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それでも弟子くんが必死になだめようとしてて。
「いや……違うんです、ホントなんです! 僕らは賞金首を倒したんだもの、ホントに悪い奴だったからコイツは……っ」
「で、でもこいつにはガキも女房もいたんだぞ……、ふざけんなよ、オィこのガキぃい!?」
その言葉に怯える少年。涙目になって、師匠が制すから、それで誰が……どちらが殺したのかとの詰問する声が、戸惑うばかりで可愛そうだけれども、もう……。
「おぃ……女子供ってのも。これおかしいぞ。何せ旅人って訳がねえよ、そうか、ゼッタイ仲間がいるんだわ……っ」「あぁそうか、なんかこの村にしに来たんだぜ、巫女様の件と良いゼッタイおかしいよなァっ……。おぃテメェらうちの巫女様に何した。ちょっと来い、取り調べるから――ッ!」
面倒な事になったな、剣を即時即刻に抜き放つから私、「駄目だよ近づかせない――。私は捕まる気はないからね!」「ちょっ……ちょっと、剣は師匠――」
「何をォ!?剣を抜いてそんな……、益々怪しいな、全部ウソなんだな、そうだろうがぁ!?」
あぁ、あの……。と、とにかく僕らじゃないんですっ、信じて下さい!「もう駄目、面倒なんだよお弟子くんっ。こういう奴らは言っても聞かない、聞かないんだよ!」「でもそんな……っ、ヤメましょう、ダメですよ師匠、殺しは駄目なんだ! もうヤメましょう!?」
「そう……、うん――30点だよ。甘い事を言ってたら大変な目になるから。ココで私は捕まれない……何をされるか分からないから、本当に分からないんだからお弟子くん――」
すぐさま逃げ出す。私が捕まれば例え無罪だと分かっても女として何をされるか分からない。弟子は残念ながらまごついた、逃げられない。唇を噛むが自業自得としか――。
「なんだアイツ、弟の方を置いてっちまったぜ、ふひひ……。薄情だねぇ~」「あぁ師匠――」
「おぃでも……なんだ、すんげぇ速さだな、追いつけねぇ……。はぁ……はぁ……やっぱり魔を使うのはロクでもねぇのが多い……っ」
そのまま捕まり失意のうちに夜を迎える弟子。なんとかするしかないが。何度か確かに殴られたし、すぐに裁判にかけるというんだから。僧院やギルドの話も聞かれた。
不安しかない……。
それでもただただ暗闇の中で、弟子は待っているしかなくて。
2つの月。山間の冷えた夜。
さっきまでの村全体を巻き込む喧騒がウソのようだ。
明日の裁判は恐らく無理だろうな……。味方なんてこの世界にいないし、味方は――。
だから逃げたのだろうか、どうすれば良かったのか。
守りたいとは思うけれども。
だがその時、牢屋で音がしたんだ……。
「師匠……、師匠ですか」
――。
―――――――。
「ま、待ってました、僕……。待ってましたよ、師匠を信じて」
「ふぅ……、ふぅ……、全く、手間を取らせるねぇ?」
どすン――。
硬い何かが胸に突き刺さる。そして入って来たのは恐らく男。薄っすらとだが見える、こういうのには慣れてたが――。
「くくく――。おぃじゃあ小僧、どこからの使いだ、早く言えよ、言え――!」
ばき!「ふぐ……っ、何を言ってる、お前らはなんだ、なんなんだ――」
その後も殴られた。いや、すさまじい殴られ方だから。雰囲気が違う。でも村の人間なんだ、複数人の男たちで。すぐに済まそうという気配で、なんだろうか……目が見えないままひたすら、「あぁ――、はぁ……はぁ……、あの――。実は僕らギルドから頼まれてて……、おかしな事態だから、手を貸して欲しいと言われたんです。ただそれだけだよっ……」
「おぃマジかよマジか――。ギルドがもう……」「やっぱマズイ事になったな、で、その仲間ってのは何人だよ、エッ!?」「ろ、6人……。かな。それでも他の人もいた、今はどこかは分からない」うぐぅ……うぅ。
「あぁもう良いよ、もう良い! ここは早めに切り上げようか、もう合図を送れ――」
声を上げ1人が出るがそのまま弟子くんへと尋問を続ける。そうして5人は血に震える少年を蹴って、どうやって村の外へと逃げようと「そう……、そうなの、ふフ―――。やっと見つけたから……」
用意していた精霊律が突き刺さる。慌てる男達、そのまま出て来たのを容赦なく斬りつけた。そうして3人目も倒して蹴り飛ばし――。
「そう……、君達がこの村の内通者なんだね……?」
月明り、剣を振るいたる白の陰影に唇を噛む村人たちの前へ、「さぞや面倒な事を吐かれないか心配だったろう……? だけども……、それは私のお弟子くんだ、すぐに返してもらおうか」
「ふぅ……、ふぅ……!? ふざけんな、なんだお前かよ。おぃ……!」「おーーいっ!? 女がいるぞ、アイツ俺らを殺しに来たぞーー!?」
すると大声で村人を呼ぶ男、その裏切り者たちは。すると手早く出て来た、まだ睡眠には少し早い時間帯。ところどころ武器を持っていて。
「おぃなんだ……何があった。どうなっている、どうなってんだよ――」「アっ……、お前はぁあア」
見つけた途端にすぐに寄って来る群れが、そこにしたり顔で、「あぁ……うぅ、アイツらに刺された、刺されたんだよ。俺ら殺されかけたからっ……!」
その言葉に形相が変わって、にじり寄ろうとするから。だがその様子に剣を構えて師匠は――「よし……、じゃあそうね……、探しに行かないとだね? 恐らくはまだ捕まってないから、その巫女様は取り返せるんだもの」
その言葉に動揺する村人。あの時からだ、あの賞金首を見た時におかしいと思ったの。何せ8人がかりで明らかに儲からない相手を襲っているから。
生存者に聞けたがやはり、金は持ってなかったという。
何かを探していたのだろうか……。それは恐らくは女だという事も。そして探すそれを見たヤツは殺すという徹底ぶりも。
そこで気が付いた、確か別方向の村に巫女がいた事。
「おぃ……耳貸すなよっ、アイツは明らかに俺らを狙ってんだ、ウソに決まってんだろ!」「そうだぞ……、じゃあさっさと吐きやがれ、このガキがぁ」
「おぃキサマ――。弟子にそれ以上したら斬り刻むと」
見えない斬撃。その目に、その剣の即座の挙動に死を感じた。素人でも分かる、動けない、「おぉォ、おぃ……っ、ガキはやめろ、さすがにガキは関係ねえだろ! もう放せお前ら――!」「いや――、いや、だがよぉ――」




