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 そして朝から無言で1日を歩いた。その次の日の昼だった。

「あぁ……、はぁ……はぁ……やっと何か、見えてきましたね。あんなに大きな建物が――」「はぁ……、ふぅ……、そう……あれは多分そう、礼拝堂だよ。あぁ――」けっこうキレ~~。

 見えて来たのは片田舎には不釣り合いな程の白亜の建物で。それに負けないほど白く細い指で差す少女は「ここは巫女さんがいるから、だから旗艦となる都市なのね……?」

 旗艦都市。

 だがしかし全然そこは村でド田舎で、大量に食料を供給できるだろう田んぼと苗だけは腐る程あるが、特に目ぼしい物はない場所で。


 ただ中央に立つ教会のような物が確かに立派だ、立派過ぎるよ。そして出迎えてくれたのは……。


「あの……すいません。旅の方ですか、水を……。お水を持っていませんか……」

 話しかけて来たのは少女だった。小さい子だと外からの客にたいし良くある行為だが、物乞いのようなものも珍しくはない。ただ少し違っていて。

「そう……、うん。やはり干ばつなの。だから問題は……」たくさんいる事、結構な量の渇いた者達がいる。

 大人も子供も老人も、女も男も役人も。もし一人に与えれば他の者も欲しがるだろうし、当然そんな量を持ち合わせてなどいないし。


「そう……、分かった。じゃあ良いかしら……?」適当な壺を持って来させ、そしてあっただけの水を入れてやる。薄めた。そして呪文で――。

「あぁ……、うそ。すごい――」

 ウォータースプラッシュ。師匠のその魔法で水が飛び出る、それに嬉しそうに飛びつく子供たち。数日ぶりと言った感じだろうか、大人達までが驚いている。

 美味しい美味しいと水を飲む子供たちを見るけれど、でも……。

「そう……、でもじゃあ、真っ当に巫女さんが機能してないよね……。どういう事かしら?」

 その中央にそびえる豪勢な施設を睨みやる師匠に弟子くんは困惑し、「あぁあの……、存在は重々知ってますし、大事なのは分かってますけど。だけど師匠、その巫女さまって一体何する人なんでしょう」

 あんまり仕事までは分からないんだ僕は……。


 まぁ、巫女、それは雨乞いや疫病への対応が有名だけども、実際は何が専門なのかは分からないというのも分かるね。だって実際は何もしてない事も多いから……。

 そうしてその大事な術の部分も秘匿されているし。何せ巫女はほとんどが僧院の出だからね、多額の寄付を得てても恐らくは……。


 あぁ~……「うん、そう……。魔力とは歪みだと、そう弟子くんに教えたはずなの……」

 指を弟子くんに差し、そのまま田畑を指差すから。つられている少年にクルクルと指でその一帯を差して……って君が回ってどうするのかな?「歪み。そう……それを巫女様はね、綺麗に浄化できるのよ。人法と精霊法を用いて、だってこの2つを深く深く上達した者を差すから。それは俗な言い方だと神聖魔法の使い手であり――」

 人間の誰しもが内在させる力、それを表面にまで発揮させる事ができるルール・人法。そうしてその人法を用いて精霊までもを促すことによって大自然に対しての直接干渉可能になるというのだ。


 それは天候も山の噴火もイカヅチさえも操るのだと。そんな誰もが想像するだろうファンタジー、その極みの位置まで到達するのだという、正に巫女とは。

 その姿形は各所で違うし年齢もまちまちだけれど、大体は女が多いね。

 正式名称は『かんなぎ』。もしくは『天女』。本当は男も相当いる。


「そう……、人法とは人のイメージである。でもこの世界ではそれを自然に対して伝達させうるから、自然すらも変えれる力になるの。だから巫女さまは水なんかを浄化するね……、だって魔力で歪ませて作ったお水はヒトを狂気に陥れるから。干ばつや疫病が有名なのはそのはチカラの一部だよお弟子くん」

「へぇ~~、そうなんだ~~。でも、あれ……。人法はイメージって、師匠のは火がついてませんでしたか?」

 あぁ、アレはまるで火を噴いているように見える場合があるけれども、それは正に気のせいなの。

 ともあれ巫女は別格、当然雨が少ない時は水のマナが少なくて、純粋な木のマナは炎がつくのを嫌がる。それを人法を使って補正したりするのが巫女、砂漠でも一人いれば安心だね。

 凶作や不作をたった一人で回避できる存在だし、なんなら地すべり程度なら余裕だろうな、だからこそすこぶる大事だったが――。


「おぃ水は……、水ぅ!? 嫌な気配がするぞ、この悪魔の水を飲んで大丈夫なのか、えぇっ……」「魔法を使ったなお前、ここは神聖な村だぞ、勝手な事すんな! 大丈夫なのかよ、エェ!?」

「そう一応は、ね……」

 ワラワラ湧くね、ワラの家だからね。

 でも少しの量なら問題はないから、少しなら。だって大人も飲んでるじゃないの、目いっぱいにさ。知ってて当然だよね。だけれどこれが続くとすぐに死活問題だろう、魔法の水、それはイタイイタイ病や手足口病などより遥かに面倒な事になるが。


「あっ……、アンタらでも怪しいな、魔法使いか……魔を使うんかよ」「この辺のマナは全部全部使った、魔法かよ……っ、人を陥れる魔の手先め―――」

「そう、いえ……、でも一応私はね、僧院の人間だよ、安心して良いの」「僧院だってぇ!? ヘっ……へへ……、それで何用だ」「そうだ、どっから聞いたか知らないが、こんなのアイツらに言えばすぐに――」

 何が気に入らないか知らないが、おーいと、そう呼ぶものの、どう見ても冴えない顔のが、えっさほいさと「そう……。でも実は大して何も興味はないの。でもどうしたのかなって……? ねぇ、そのくだんの巫女様はどこ――?」「あぁ……、いや――」


 その立派な聖院を差してやる、何せお膝元だ。それなのに明らかに頼りない兵士、重苦しい雰囲気も。

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