕の勇者が――」

 がちゃり……っとドアを。


「そう、それで……、次は廊下。そこそこ広い、続くような――」

 まだ続くの……。

 ドアから顔だけ出した。その道には両端へと幾つかの机が並んでいて、各個にドアがあるから。明るいなと、ソレはろうそくだけが照らし出しているとは思えない明るさで、場所としては何かの受付のようにも見えたが。

 どうやらそうして初めてだけれど、別の部屋からも来れるらしいの。木の軋む音、剣を構える、横から出て来たのと見合う。

 うなずき、目配せ、人間だ。渡り廊下のような場所で、ただし奴らは――。

「あぁ、出て来たの~……? ここはでもまだ先が……」「そうそ、そうみたいだぞ~。なんだい良かったじゃないかぁ~」

 アレは暗殺ギルドか――。


 弟子くんの身がすくむ。奴らは堂々とした動きだ、既にふてぶてしいまでに荒らしていて。それは机の紙を読もうとし勝手に引き出しを開けていって。

 しかし彼らは確かに貴族に関連するかもしれないとは思うから。

 妙に身なりに気を使う気配があり、暴力を臭わせる集団性に騎士とも違う軽薄さ。現代の感覚にも適うその自由を賛美するなどという、それに属する気配は。

 大したものないね~? まぁ仕方ない、ここは明らかにエセだ、分かるだろうに。

 あぁ~~、おぉ!?「でもでもはっけぇん!? あの女の子は確かさぁ……結構気になってたんだよ~俺ぇ~」


 それでなんとも軽い感覚で近づいて来るから。だけど師匠たる私はすぐに剣を向けた、当然か。ディフェンスサークルの内には入れないつもり。でも緊迫感のないカオは、大仰にその男が動いて主張するが、しつこく。

 可愛いねぇ、可愛いねぇ……。本当の名前を教えてよ、師匠って書いてあったけどさぁ?


 まとわりつこうとした、しかし一番最奥から出て来るは……「あれは、アレ……。どう見ても強そうですね、なんていうか格が――」「いや……っ、それより今カギがかかりませんでしたか? 全部に一気に」

 ガシャン――!

 鋼の音だけ。そこには騎士がいた。ただソレを騎士と呼ぶにはあまりも矮小だと思う。金属そのものを筋肉とし、正しく鋼の肉体を持ったカマキリ人間。それは黒鋼のアーマーに食われた狂気の仮面か、2本の鎌は実際に異様、大きすぎるよ……。


 横に飛び出た目玉は狂乱し、そうして噛むことを放棄するような格子の兜、そこから飛び出たキバは何か無機質でたまらない。

 それは人のような関節でヤイバを広げ、突風を起こし。挨拶。そう見えるけれど。


「恐らく……、普通にいるマーダー系の何かだねぇ。ただし、こんな鎧は聞いた事がないけれど~」

 だが羽がある、覆い被さる、一気に飛び退いた、すさまじい速さと鎌の振り――!

 先手必勝、容赦はない、その為の挨拶かなとも。

 でもコイツはやばいかも、カマキリは抜群に怖いから。野生でもトカゲに勝つヤバさだもの、その魔物となった威力は尋常じゃなかった。

「オォ、っとぉ~……!? 扉ごと一刀両断」「危ねぇ危ねぇ……さすが歪みかな。やっぱこいつ等は手ごたえがまるで違うってぇ――」

 その中でもナイフで関節カウンターを狙ってたのは見過ごせないね。暗殺ギルド、さすがか。

 だがソレたるカマキリは未だ留まる気配なく、再度ジャンプ飛行で寄って次は弟子くんへと――。


「ぐぅうう!?」「お弟子くん!?」

 弟子はぶっ飛んでいく、椅子を粉砕して。力が段違いだ、切れ味だけじゃないの。鎌は100センチはあり、もう面倒を見切れないか。そうして当然のように雑魚を……。


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