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「よし――、じゃあ今日も頑張って行くんだぞ、僕は!」

 そしてすっ転ぶ。笑われる。とりあえずはでも、僕は剣は握って前に出なければならないから。


「あのさぁ、お前さぁ、なんか前のめり過ぎるんだよぉ……。今まで何やって来たんだ、全員に合わせろってぇ!」

 その言葉に難しい顔をする弟子。良く分からないのだ、全然違うから。僕には最強に強い人が隣にいてくれたし、それで……。

「よし、一匹はしとめておいた。だが大丈夫か、動きがぎこちないぞ――」「あぁ……、いえ。大丈夫です、大丈夫ですけど……」

 前に出なければならないという指示。この3人は元々リーダーが起点であり一撃必殺を旨とするらしい。中核である男の人は剣の道に真剣であり、実直なタイプ。彼はあまり見ない動きだったから、信じて良いのかと……。


 そのまま足止めは任されて、それで補佐するのは精霊法師の女性と、あと闇雲に突貫タイプの剣士で保つ。手こずるがだがその彼がひとたび動けばあっさりと――。

 ずばン!「よし、50点――」「すごいすごい、カイルやっぱりすごぉおい!」「すげぇぇ……、アレ初級で一番固いんだぜぇ、やっぱカイルはすげぇか――」

 明らかに攻撃力が高い、ほとんどが一撃でしとめられてしまうな。

 そうして何よりこのダンジョンは拾い物がかなり売れるらしいって、魔物からも色々な鉱石が拾えて初級のそれでも結構儲かるというんだ。

 キラキラですごい。ただその分やはり難度はかなりのダンジョンと言えるみたい。


「初級、ですか。ホントにこいつが初級で――」「そうだぜぇ、まぁ……、俺らじゃギリだな、ふへへへ」

 次は明らかに強そうなケモノの石像と開戦だ。ガーゴイルと言えばそうだがもっとずんぐりしてる感じでナマケモノのような。だが弟子ではその動き回る素早さについていけない、堅いんだもん、止められないから早く見える。

 でも前衛を組むもう一人がすごく素早くて。

「おぃお前おっせぇよっ! そんなんじゃ全然だぞ……、ふぅ……ふぅ……、攻撃力もねえのに今まで何やってたんだよっ、もっと走れぇえ!」

「はぁ……、はぁ……、はいっ……。いや、だけどもう僕じゃ――」ぐぅうう!?

 素早いシグナという彼と一緒に戦うのだが、静の一撃たるパーティーリーダーに対して激動とも言えるもう一人の彼は。僕は目まぐるしい動きに合わせられない、だから狙われる。

 何より……。


「ちぃい!? 効かねぇ~~、効いてねぇよソレぇ? 期待して損したわ、やっぱとにかく時間を稼ぐしかねえよな、チっ――」

 舌打ちし僕を馬鹿にして笑ってお尻を蹴ってくるから、「じゃあいつも通りの精霊法と……あとカイルの待ちだわ、だから走れ! アイツの斬撃以外じゃ無理だぜぇ」

「あぁ……ぐぅうう!? えと。はぁ……はぁ……、でも、ただ一撃待ちって、でも持ちません。あんなの無理だ、殺されるんじゃ――」

「ビビんな。まだほとんど経ってねえだろ、それを俺らが作るんだよぉ、そういう役だろうがっ――」

 精霊法師さんは小型を狩ってる、かなりの威力だ。確実に数を減らす気配で。でもだけど僕は恐怖で足がすくむ。正直太刀打ちできる相手ではないと。


「でも逃げれない……。逃げないんだ。じゃあ、彼女の為ならなんだって……」ウォオオ!

 だが逃げてしまう。明らかに攻撃力が不足、弾かれる二人。時間稼ぎをしなければならないが、しかし1人だけがボロボロの中で削れ、対処のしようもなく。

 そのまま確かになんとか彼が、カイルさんが収めたから。

 やはりたったの1撃で――。


「はぁ……はぁ……、はぁ……、ったくよぉ、良い武器持ってるから入れてやったのに、まーーったくだなお前ぇ……。マジでその師匠っていうのは何教えてんだよぉ」

「いや……、あの。 でも師匠の悪口はヤメて下さい――」

「はぁ? でも全然だったろう、現実見ろや」

「……――」「大体さぁ? 他のことがままならない癖になんで前から戦おうとすんだ? 後ろで上手く戦うとか走りを強化するとかよぉ、ぜってぇ教え方が悪いんだわ――」

「あぁ……、あの。はぁ……はぁ……、確かにボクはまだ弱いですが、それでも彼女は関係ないんだ、僕が悪いだけで」

「だと良いがなぁ~~~」フヘヘへ――。

 その言葉に嫌な顔で剣を握り、そうして這いずって集めた資材を渡すしかない。一応同行だけが目的なので取り分はないし、しかしだが、レベリングも上手くいかないしな……。


 そもそもとしてシグナという彼もほとんど攻撃力が出ていない気がする、素早さはスゴイが仕留めてる所を見た記憶がないんだ。

 攻撃力は少しだけコッチが上なのに……、それと合わせてそこだけ比較されるのはすさまじいストレスで。


「もうさぁ、その師匠じゃなく他のにしろよ。どうせ大した事な」「もうやめておけ――」

 その言葉に舌打ちし、シグナは消えて行くから、僕は頭を下げて、「あぁ、あの……、スゴイ一撃……でしたね? 剣の道って……、たいへんですか」「あぁ……、当然だな。でもやる価値はあるな――」

「あぁハイ、そうですよね、やっぱり。でも僕なんかも大変なんで、あの……少し迷惑かけるかもです。もうちょっとヤレると思ってたんですが、申し訳ありませんが――」

「……――」うなずくだけで。


 リーダーがかなり寡黙だが彼が入れてくれたんだ。彼らしかないし何より強いは強い。だって初級を自由に遊びで徘徊できるのは彼らと、あと少しだけと聞いているんだもの。

 やっぱりそれは攻撃力がネックで。僕は真似をするように……。

「うんうん、ほんとカイル次第だよねぇ~? 私達。次も狙ってるけどさぁ……、やっぱり数年はかかりそうかな~って」

「いやいや俺はさ、むしろ結構イケる気がするぜっ。何せナナイの魔法もすっげぇじゃんっ、頑張ればイケるイケるぅ! なぁ外から来たあいつ見て思わねぇ?」

 一緒に頑張ろうぜっ。へへへ。

「あぁ~~、でもぉ。 ふぅ……。私そんな急ぐ必要ないじゃないかな~って」うん――


 精霊法師のナナイ、嫌味なシグナ、寡黙な剣のカイル。3人は古くからの馴染みで連携がかなり取れている。

 正直にぎやかだし、なんやかんやで飲みに誘ってくれるし。

 あと女性の精霊法師さんがお弁当を作ってきてたりして、それで少しくれたり宝石も隠れて貰ったりと。

 彼女は笑顔が華やかだ、それにアットホームなのはそうかもって……。僕は肩の服を直す。

 優しい少女を見ていて、ただやっぱり恋しくなるのは「うぅ――臭い……かなり臭いぃぃ……」

 なんか凝縮され始めてるよ。ヤバいですよ師匠、もう色々とぉ―――。


 うんでも、それはチートなんだぞ? 私は選ばれしチート。それはただのチートだ、チートレベルで老けてしまう師匠に首を振る。なんか廃人になりかけの師匠に弟子が困惑。

 あとまた水とせめぎ合ってるし。表面・師匠力でなんとかしのいでいて、っていうかなぜコップ一杯程度の水の量で170センチの体を攻めれてるんです?

「上手く行かないんだ……、錬金が上手く行かない……、うっ……うぅ」

 揺れます、水が揺れますんで動かないで「ねぇ、採りためてたの全部使ったのにね、なんで大一番で駄目なのかなぁ……私」

「師匠……。師匠……、とりあえず声がハスキー。なんか一気に駄目な感じが滲み出てて……」

 昔は可愛かった――――――ッ。昔は……ね。

 今は幾らでも味が湧いて来るよ、まるでホタテかと思えるほどに失敗中年の味が湧いて来るよ。この完璧きゃぴり年齢でよくもこんな干物の――。


「もう私ね……、この先の失敗を考えるのが嫌になってきた。はぁ……はぁ……、ずっとずぅっと同じ事の繰り返しで……、思い出に残るのって失敗だけ。ここまでやってきて……それでこの後も失敗人生を塗り固めるのかって思うとね、神経がおかしくなってて、もう吹き出物が――」「スメルがヤバい―――」

 そして担ぐ。科学薬品まみれなので宿屋に泊まるしかないのだが、異様な程にくさい師匠を連れて帰る苦痛。宿屋の女将さんに渋顔されて謝る哀しみ。酒と涙と弟子と愚痴と師匠。

 だが次の日も、その次も、でももうすぐだ。朝早くから意気込み……。


「うん、僕はがんばろうと思う――」

「そう……、ねぇ。もう少し滞在して良いかな……、お弟子くん。少しみたいんだ、自分の限界をね―――」


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