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「はぁ……、はぁ……、あの……、そんなの。大丈夫なんですよね」「そう……、一応はだけども。私達みたいなお金にならないのはまず、狙わないはずで。あと何よりもギルドは最大の仇敵だから――」

 唯一狙わない、狙えないのがギルドであり我らという事。何故ならとりあえずで襲ってくるとかいう、血の気が多いだけのゴミほど怖いモンはない。以上だ。

 もう戦争を何度か経験している同士。


「数ではコッチが圧倒的だぞ、かかって来いやぁ!」「てめぇらは市民にもな……、そうして俺らの支持は得られないんだよぉ! 消えやがれぇ!」

「でも……、そう、そうなの。それが必要となるほどに――」

 3者3様。

 高貴なる神だけにひざまずく金のブタに、国家の犬で高慢な貴族崩れのコウモリ。犯罪者の根城へと住み着く猿。

 そうして目の前にはダンジョン。このダンジョンこそが本当の意味でのダンジョン、唯一絶対、凝縮したヒトを歪ませる迷宮。


「では……、揃ったようなのでぇ。冒険者の……、いえ、戦士の方々。あの、参りましょうか。準備ができたようですよ」

 歪んだウィンク、出撃のコール。

 快晴の中、そのまま連れて行かれるその、できたてほやほやの地獄、誰もが歩む足が重い。これは人類の悲報。世界8大ダンジョンの内の6つがコレになっているとも。


「あぁ~~、行きたくねぇよぉ、行きたくねぇ~~っ」「でも少しでもここから歪みが漏れ出さないよう私達が戦う必要がありますよ。小さな内に殲滅しないとですね、歪みが広がる場合があるから」抜け殻ならば良いのですが――。

 言ってる受付嬢が失神しそうだ、彼女はどうやらこのまま下働きとして徴発されるらしい。

 だがダメだった。ソレを見た瞬間、その異様なほどねじ曲がった空間にめまいを起こす者多数。本当に曲がってるような感触をさせるのだ。


 今、目がよじれて指先が……「わ、わりぃが……俺は仕事があるからな、命が危ないって話しだよっ、急な依頼だったし大事なんだッ……!」

「捨ておけ」「そ、そんな訳あるかよォ!?人が死んでも良いってのか、お前んとこの領民だろうが、エッ――!?」

「だが誓約書があるぞ――」

 その言葉に憔悴した顔をする。しかし相手は剣をもう既に抜いているし、コレを破ると二度とは戻れない。だが確かに……この程度でなんとかなるとは思えないから。400人、そこには相当数の冒険者たちがいるのだけれど。

 その噂は誰しもが知る、かなり悪辣な戦いだという噂。気を紛らわす為か、自己紹介を兼ねてある程度話し合いを始めていて。


「あ、あんた何使う……。俺はサウザンバート出身、弓も得意だぜ」「お、俺は……、俺も弓だわ、弓が得意だわ」「ウソつけよぉ……がっつり剣持ってんだろうが、大体後ろがまともで安全だなんて限らねえぜ」

「あぁ、それでぇ……? アンタらはお教えいただけるんですよねぇ……? 王族の切れ端の、首輪の付いた質の良~いドブコウモリ様は」

「お、俺は……。私は引かない弓師だよ、本当だ――」

 その言葉に眉根を上げる。適当に言っているのかどうか、その一団をさげすむ目。

 まぁ有象無象を含めてもこの寄せ集めの編成で挑まねばならない、それは最悪だから。今や規律規律とうるさい僧兵たちも大人しく悪口を積もらせているね……?


「師匠……、師匠――。はぁ……はぁ……師匠は一度でも、この本当のダンジョンに潜った事は」

 その言葉に、さすがの師匠も青筋立てて振る姿を見て幼いそれは、「あの……、大丈夫なんでしょうか。僕らじゃまだ、絶対きっと……」

「いえ……、行こう。確かそう、そうなの……」

 白のたなびき、私はブルーの瞳を以ってその歪みを穿つんだ、「この幾つかは魔王に繋がってるという噂があったの……、それは誰も見た事がない場所を見たとね?」

 へんてこな世界を見たという、そういう記述、似たようで似ていない世界。見た事もないようなしつらえ、そうして服をきた悪魔たち。それに非常に興味が湧いていたから。

 ただかなりの難度であることと、それでもギルドはその為に作られた組織である事も。


「そう……、だけどもね? お弟子くん、キミは来なくて良い――。だってこの時の為だもの、君はギルド員じゃないから」「いえ……、だったら僕も行きますよ、絶対に行きます――」

 その決意の程に、ただ問題は周りを見れば、「でもかき集められたということは事実、そう……、今の私であっても正直に言えば中の上だよ……? 弟子くんに至っては下位に属しているから……」

 レベル20後半の者もチラホラ。

 居並ぶ世界都市においても、例えこの辺境のコレであってももう目の前のは有数のダンジョン。そうなるから、全然足りない。戦争だ。


 たった平均16レベル、400の武力での行進、集められた戦いの猛者の行軍。

 そこでただただ未踏の存在たちを知りたいだなんて、未だ人類が知らない深淵に興味が湧いてしまうのは私だけで良い。


「そう……、お弟子くん、やはり離れた方が良いかも……。じゃあ私には、キミは足手まといだと言ったら……」「いえ、絶対に嫌です、それでも絶対イヤだ――!」

 それは、仕方なくだったのだろうか、私は遂にうなずくんだ。手を握り返してしまった。

 そこからしっかりと野営がしてある場所へ、救護の手もあり食料や水もかき集められていて。だがそんなのどうでも良い位に威圧が。

 その目と鼻の先にあるモノ。

 揺らめき、ひたすら夢遊するよう血がたゆたい肉が舞う、それは死の水中花のような。

 透明な水槽のようだ。歪み続けるそれは肉を草に、人と何かを結合させては離し、滅び、そうしてまたカオが生まれては異形となり。


 指を入れれば――「あぁ!? あぎゃあああ!?」

 歪む。全身が。噴き出す。ねじきれる。

 その目と鼻の先にある最前線のお尻はしっかりと騎士が包囲して守っており完全に逃がさない気配だ。既に人類の為の牢獄といった様相。


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