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 そうして川に面した湿地を歩く、下る下る、少し薄暗い場所が続いて。昼なのに小鳥が元気ではない。明るいはずなのに川が鬱蒼とドス青く。

 それに特になにもないとは言うが少し気負った師匠の様子。


「まぁ……、その作品はねぇ、結局はねぇ――」この世界にはない物語を話している。多用な作品を見て来たけれど、現代人とは全く別な感想をするので面白かったりするから。

 特にほとんどが英雄譚を好むのだ。恋愛一辺倒の作品は好かれない傾向が強い、ほぼ寝る。


「僕はきっと、その人は寂しかったんだと思います。自分だけ除け者になったようで、例え一人だけ生きれてもって思って」

「そう……、どうだろうね……。でもまともなのは一人だけだよ、劇中でも怖がってたし」

 あとその人となりを知るにも良いの、何せ楽しかったり悲しかったりすると素が出易いし。あと面白いのは、彼らには作者という言葉がない。彼らの多くは物語は降って来るものだと思っているから、「そうなの……、そう? 他の弟子たちはそんな事は言わなかったな。面白いね、お弟子くんは」


「あぁ……そうなんだ、違いますか。あの……それでたくさんいるんですよね師匠、僕の兄弟子になる人って。そもそも師匠って師匠になる事が好きなんでしょうか、なんかいっぱい取ってて、そう……、悲しい事ってないんですか」

「そう、まぁ……うん、色々あったね。楽しかったよ。色々あったなぁ~って位にはあるかも」

 そうだ人生のほとんどをトレーナーとして育てて来たなと、実数では100に近いのではないだろうか。私の喜怒哀楽はほぼほぼ弟子の事だったかも。


「それでその中で一番失敗した事ってなんでしょう? もし、もしもです、それよりヒドイのが来たらどうしますか」

「あぁ――、うん。分からないかな? むしろそれを知るべきは今からだと、そう思ってるの。ただ……」

 私はいつまでも師匠だよ。

 その大人の顔に、少年は少しだけ微笑みうなずくから。


「少し急ごうね……、お弟子くん」

 そのまま目当ての場所へと進む。師匠の足取りが軽い、いやむしろ全ての重みを無視しようとしていると分かるから。こんなにキツイのに。

 街道には珍しいことに沢山のすれ違う人々が、人混みがあるのだ。同じ方向を目指している者が多くて、そうしてそこから出てくるのも当然多い。

「あぁ……そう、ふぅ……ふぅ……それでやっとなの、お弟子くん。少し日数がオーバーしまっているけれどね、それでも十分かなって」あぁやっとだね、やっとやっとぉぉ……。


「あぁ、えと、確かかなり大きいんでしたっけ? あぁ……、うわぁぁ………――。確かに今度は本格的な街ですねぇ……。鉱山都市でしたっけぇ」

 あの鉱山が全部ダンジョンで――。

 町らしい町、この時代ではかなり進んだ都市と言えるだろう。

 開発の途中で器具が見えている大きな山のふもと、華やかな街並みで一通りそろっているのがすごい。寺院に各種ギルドに遊び場に。屋台にガラス細工工房なんていうのもある、宝石だって色とりどり。

 それで人の出入りがかなり激しいのか、輸出に輸入にと。門番さんも豪華な鎧をまとっていて、そうしてお疲れ気味。とりあえず速攻で70番目を超える入場料を払う師匠も。


「ではね、少し錬金ギルドに寄りたい。良いね、お弟子くん」良いね――。良い。

 私は直行する。くだんのギルドへ。一瞬でも早く、この入会する為に年会費を要請して来るなんていう、唯一のギルドへと。

「あぁ……。待って下さい、はぁ……はぁ……、そんなに人混み分けて、何か御用なんですか師匠っ……」「あぁ……、ココで採りためてた物を一旦整理させたいの。ひとまずは個室を取ろうと思うよ、個室個室、埋まってないかぁ~」埋まってないよねぇぇ……。

「個室!? 個室なんて持ってるんですか師匠」


「そう……、私は錬金ギルドに契約してるんだぁ~、ふふフ。年会グレードの最高を払ってまでねぇ――。どこでも工房を使っていい契約をしてるの、少しの旅の合間にも必要だからって」

「へぇぇ……、スゴイんだ今ま」言うかどうかの前に、バンっと扉を開く師匠は。

 すぐさまに入って行く、そんな気合入れてドアを開ける必要ありましたか。でも……、予約は確かに好調かも。部屋へと急ぐ、あと臭い。階段上ってって。

 あぁまだ臭いよ……?「そう……、それでね? 君はね、適当に遊びに行ってて良いから……。年相応だもの、君にはお小遣いをあげたいなぁって……」

 落としてます、落としてますよ師匠。手が震えてる。


 拾っていくよ、でもなんか血走った目の人が多いのが気になるな……。小走りしながら師匠が笑う。あまり見ない顔だ、特に驚くほどの異変では無いが、「そう……、そうなの、適当で適切じゃないのかなって? はぁ……はぁ……、きっとやりたい事があるはずなの。いや……今までごめんなさい、ごめんね? お弟子くぅん」

 あの無表情でスマートな師匠とは思えない顔から、この……。粘り付くようなこの表情、「えと………、師匠」アっ……ア!? 何よりまだ臭いぞココ。「それでねそれでね? お弟子くん、足らなくなったら財布から抜いてくれて良いんだよ、良いんだ。寂しかったろう。はぁ……はぁ……、私はいつでも見守っているの、あぁでも今からは無理だけども、ねぇ……? ねぇ……文句はないね」


 大丈夫ですよ、大丈夫です、むしろ今がゼンゼン大丈夫じゃないんです、顔が……目がドンドン。見たくない「わ、分かりました、邪魔はし」立ち止まり、ソレはでも「じゃあじゃあぜひね、、、、、     遊んでおいでぇ――」

 でも最後だけは、その着地だけは全力、全開の笑顔でゆっくりと握りしめた。


 可愛いんだ、結構なお金がこぼれる、臭い――。


 師匠力だな。ありがとうございます。


「あぁ……、でもそんなに、えと。そんなにですか師匠」邪魔ですか?

「ん―――――――、いえ? でも錬金術に没頭するとね、ちょっとね……」

 はぁい、更にババンと! 個室ぅ――。ホバリング移動で目がもう釘付けぇ。


 この世界は面白い。錬金術は特に面白い。何せ魔法がある、魔物がいる。信じられるかな……、この世界には数百種の魔族がいて、その誰も彼もが歪んでいて地球上の生物足りえないという。

 それは重量300キロにも達する上体をたった一本の足で歩くという一つ目の生物。

 または溶岩液の中に巣を作り、寄生した生物を適した体にしてまで引きずり込み、無理やり溶岩の中で子供を守らせる虫。

 それらの一部は毒にも薬にも、武器にもなる、数多の可能性。全部は誰も分からない、だからだよ、その扉を開けれるのは自分のみで――。


「そうして魔法とは未だ歪みであり、それを使い利用し極めることとは即ち……、魔になるという事なの――。歪みは計測によって【歪み】と言える、魔の道とはまさに人道を踏み外す道だ」

 それをでもアウトプットするイメージの錬金術は、それは魔法のいわば出先機関であり、脱脂綿でしっかりとアクを抜いた魔法なのだ。

 綺麗な魔法。熱くない炎、凍らない氷、悪くない悪人、全てはヒトの為のチカラ――。


 そうしてほのかな灯りを抱いた部屋はね、輝いているんだ、埃を舞わせて待っているんだよ、「そう……、導いてるんだ、私達は命懸けで。本当の意味で錬金術師とは繋いだ者なの、それは歴史を……何よりも希望を――。そうなの全人類の敵の敵は私たちだけ。だから紙媒体で信用できるような錬金術の書はもう宝物だから、もう本当の意味での国家規格なんだと――ッ!」

 その備え付けの本を手に持つ、素早く読んだ事ない物を選ぶ。言語は未だ別つが、それでもこの言語だけは世界共通、誰もがこの前だけは素直だ、ウソに溢れる貴族や王の政治でも真実だ。

 証明できる。

 その錬金工房にある本は厳重に保管されていて違う。一冊を読み解くのにもこんなもどかしい気持ち、年会費を維持した者だけが見られるソレは正に。

「歪みが真実を教えてくれる――」それが私が、錬金術に魅入られた理由でもあるから。


 だから誰もがその顛末を残そうとしてきた、だからすぐに紙という文明を昇華しようとした。この行為こそが命をかけるに値すると、一族郎党を捨ててでも一冊の本を守り抜いて来たの。それは人類に仇なす絶対厳禁ルールたる魔を練り上げ、そして金と成すもの、錬金術だ――。


「このたった6畳から革命するからね……、そこら辺の人法使いや格闘家、精霊法師なんてのはもう目じゃないんだよっ……そんなのただのゴミなのよゴミぃ――」

 ゴミ……?「あぁ……、えと、なるほど……、です」

「うん☆ えとねぇ……それでだからだ、魔錬金とも言われているんだよ、魔錬金! しかもそれを言い出したのは外でもない、大賢者たるあ」

 でもいつの間にか、もう一度振り返ったら弟子くんはいなくなってたの。そうか……、うん。


 でもね、だけどもね、なるべくなら全てに眼を通すべきだから。すごいよね……、まだ見ぬ素材へと夢をはせる。直感的に得て来た事実とすり合わせるんだ。

 だから自分が持つこの旅日誌がね、いつか錬金術の書として世界に羽ばたくのをずっとずーっと夢見るよ。本が売られているだけで心がトキメクものだ。それは人生……。正に人生。重版されるならばもうそれは大賢者だから。

 そう……よしよし。じゃあ手に入れた素材は使い切ろうね。それはいま持つ全ての力を持って、あの銀河ですらもトキメかなかった私が、異世界のふし

「あぁあの……っ、もし良ければ魔物狩りについて行きたいんです、僕もついていって良いでしょうか!」


 その言葉に、その徒党を組んだ者達が気のない顔をする。だってまだ13の少年がそこにいて。


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